FIGC のプロサッカークラブ監査委員会(COVISOC)が「クラブ間の交換トレードで不透明な移籍が行われているので調査をするようグラビーナ会長に要請した」と『スカイ・イタリア』などが報じています。
ただ、グラビーナ会長は「将来に向けた予防策」と言及しており、一部の人々が予測する事態にはならないと思われます。
COVISOC が調査を要請したのは過去記事で取り上げた『交換トレードによるキャピタルゲインの水増し』ででしょう。この手法を用いることで「赤字の補填が(見かけ上は)可能」になるからです。
問題は「経営が自転車操業になること」です。
- 『評価額3000万ユーロの選手』を交換トレード
- 売却益3000万ユーロを計上
- 獲得した選手は契約年数で償却
→ 5年契約の場合は年600万ユーロ - 当該シーズンは2400万ユーロのプラス
→ 翌シーズンから年600万ユーロのマイナス
1件だけなら問題にはなりませんが、交換トレードを何回も行っているとマイナス分が大きくなるため問題視されているのです。
なお、本件に対してグラビーナ会長は以下のように言及したと『スカイ・イタリア』報じています。
ガブリエレ・グラビーナ会長:
「キャピタルゲイン事件のことは心配していません。私達は長期間に渡ってこの問題を追い続けて来ました。誰もが知っているからです。被害妄想よりも認知的調査があります。
このテーマは良く知られていることはご存知でしょう。主観的な評価額と客観的な評価額が衝突することは一般的です。
滑りやすい地面では行動を起こせないことは認識しています。しかし、いくつかの予防策を通してカルチョの管理上の問題で生じる現象の影響を制限できることも知っています」
FIGC が介入に乗り出したのは「架空のキャピタルゲインで収入を膨らませていたクラブが “黒字倒産” することで生じる影響を最小限するため」です。キャピタルゲインを圧縮して脱税していたのはありません。
今後はコロナ禍で収入が激減した経営状況に直面するクラブがキャピタルゲイン詐欺に手を染める可能性があります。それをさせないための牽制の意味合いが強い調査と言えるでしょう。あまり騒ぐ必要はないと思われます。