『スカイ・イタリア』によりますと、キャピタルゲインゲート問題でユベントスの弁護団が求めていた文書開示請求がラツィオ州の行政裁判所で認められたとのことです。
今回の開示で「当該文書にはキャピタルゲインゲート問題の訴訟そのものを無効にし得る記述がある」と判明したため、裁判そのものが無効になる可能性が浮上しています。
"nota 10940" の番号が振られた文書は「存在は認められていた」ものの「文書の内容は非公開」という代物でした。
しかし、ラツィオ州の行政裁判所は開示を命令。これにより「 "nota 10940" には2021年4月14日付で FIGC 傘下の Covisoc が検察にキャピタルゲインゲート問題に関する解釈を求めている内容が記されている」ことが明るみに出ました。
2021年4月14日 | Covisoc(FIGC のクラブ管理委員会)が検察にキャピタルゲインゲート問題についての解釈を求める |
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ー | 検察は「選手の移籍が特定クラブの B/S に及ぼす影響の評価についての解釈上の示唆を与えた」などと反応を示す |
同年7月13日 | 4月14日が「調査の手続き開始日」とした場合の調査期限となる90日目 |
※ この場合は “2021年7月14日以降に行われた調査行為” がすべて無効になる | |
2022年4月1日 | FIGC がキャピタルゲインゲート問題でユベントスなどを訴追 |
同年4月15日 | 連盟裁判所が棄却(= 原告の FIGC が敗訴) |
2023年1月 | キャピタルゲインゲート問題の再審で「スポーツの忠誠についての原則に反した」との理由でユベントスに勝点15剥奪の処分 |
ー | FIGC のキネ検事は「懲戒の手続きで得た文書ではない」との理由で開示要求を拒否 |
2023年3月 | ラツィオ州の行政裁判所が該当文書(nota 10940)の開示を命令。内容が報道される |
これは「FIGC にとって都合の悪いこと」と言わざるを得ないでしょう。
イタリアのスポーツ司法は「判決までのスピードを優先」するために『調査の手続き開始日』を起点に調査の期日が定められています。そうしないと公平性を担保できません。
- イタリアのスポーツ司法: 判決までのスピード重視
- 検察側: 調査開始から90日間で得た証拠を基に訴追
- 弁護側: 公判までの限れた時間で必要な証拠を準備
訴追する側の検察が「調査開始から期日を設けずに必要な証拠探しが(何度も)可能」だと一般司法よりも悪質です。弁護側は「一般司法よりも短期間で弁明の準備をしなければならないから」です。
開示された "nota 10940" は「FIGC が2021年4月の時点でキャピタルゲインゲート問題を調査していた」と認定する証拠能力があり、この場合は「2021年7月がキャピタルゲインゲート問題に関する調査を行える期限」になります。
つまり、2022年4月に FIGC がユベントスなど11クラブを訴追したキャピタルゲインゲート問題の裁判自体が「スポーツ司法で許された期日以降に収集された証拠能力のない根拠を基に起こされたもの」と判断される可能性が生じたのです。
控訴審を受け持つ CONI (イタリア五輪委員会)のスポーツ保証委員会が「裁判の手続きそのもの」に疑問符が付いたキャピタルゲインゲート問題に対してどのような判決を下すのかに注目です。