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親会社 Exor のエルカン会長が「Next Gen 出身選手を活用した収益改善」に言及したことで制限を設けられたジュントリ FD

 2024年夏は「監督人事が最優先課題」となっているユベントスのジュントリ FD ですが、親会社 Exor のエルカン会長が『株主宛のレター』で「 “Next Gen 出身選手” を活用した収益改善」を明記したことで編成に制限が設けられる事態となっています。

 どのような制限が発生しているのかを具体的に指摘することにしましょう。

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Next Gen 時代に締結した契約が有効な選手を “常に” トップチームに含める必要がある

 親会社のエルカン会長が『株主宛のレター』の中で明記した収益改善策は「年俸や償却費が安価な “Next Gen 出身選手” がトップチームに増えることでクラブの収益性は改善されて経営再建が進む」というものです。

 それを実現するのはトップチームの編成を以下のようにする必要があります。

  • トップチームの所属選手: 25人ほど
    1. 外部出身の選手
      • 年俸: 選手によって “ピンキリ”
      • 償却費: 移籍金の額を契約年数で割って算出
    2. 内部(≒ Next Gen)出身の選手: 5人前後の維持が目標
      1. 『Next Gen 在籍時に締結したトップチーム契約』が有効な選手
        • 年俸: 極めて安価
        • 償却費: ほぼゼロ
        • 例: ユルディズ、スーレ、イリング、ハイセンなど
      2. 契約更新を経て2期目以降のトップチーム契約を保有
        • 年俸: 安価〜程々
        • 償却費: 代理人への手数料ぐらい
        • 例: ミレッティ、ファジョーリなど

 “Next Gen 時代に締結した契約を有する選手” がトップチーム登録枠を占めることでクラブの収益性は改善します。上述した “B-1 のカテゴリーに属する選手” は人件費が極めて安価であり、費用対効果が高いからです。

 しかし、“Next Gen 時代に締結した契約を有する選手” をトップチームに留めておくことは非現実的です。この『不可能なミッション』をどのように成立させるかがジュントリ FD の腕の見せ所になるでしょう。

 

トップチームで一定の結果を残した “Next Gen 時代に締結した契約を有する選手” は待遇改善が不可避

 現在のユベントスではユルディズ、スーレ、イリング、ハイセン選手などが『Next Gen 時代に締結した所属契約』でトップチームに在籍中(または来季在籍の見込み)です。

 彼らが『年俸100〜150万ユーロで2028年夏までの契約延長』に合意する可能性は低いでしょう。ヴラホヴィッチ選手の推定年俸の10分の1程度になる訳ですし、パフォーマンスを基にした公平な評価とは言えないからです。

 サッカー界では「フリー移籍で加入したから(減価償却費がかからないので)少し高めの年俸を出す」という慣例が存在しますが、Next Gen から輩出された若手選手 “も” 減価償却費はかかっていません。

 したがって、Next Gen 出身選手の年俸は「少なくとも外部出身選手と同じ評価基準で算定」している必要があります。

 それができないと Next Gen から輩出された若手選手の『フリーでの退団』に拍車がかかるため、エルカン会長が言及した「 “Next Gen 出身選手” を活用した収益改善」を阻害することになってしまいます。

 ジュントリ FD が『年俸の算出基準』をどこに設定するかが重要になるでしょう。

 

「Next Gen に原石が集まり続けないと経営再建プランは数年で行き詰まる」という現実

 『Next Gen から輩出された若手選手を活用した経営再建プラン』のボトルネックは「Next Gen に “次世代を担う原石” が集まり続けないと行き詰まる」ことです。

 言い換えると「 “Next Gen 時代に締結した契約のままでトップチーム入りが期待できる若手有望株” が何人かBチームやプリマヴェーラに在籍していないと経営再建プランは頓挫する」になります。

 ユベントスは 2023/24 シーズン前期だけで9510万ユーロの赤字を計上していますし、(ケルビーニやマンナの遺産に該当する)現在トップチームが保有権を持つ若手有望株全員を換金しても『赤字決算の埋め合わせ』が精一杯で『累積赤字の一掃』には遠く及びません。

 ちなみに、“本物の若手有望株” は引く手数多なので売り手市場(=選手側が圧倒的に有利)です。

 出場機会が不平等に配分されていたり、パフォーマンスに基づく待遇が不公平だと “次世代を担う原石” は加入を敬遠します。そのような状況のクラブに加入しても「成長する機会」や「正当な評価」を得られないからです。

 2005年生まれのユルディズ選手やハイセン選手よりも若い “才能の原石” に今後も「ユベントス下部組織への加入」を選択してもらわなければならないですし、この現実を現フロント陣は直視する必要があるでしょう。

 

 ジュントリ FD の2024年夏は「監督人事」が最優先事項。2番目は「Next Gen 出身選手の待遇改善」です。

 「ナポリの SD 時代から追いかけていた選手の獲得」は順位が下ですし、出場機会や待遇に不満を募らせた “Next Gen 出身選手” を他クラブに引き抜かれて活躍されようものなら厳しい批判は免れません。

 制約が設けられた中でジュントリ FD が2024年夏の移籍市場でどのように立ち回るのかに注目です。