ユベントスの親会社 Exor のエルカン会長が『株主向けのレター』で「ユベントスの再建責任者はジュントリ FD」と明言しました。
再建には「どの監督の下でチーム作りをするか」が重要であり、まずは「来夏で契約が満了するアッレグリ監督の去就をどうするか」がポイントになるでしょう。
アッレグリ監督ほどの “イエスマン” はいない
どの監督も結果が要求されるため、「自分が得意とするスタイルに合致した選手でチームを編成して欲しい」とクラブに希望します。
しかし、アッレグリ監督はクラブからの「現有戦力で結果を残してくれ」との要求を受け入れますし、満足な補強が行われなくても記者会見で選手層に対する不満を述べることはありません。
一般的な監督が「補強に関する不満やリクエスト」を口にするは当たり前。
アッレグリ監督を基準に「監督は編成部門が用意した選手層に文句を言わずに結果を追求する」との認識で動いてしまうと後任探しで苦労することになるでしょう。
監督交代で色気を出す選手が現れる可能性
アッレグリ監督とユベントスとの現行契約は2025年夏まで。クラブが「再建期」にあることを親会社も言及していることを考えると「 “契約が残り1年の監督” に再建の礎を託すことはしない」でしょう。
なので「現行契約を1年残しての解任」か「契約延長」の決断を責任者であるジュントリ FD が(今夏に)下すことになると思われます。
監督交代となれば、監督に評価が全員リセット。アッレグリ監督には全く評価されなかった選手も新監督の下ではチャンスがあります。
その代表例がアルトゥール選手。アッレグリ監督の求めるスタイルとは合致しませんでしたが、“評価基準が異なる新監督” の下では「千載一遇のチャンスとの認識でチームに残留する可能性」があります。
一方でラビオ選手は退団の可能性が高まります。これは新監督が「前任のアッレグリ監督と同様に全幅の信頼を寄せた上でラビオ選手が好む役割をアサインするとは限らないから」です。
監督人事が不透明なクラブと長期契約を締結する選手はいない
監督が変われば評価基準も変わります。新監督によってフォーメーションが変更されれば、『得意とするポジション』が消失するケースもあり得るのです。
そのようなリスクを背負ってまで長期契約を締結する選手はいないでしょうし、普通は代理人が契約書へのサインに「待った」をかけるでしょう。
ユベントスは「2025年夏以降にチームを率いる監督(や基本となるフォーメンション)が再建期であるのに不透明」という状況です。
所属選手ですら「次期監督人事を確認した上で自らの去就に関する最終的な決断を下す」との思惑で動くであろうと予想されるため、まずは「監督人事を確定させること」がジュントリ FD にとっての最優先事項となるでしょう。
ユベントス・フットボールクラブの組織再編や資金繰りはスカナヴィーノ CEO の職責。フットボール部門の監督人事や編成はジュントリ FD の職責と明言されたため、どこからどのように再建を進めて行くのかに注目です。