2024年3月の国際Aマッチデー期間で各クラブの活動が休止状態となり、ユベントスでは経営陣が普段よりもメディアからの取材に応じています。それらの発言から経営面での目標を探ることにしましょう。
“ユベントス・フットボールクラブが” 経営目標に掲げる項目を『期限』ごとに分けると以下のようになるはずです。
- 長期目標: 持続可能なクラブ経営体制の確立
- 親会社(Exor)からの財務支援を必要としない収益体制
- 下部組織(Next Gen)からの選手登用
- 『デジタル分野における収益スキーム』の確立
- 中期目標: 2026/27 シーズンでの黒字転換
- 売上高: 大幅な増収は期待しにくい経済環境
- 事業費: 税込年俸と移籍金で年間1億ユーロ超の削減
- 短期目標: 競争力の維持
- 胸スポンサーの獲得(2024/25 シーズン以降)
- “費用対効果が芳しくない選手” の放出
プライオリティーが高いのは『長期目標』である「持続可能なクラブ経営体制の確立」。それを達成するために『中期目標』や『短期目標』で小分けにされているのが現状です。
経営陣が『長期的にクラブをどうしたいか』という視点での発信がないのは「持続可能なクラブ経営体制を確立してフリーハンドを得ること」が目的だからでしょう。
『経営の自由度』が制限されていれば「長期的にクラブをどうしたいか」と熱く語りかけたとしても、“長期的にクラブがどうなるか” は必然的に限定されてしまうからです。
クラブにとっての中核事業であるフットボール部門は「下部組織で育成した選手の登用」と「トップチームに所属する選手の適正価格での売却」に重きが置かれると予想されます。
ユベントスが『ジュントリ FD の招聘』に踏み切ったのは「セリエAのパワーバランスを変えるような大物選手を確保し続けるだけの資金力を維持するのは不可能」と判断したからでしょう。
- 経営陣がジュントリ FD に求めている仕事
- 年俸予算内でのチーム編成
- 「有望株が育つまでの繋ぎ」や「有望株が不在のポジション」での費用対効果が高い選手の獲得
- ジュントリ FD が評価を下げてしまう行動
- チーム内での待遇格差拡大
- 年俸や償却費での予算超過
- “下部組織出身の若手有望株に蓋をする選手” の獲得
ただ、ジュントリ FD の仕事ぶりは「マイナス評価も付く項目もある」ことは否定できません。したがって、今後の業績次第ではジュントリ FD も『解任』があり得ます。
特に “買い手が現れやすい若手有望株” の適正価格を下げてしまう選手補強を続けてしまった場合は『ジュントリ FD の責任問題』へと発展します。
「経営陣がジュントリ FD にイタリア・メディアと同様の高評価を下しているとは限らない」と留意すべきでしょう。
「ユベントスは魅力的な優良コンテンツ」とアピールしても、財務状況が芳しくないと(説得力に欠けることになり)スポンサーや収益の獲得に結び付きにくい事情があります。まずは『経営の自由度』を確保することができるのかに注目です。