イタリアの通信社 ANSA によりますと、ユベントスのアニェッリ前会長がキャピタルゲイン疑惑でイタリア五輪委員会から下された2年間の職務停止処分に対する不服申し立てを行政裁判所に行ったとのことです。最後まで戦う意味は大いに存在するでしょう。
ユベントスのキャピタルゲイン疑惑はイタリア五輪委員会(CONI)のスポーツ保証委員会が「イタリア・サッカー連盟(FIGC)の控訴裁判所に差し戻し」を命じ、差し戻し審で出された「勝点10剥奪および主な取締役の職務停止処分」で和解しました。
しかし、アニェッリ前会長だけが和解(= 自身への2年間の職務停止処分)を拒絶。
一般司法の行政裁判所(TAR)への控訴に踏み切りました。この姿勢は「カルチョ界へのボディーブロー」として地味に効いてくることになると思われます。
アニェッリ前会長が一般司法で「無罪」を勝ち取ったとしても、スポーツ司法が変わることはないでしょう。コンテ監督に対する八百長疑惑の時から何も変わっていないからです。
ただ、「何が問題になるのかを具体的に示さずにクラブや役員に恣意的な処分を下した行為を “玉虫色” で決着させたサッカーリーグ」という事実がまた1つ積み上がることになります。
リーグ機構側が「問題である」との認識を持てば、『昨日まで合法だった慣習』が(スポーツ司法の領域では)違法となってクラブや役員は断罪されるのです。この仕組みが温存されている状況はカルチョ界にとってマイナスでしかありません。
“リスク評価ができない投資先” には資金が集まらず、イタリア・サッカー界が経済的な苦境に追い込まれる要因になるだけからです。
アニェッリ前会長にとって重要なのは「最後まで戦い抜く姿勢を採り続けること」でしょう。
スーパーリーグ構想でも同じです。FIFA や UEFA の独占的立場が合法と認定された場合は「FIFA による代表チームへの招集義務はクラブチームの財産権を侵害している」と主張できるからです。
アニェッリ前会長が "Fino alla Fine" の姿勢を貫き通すことができるのかに注目です。