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アボディ・スポーツ大臣、「2032年欧州選手権の誘致はスタジアム整備を行う千載一遇の好機」と持ち上げる

 スカイ・イタリア』によりますと、イタリアのスポーツ大臣を務めるアンドレア・アボディ氏が「2032年開催の欧州選手権を誘致してスタジアム整備などを進めよう」と呼びかけたとのことです。

 イタリア・サッカー連盟(FIGC)のプランに同調した形ですが、ユベントスにとっては「どうでもいい問題」と言えるでしょう。

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 イタリア・サッカー界が『2032年欧州選手権』の開催を熱望する理由は「スタジアム改修を行う絶好の契機になるから」です。開催候補都市のスタジアム所有者を見れば一目瞭然です。

表: 欧州選手権2032の開催候補都市
都市 所有者 形態 収容
ミラノ【サン・シーロ】 自治体 専用 75000
トリノ【アリアンツ】 クラブ 専用 41000
ヴェローナ 自治体 陸上トラック 39000
ジェノヴァ 自治体 専用 36000
ボローニャ 自治体 陸上トラック 38000
フィレンツェ 自治体 陸上トラック 47000
ローマ【オリンピコ】 CONI 陸上トラック 70000
ナポリ【サン・パオロ】 自治体 陸上トラック 55000
バーリ 自治体 陸上トラック 58000
カリアリ【仮設】 - - -
パレルモ 自治体 陸上トラック 36000

 ほとんどが「自治体の保有する陸上トラック付きの競技場」という “ダブル・イエロー” の状態です。

 魅力的なサッカーを展開するには専用スタジアムが理想です。そのための投資を自治体に促すために『2032年欧州選手権』をイタリアに誘致したいのでしょう。

 

 ただ、誘致に成功しても「地方自治体にスタジタム整備の予算を拠出する」という法案が可決されるとは限りません。なぜなら、大都市の自治体ほど反対票を投じる可能性が高い状況にあるからです。

  1. (事実上の)自前スタジアムを保有
    • 例:ユベントス、サッスオーロ、アタランタ、ウディネーゼ
  2. FIGC の上部組織である CONI が保有
    • 例:ローマのスタディオ・オリンピコ
    • スタジアム整備費で困ることはない
  3. 改修から間もない
    • サン・シーロ(2016年に改修):ミラン、インテル
    • サン・パオロ(2019年に改修):ナポリ

 5年以内に修繕が行われたミラノやナポリの自治体が「10年以内での再改修」に乗ることはないでしょう。ローマは自治体が所有者ではないため、予算を取られることを嫌っても不思議ではありません。

 “欧州選手権の試合が開催されない地方都市” が「陸上トラック撤去の改修工事を実施するための補助金給付」を申請した場合に『公平性』が担保されているかが焦点になるでしょう。

 

 多焦点カメラが設置された自前スタジアムを有するユベントスにとっては「どうでもいい問題」です。アボディ大臣は人種差別チャントも問題視していますが、ユベントス所属選手への人種差別チャントは黙認されているからです。

 大規模な投資をする前に『多焦点カメラの設置』や『スタジアムの区画閉鎖』など “やるべきこと” を遂行する必要があると思われます。