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コラム: 取締役会の総辞任がユベントスに与える影響

 不正会計疑惑に見舞われているユベントスの取締役会が総辞任を選択し、ユベントスは新たな経営陣の下で再出発する見通しとなっています。これがクラブにどのような影響を及ぼすかを考察したいと思います。

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クラブ経営: 方向性は不変

 経営陣が変わったことで最も影響を受けるのは「経営方針」ですが、ユベントスの場合は「不変」となる可能性が大です。これは今年9月末に発表された決算資料で『今季からの3年計画』の採択が示されているからです。

  • 2022/23 シーズンからの『3年計画』
    1. 中長期における経済・財務バランス
    2. グローバル市場でのユベントス・ブランドの認知度向上
    3. ESG テーマの組み込み
    4. スポーツ産業の改革および持続可能で包括的な進化プロセスにおける役割

 パラティチ CFO 時代の拡大戦略で巨額の累積赤字を溜め込んだことで親会社である Exor から「持続可能な経営」を注文付けられており、クラブは『3年計画』の実行に向けて動いていました。

 Exor から指名されたフェレーロ会長候補は監査や財務で実績を残しており、スカナヴィーノ GM は FIAT でブランド戦略に携わった経歴を有しています。

 これらの動きから勘案すると『3年計画』の「促進」はあったとしても「方針転換」はないでしょう。

 したがって、クラブ財政の健全化による『経営再建路線』が強まることになると予想されます。

 

トップチーム

 トップチームの中長期的な目標は「(親会社である)Exor の株主にユベントスを保有し続ける費用対効果があると示すこと」になります。

 パラティチ CFO 時代の拡大経営で(Exor の資本を)散財しており、「チーム売却を考えるべき」との強硬論が Exor の株主から提言されても不思議ではない状況です。

 そのため、Exor 経由での大きな資金援助は期待できないでしょう。したがって、2023年の移籍市場では必然的に「大型案件とは一線を画す」ことになると思われます。

 これは「移籍市場で動けない」という意味ではありません。

 ケルビーニ SD の裁量で取引が成立する選手は獲得できるはずです。 “シーズン当初からの予算範囲内” であれば選手層の補修はできるため、「2022/23 シーズンでの影響度は限定的」と言えるでしょう。

 むしろ外野が騒がしくなったことで選手たちが試合に集中し切れなくなるメンタル面の方が問題です。この部分をアッレグリ監督がどうマネジメントできるのかもポイントになるでしょう。

 

Bチームおよびプリマヴェーラ

 アニェッリ会長が辞意を表明する前日にアリアンツ・スタジアムで FIGC のグラヴィーナ会長なども出席した「Next Gen のお披露目会見」を行なっていましたが、Bチームは今後も維持・運用されると思われます。

 理由は「Bチームで研鑽を積んだ選手がトップチームやセリエAで頭角を現している」からです。

 『Bチームで研鑽を積んだ選手を売却して収益を得るスキーム』は未確立ですが、Bチームから各国の1部リーグで通用する選手がコンスタントに供給されることで完全移籍を選択する選手も出てくるはずです。

 “ユベントス以外のクラブに活躍の場を移す若手有望株” が移籍金を置き土産として残してくれればBチームの費用対効果は優れたものになります。持続性を考えるのであれば、育成部門への “適切な” 投資は今後の続くことでしょう。

 

 雑音が大きくなることは予想されますが、現状では「取締役会の総辞任がクラブのスポーツ部門に与える影響は限定的」と思われます。