チアゴ・モッタ監督の就任が正式に発表されたため、ユベントスが「3バックから4バックへの移行」を目指す方向性であると判明しました。そのユベントスに2024年の移籍市場で求められる動きを各ポジションごろに整理することにしましょう。
GK 陣:若返り
GK 陣はトップチームの3選手がいずれも「30歳以上かつ現行契約が2025年夏までで残り1年」となっていることから、『若返り』を進めなければなりません。
- 2023/24 シーズンのユベントス GK 陣:
- シュチェスニー: 34歳
- ペリン: 31歳
- ピンソーリョ: 34歳
3選手の関係性がどれだけ良好であっても、2024/25 シーズン以降を見据えると「後任になり得る GK を誰1人として確保できていないこと」は編成的に極めて不味い状況です。
「2025年夏に上述の3選手が契約満了で全員退団」というシナリオが現実に発生する可能性があるため、「今夏の移籍市場で1人は入れ替えること」が不可避と言わざるを得ないでしょう。
「どの GK を入れ替えるのか」はフロント陣の判断に委ねられます。
DF 陣: センターバック陣のスリム化とサイドバックの補充
次に、DF 陣は「『CB 陣のスリム化』と『サイドバックの補充』」の2点が課題です。
LSB | LCB | RCB | RSB | |
---|---|---|---|---|
候 補 |
カンビアーゾ | T・ジャロ | ブレメル | ダニーロ |
(コスティッチ) | ハイセン | ガッティ | デ・シリオ | |
ルガーニ | ||||
貸 | F・ゴンサレス | リッチオ | バルビエリ | |
育 | トゥリッキア ローヒ |
ムハレモヴィッチ | サヴォナ |
- センターバック陣が抱える課題
- 3バック用に人数を揃えていたので4バックだと余剰人員が発生
- ダニーロを含む6選手は全員が右利き
- 左利きはF・ゴンサレスとムハレモヴィッチの2人
- サイドバック陣が抱える課題
- 3バック時にポジションが存在しなかったので適任者が限定的
- レンタルバック組もピサ(セリエB)のバルビエリのみ
“トップカテゴリーでのプレー経験を有する左利きの CB” が不在だから、カラフィオーリ選手(ボローニャ)やキヴィオル選手(アーセナル)の名前が補強候補として出ているのです。
ただ、それよりも「サイドバックとしてトップカテゴリーでプレーした選手の頭数が足りない」ことの方が深刻な問題です。
「レギュラーに休養を与えられるクオリティーを持ったサイドバックの選手をどのように確保するか」が DF 陣での最重要課題となるでしょう。
MF 陣: レジスタ役の序列付け
MF 陣に関しては「レジスタ役を担う選手の序列付け(および評価が低い選手の放出)」が課題です。
レジスタ候補 | 8番 | 10番 | |
---|---|---|---|
候補 | ロカテッリ | マッケニー | ユルディズ |
ファジョーリ | ミレッティ | ||
ニコルッシ | |||
復帰組 | アルトゥール | ||
バッレネチェア | |||
育成 | ノンジェ | ハサ | |
退団? | ラビオ | ポグバ |
“主戦レジスタとしてプレーしたロカテッリ選手” に “本人がレジスタ起用を熱望するファジョーリ選手” が在籍し、アルトゥール選手とバッレネチェア選手がレンタル先から戻ってくるのです。
ボランチは『レジスタ役(or アンカー役)』と『護衛役』がセットで起用されるため、“レジスタ役やアンカー役が専任の選手” ばかりだと編成上の偏りが生じてしまいます。
現状の5選手では多すぎますし、「2〜3選手まで絞り込む」とともに「4番手以降の序列となった選手の放出(やコンバート)」を進める必要があります。
コープマイネルス選手やドウグラス・ルイス選手が補強候補としてメディアが盛んに記事を配信していますが、まずは『レジスタのポジションからの放出』を進める必要があるでしょう。
FW 陣: 適性ポジションへの配置を伴った再編成
最後に FW 陣に関しては「左サイドの攻撃的なポジションを本職とする選手が飽和状態であることの解消」がテーマです。
LWG | CF | RWG | |
---|---|---|---|
候補 | キエーザ | ヴラホヴィッチ | T・ウェア |
イリング | ミリク | ||
コスティッチ | ケーン | ||
(ユルディズ) | |||
復帰組 | スーレ |
ユルディズ選手を『左サイドの攻撃的なポジション』が本職と見なすと、そのポジションには現状で4選手が在籍。コンバートを含めたスリム化が不可避が状況です。
CF 陣はヴラホヴィッチ選手をエースとするなら、同じく2000年生まれのケーン選手は放出対象。
ただ、ケーン選手を放出した上で『右 WG』にスーレ選手の売却益で同系統の選手を獲得してしまうと「ユベントスの下部組織に加入してもトップチームで実力をアピールする機会すら与えられない」と有望株から敬遠される要因を作ることになってしまいます。
この “落とし穴” には注意しなければならないでしょう。
“今夏の移籍市場での意中の選手” は『現在の若手有望株』を売却することで獲得は可能と考えられます。
しかし、“今夏の移籍市場で獲得した選手” がポジションを埋めるため、『数年後の若手有望株』がユベントス(の下部組織)への加入を敬遠する副作用もあるのです。
目先の取引に固執するだけではなく、数年後も見据えた大局観のあるチーム編成を進めることができるのかにも注目です。