ユベントスは公式サイト上でロナウド選手が 2019/20 シーズンの未払いとなっていた年俸分の支払いを求めた案件で「要求の半額分(約980万ユーロ)の支払い」を仲裁委員会から下されたと発表しました。
クラブがプレスリリース(PDF)で報告した概要は以下のとおりです。
- 『2020/21 シーズンにおける報酬減額の合意』についての有効性は認められた
- 当事者間での統一合意は存在せず
- “ロナウドカード” に拘束力なし
- クラブ側の悪意も認定されず
- ロナウド側が求めた『報酬減額の合意』の破棄も棄却
- 当事者間の報酬減額交渉は決裂したが、ユベントスには契約前責任がある
- 正規報酬額の 50% に相当する約980万ユーロの支払いを命じられる
- ロナウド側の要求額は1960万ユーロ
ロナウド選手が要求した『未払い分の年俸』は「新型コロナによってセリエAなどの公式戦の開催が中断された 2019/20 シーズン後半戦」に支払われるはずだったものです。
“後払い” を余儀なくされた年俸分を「断念する」か「回収する」かは個人の自由。ロナウド選手は後者を選択し、仲裁を求めました。
仲裁の裁定は「両者痛み分け」。双方が報酬減額交渉で合意に達していなかったですし、『どちらか一方の主張を支持しなければならない』という形式の仲裁でなければ『両者の主張の中間点』を採った裁定が下されるのは普通だからです。
したがって、この裁定結果は想定の範囲内と言えるでしょう。
ユベントスは『ロナウド選手との報酬減額を新たに盛り込んだ契約』を “締結する前” の段階で「所属契約に基づき該当期間中に約1960万ユーロの年俸報酬を支払う責任」を負っていたことが理由です。
なお、ユベントスは「弁護士からの助言を得て仲裁委員会の裁定内容を精査する」と言及。仲裁結果に不服であれば民事で争う選択肢もあるため、次の1手をどうするかが注目点になるでしょう。
未払い分の年俸を支払う場合は「特別損失」で処理をし、FIFA クラブW杯出場で手にする「臨時収入」を支払いの原資にすると考えられます。
若手有望株を売却してロナウド選手への未払い分の年俸を捻出する必要性はないため、クラブの経営陣が粛々と事後処理に当たると思われます。