主要国で2023年夏の移籍市場が閉幕し、2023/24 シーズン前半戦に向けた各チームの顔ぶれが固まりましたのでユベントスのフロント陣の動きに対する寸評を行いたいと思います。
「人件費を上手く圧縮しつつ良いチーム編成ができた」との評価を得られることでしょう。
2023/24 シーズン前半戦のチーム編成
ジュントーリ FD (とマンナ 1st Team FD)が作り上げた 2023/24 シーズン前半戦でのユベントスは以下のとおりです。
主力組 | 準主力組 | |||
---|---|---|---|---|
選手名 | 年俸 | 選手名 | 年俸 | |
シュチェスニー | €6.5m | GK | ペリン | €1.7m |
ピンソーリョ | €0.3m | |||
ダニーロ | €5m | RCB | ガッティ | €1m |
ブレメル | €5m | CB | ルガーニ | €3.5m |
? | LCB | A・サンドロ | €6m | |
ハイセン | ||||
T・ウェア | €2m | RWB | マッケニー | €2.5m |
ファジョーリ | €1m | RMF | ミレッティ | €1m |
ロカテッリ | €3m | DMF | ニコルッシ | |
ラビオ | €7m | LMF | ポグバ | €8m |
カンビアーゾ | €1.5m | LWB | イリング | €1m |
コスティッチ | €3.5m | |||
ヴラホヴィッチ | €7m | FW | ミリク | €3.5m |
キエーザ | €5m | FW | ケーン | €3m |
ユルディズ | ||||
€43m | 合計 | €35m | ||
選手名 | 年俸 | 選手名 | 年俸 | |
DF | デ・シリオ | €1.7m | ||
合計 | €1.7m |
クラブが想定する基本フォーメーションは 3-5-2。チーム総年俸は「税別で約8000万ユーロ」です。
昨季(2022/23 シーズン)のチーム総年俸は「税別で約1億ユーロ」でしたから、2000万ユーロの圧縮をしたことになります。税込だと4000万ユーロ弱であり、この成果は高く評価されることでしょう。
また、アルトゥール選手との契約延長とボヌッチ選手の退団で「減価償却費が年間1000万ユーロの圧縮」も達成しています。こうした地道な取り組みに対する正当な評価は得られるべきでしょう。
準主力組は基本的に『クラブ内育成選手』で占められている
もう1つの評価ポイントは「準主力組の半数以上が “ユベントスのクラブ内育成選手” で占められていること」です。
- 準主力組の選手が有する選択肢:
- 主力組の選手とのポジション争い
- 中堅やベテランでポジションを失った主力選手は退団へ
- 出場機会を求めての移籍
- 主力組の選手とのポジション争い
『チーム戦力を最大化するための選手起用』が行われていれば「ポジション争い」は必然的に発生しますし、その結果としてチームを離れる選手が生じることは不可避です。
ただ、“退団する選手がクラブ内育成選手” だった場合は「(獲得コストが安価であるため)クラブが手にする売却益が大きくなる」という利点があります。
クラブ内育成選手がトップチームに関わった形での “新陳代謝” を活発にすることは「クラブ収益の改善」にも大きく寄与するため、その土台が整いつつあることも評価されるべきと言えるでしょう。
2024年夏の移籍市場も「選手売却」を念頭に置いた動きが求められる
来年・2024年夏の移籍市場での注目点は「フィオレンティーナに期限付き移籍中のアルトゥール選手が買い取られるか」です。クラブ全体としては「選手売却」に念頭を置くことが求められます。
'24年夏で契約満了 | '25年夏で契約満了 | ||||
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Po | 選手名 | 年俸 | Po | 選手名 | 年俸 |
DF | A・サンドロ | €6m | GK | シュチェスニー | €6.5m |
DF | ルガーニ | €3.5m | GK | ペリン | €1.7m |
MF | ラビオ | €7m | DF | ダニーロ | €5m |
DF | デ・シリオ | €1.7m | |||
MF | マッケニー | €2.5m | |||
FW | キエーザ | €5m | |||
FW | ケーン | €3m | |||
FW | イリング | €1m | |||
計 | €16.5m(税別) | 計 | €26.4m(税別) |
ユベントスには “2025年夏までの現行契約を締結している選手” がトップチームに10名弱もいるため、2024年夏の移籍市場を迎えるまでに『契約延長か売却かの方向性』を定めておく必要があります。
「費用対効果の見合っていない選手が複数在籍しているので人件費を圧縮する余地は大いに残っている」がユベントスの現状です。
年俸規律に基づきながらチームの戦力値を上手く維持する編成作業を継続することができるのかに注目です。