2023年夏の移籍市場が開くまで1週間ほどとなったこともあり、ユベントスに関する移籍報道も “例年と同じ手法” での獲得が盛んに報じられています。
ただ、今夏は「チーム総年俸の削減」が至上命令であり、マスコミの報道はほとんどが空回りに終わるでしょう。
30% 前後のチーム総年俸の圧縮が必要
2023/24 シーズンのチャンピオンズリーグ出場権を喪失したユベントスは CL 関連の収入(約1億ユーロ)が消えるため、「チーム総年俸の圧縮による事業費の削減」と「選手売却による特別収入」で収支のバランスを取る必要があります。
2022/23 シーズンにユベントスが費やしたトップチームの総年俸は税別で約1億ユーロ。(※ 税込だと2億ユーロ弱になる)
「30% 前後の削減を行なった 6700〜7500万ユーロ」がトップチームの総年俸の目標値になるでしょう。
2022/23 | 2023/24 | |
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GK陣 | €10m | €7m 〜 €8m |
DF陣 | €30m | €20m 〜 €22m |
MF陣 | €30m | €20m 〜 €23m |
FW陣 | €30m | €20m 〜 €22m |
チーム全体 | €100m | €67m 〜 €75m |
ちなみに、2022/23 シーズン前期に費やされた『選手年俸およびスタッフ費用』は前年同期比で -20% でした。
来シーズンは今季よりもトップチームの総年俸の削減率が大きくなることは避けられません。したがって、イタリアのメディアが報じるような移籍交渉をユベントスが妥結する可能性は低いと思われます。
年俸を支払う余力が残されていない
理由は「主力選手として獲得した選手を新たに登録するための余白がチーム総年俸の枠内に残っていない」からです。
MF 陣の編成予算を2000万ユーロとした場合、主力4選手(ポグバ・コスティッチ・ロカテッリ・ファジョーリ)の推定年俸で1600万ユーロ。400万ユーロ+αの予算で残りの MF 陣を編成する必要があるのです。
フラッテージ選手やミリンコヴィッチ=サヴィッチ選手を獲得すれば DF 陣や FW 陣の編成に “しわ寄せ” が行くことは不可避であり、獲得を敢行して「FFP 違反による CL 登録枠の制限」となっては本末転倒です。
そのため、「マスコミがアクセス数を稼げるような派手な補強は今夏のユベントスでは起きにくい」との結論にならざるを得ません。
無い袖は振れないため、ユベントスのフロント陣が「派手さはないが的確で渋い補強」にどれだけ注力できるかがポイントになると思われます。