日本の最高裁に該当するイタリア破毀院(Corte Suprema di Cassazione)がユベントスに関する不正会計疑惑をローマ地裁の管轄区域下で審理する決定を下したと『スカイ・イタリア』など各メディアが報じています。
「 “捜査を主導していたトリノ検察” が蚊帳の外に置かれたこと」がポイントと言えるでしょう。
事の発端は “トリノ地検が申請した(異例とも言うべき長期に及ぶ)盗聴捜査” をトリノ地裁が許可したことです。その盗聴捜査の結果を理由にユベントスは以下の件で訴追されました。
- ユベントスがトリノ地検から訴追されている項目:
- 上場企業として不適正会計報告(2019/21シーズン)
- 監査機関への妨害行為
- 移籍市場での不正操作
ただ、被告側であるユベントスは「地検と地裁は “グル” 」と疑ってトリノ地裁での審理にクレーム。
株式上場企業であることを理由に「株式が上場されているミラノ市場のあるミラノ」か「証券監査当局のあるローマ」での審理を要求し、行政機関による裁定を求めました。
7月中旬には破毀院(の司法長官)が「担当の裁判所をミラノに変更することが望ましい」との声明を出していましたが、公聴会の結果は「(証券監査当局のある)ローマの裁判所で審理を行う」でした。
この決定はユベントスにとって悪くはないでしょう。
“トリノ地検からの無理筋な盗聴捜査申請を許可してしまったトリノ地裁” には「一般司法でもユベントスに有罪判決を下さなければならない(メンツ的な)事情」がありますが、トリノ地裁以外はそうした切実な事情を持たないからです。
捜査を主導した検事は(ナポリファンを公言する映像が問題にもなって)異動済みですし、一般司法で有罪判決が出るような証拠が新たに提示される可能性は低いと思われます。
ローマ地裁の管轄下での審理日程がどうなるのか等の続報に注目です。