『トゥット・スポルト』によりますと、トリノ地検がユベントスに対する「架空の請求書を用いたキャピタルゲイン創出容疑」の訴えを取り下げたとのことです。スポーツ司法で証拠採用されなかった事実がすべてでしょう。
ユベントスは不正会計疑惑についてスポーツ司法では「和解」を選択しましたが、一般司法での審理は継続中です。トリノ地検が訴えの一部を取り下げたため、状況は以下のようになっています。
- 審理中:
- 上場企業として不適正会計報告(2019/21シーズン)
- 監査機関への妨害行為
- 移籍市場での不正操作
- トリノ地検が訴えを取り下げ:
- 架空の請求書を用いたキャピタルゲインの創出
『架空の請求書を用いたキャピタルゲインの創出』は裏付けが容易です。“請求先に記されたクラブ” に対して「〇〇年度の決算期におけるユベントス・フットボールクラブ株式会社との取引履歴を開示せよ」との行政命令を出せば済むからです。
ユベントスが実在しない架空取引をしていれば、相手側の決算書との齟齬が生じます。また、その齟齬は(一般司法に先駆けて結論が出された)スポーツ司法でも「不正の証拠」として使えるのです。
しかし、イタリア五輪委員会(CONI)やイタリア・サッカー連盟(FIGC)が勝点剥奪処分の根拠にしたのは「不誠実」という抽象的な概念でした。それが事実を物語っていると言えるでしょう。
今後は『監査機関への妨害行為』や『移籍市場での不正操作』についての訴えも取り下げられることになると思われます。
- 架空の請求書を用いてキャピタルゲインを創出していた証拠がないのはユベントスが監査機関の調査を妨害していたから
- 架空の請求書を用いてキャピタルゲインを創出する行為は移籍市場での不正操作
(ナポリファンを公言する)一部の検事が「ユベントスは不正に手を染めているに違いない」との決め付けで捜査を始めたのです。当局は不正を裏付ける証拠がなければ「民事は管轄外」との理由でフェードアウトするでしょう。
その検事は異動となっているからです。
FIGC が “場外乱闘” を仕掛けなければ、ユベントスは『財政面でのソフトランディング』ができたかも知れません。しかし、実際には『ハードランディング』を余儀なくされました。
横暴を働いた当局を野放しにしておくことはサッカー界への投資を敬遠させる要因になるだけです。行政訴訟など必要な報復措置を採る気骨が備わっているのかが重要になるでしょう。