イタリア五輪委員会(CONI)は公式サイト上でユベントスが行なった勝点剥奪処分などへの控訴を差し戻しにしたスポーツ保証委員会での裁定理由を発表いたしました。「スポーツ法第4条を理由とする制裁に問題はなし」と追認しています。
75ページで構成される超大作(PDF)となっており、判決の概要は以下のとおりです。
- 事実関係の法的認定を行うのは裁決機関の特権
- 確立済みの規則に基づく違反行為に対する制裁も裁量に含まれる
- 公平性の原則に反する行為はスポーツ法第4条で制裁を科すことができるとの記述がある
- ユベントスはクラブとして、いかなる場合にもスポーツ法第6条に基づく責任を負う
差し戻しとなった理由が記されているのは36ページ目の項目 2.2.4 あたりからです。
CONI のスタンスは「身内であるスポーツ司法の面子を最大限尊重する」というもの。スポーツ法第4条は【理念法】ではなく【実体法】として扱って制裁を科す行為と手続き(の正当性)は容認される形となりました。
ただ、さすがに現行判決では「給与未払いかつ税金未納のサッカークラブへの制裁が勝点3の剥奪」との整合性が取れません。そのため、『FIGC の連盟控訴裁判所への差し戻し』が決定したのでしょう。
ユベントス側の弁護士は「(キャピタルゲイン問題を違反と定めた)規則が制定されていないのだから制裁処分を破棄しろ」と訴えていましたが、CONI は認めませんでした。
制裁が『棄却』されると FIGC の連盟控訴裁判所の面子が丸つぶれになってしまうからです。一方で『差し戻し』だと連盟控訴裁判所は再審を経た上で “新たな制裁処分を科すこと” が可能です。
「あまりにあからさまな制裁でなければ問題なし」と CONI がお墨付きを与える評決を下したため、ピッチ上で獲得した勝点が順位表に反映されない『悪しき前例』が作られつつある状況となっています。
次なる注目点は「FIGC の連盟控訴裁判所で勝点9の剥奪を要求したキネ検事の差し戻し審での求刑」でしょう。その次が「(求刑を上回る)勝点15剥奪の制裁を決定した連盟控訴裁判所の差し戻し審での判決」です。
イタリアの移籍市場は『今後の冷え込みが確定的な状況』となっているだけに「FIGC がカルチョの地盤沈下にどれだけの危機感を覚えて対抗策を講じようとしているか」が鍵になると思われます。