UEFA が公式サイト上で欧州司法裁判所が示した見解(PDF)を歓迎する声明を発表しています。UEFA 側の主張が “ほぼ” 全面的に認められたのですから、当然と言えるでしょう。
ただ、スーパーリーグの発足に動いている3クラブと「完全決別したことによる損失」が現実のものとなっていないため、司法が明確な判断を避けた印象があることも事実です。
UEFA が歓迎しているのは以下の部分でしょう。
- 「新たな競技会は UEFA や FIFA の事前承認が必要」との規則は 『EU の競争法』に反しない
- 『EU の競争法』は UEFA や FIFA などへの加盟クラブが新たな競技会に参加する場合に制裁を発することを禁じていない
要するに、「スーパーリーグに参加する際には UEFA や FIFA の事前承認を得る必要がある」との規定が合法と意見され、“実際に参加したクラブ” への制裁を発しても問題はないとの見解が示されたからです。
しかし、現時点で存在しているのは “スーパーリーグ構想を支持するクラブ” です。
この段階で制裁を科した場合は問題がややこしくなることは明らかであり、「塩漬けにできるか」が UEFA 側の課題となるでしょう。
一方で UEFA 側も対応を誤ると痛手を被る可能性がある見解が示されています。
- 『新たな競技会の許可申請』を審査する際に、第三者が市場にアクセスすることを不当に拒否されないと保証する義務を負う
スーパーリーグ構想が発表されたのは2021年4月のことですが、2021年の下半期には『LIVゴルフ』が発足。資金力を背景に2022年の初年度でインパクトを残しました。
また、2022年2月にロシアがウクライナに侵略したことで UEFA や FIFA はロシアを主催大会から除外。
その一方で FIFA のインファンティーノ会長が「カタールW杯期間中は休戦を」とロシアとウクライナに呼びかけるセンスのなさを示しています。
今後は『スーパーリーグの許可申請』が正面から提出されることになるでしょう。
推進派は「許可を得てからリーグ発足に向けた動きを本格化させる」との立場を採れますし、妨害行為があれば “許可申請を提出した第3者” が UEFA を相手取った訴訟に踏み切ると考えられるからです。
現在は欧州司法裁判所の「見解」が示されただけですが、「正式な判決」がどうなるのかに注目です。