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コラム: 絶滅寸前の『ボールを持たずに試合を支配する術を体得した選手』を求めるアッレグリの先行きは暗い

 アッレグリ監督が再就任したユベントスですが、現状は「監督の年俸に見合っているとは言い難い成績」に留まっていることは否定できません。

 また、アッレグリ監督が求める選手が絶滅寸前であることから「先行きは暗い」と言わざるを得ないでしょう。

画像:軌道に乗ったとは言い難いアッレグリ監督の第2期政権
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アッレグリが志向するスタイルには「ボールを持たずに試合を支配する術を体得した選手」が必須

 まず、アッレグリ監督が志向するプレースタイルには “ボールを持たずに試合を支配する術を体得した選手” が必要不可欠です。第1期にはその条件を満たす選手が主力として君臨していました。

 相手にボールを持たれてもピッチ上にいる選手は「ボールを持たずに試合を支配できる」のですから、焦ることはありません。

 焦りは残り時間が少なくなるほど「(リードを許して)攻めあぐねる相手チーム」に出やすくなります。ただ、アッレグリ監督が第1線を離れていた2年間に “環境” が予想を上回る速度で激変しました。

 これが今季(= 2021/22 シーズン)の苦戦を引き起こす原因の1つです。

 

『ボールを持たずに試合を支配する術を体得した選手』は絶滅寸前

 アッレグリ監督が志向するプレースタイルが機能しなくなっている理由は「『ボールを持たずに試合を支配する術を体得した選手』が絶滅寸前だから」です。

 理由は「育成方針の変化」です。『ボールを持たずに試合を支配する術』は “カルチョの伝統” ですが、育成方針の転換で教わる機会が失われました。

 イタリアでも『ボールを保持して試合の主導権を取る』との価値観に基づく育成が一般的です。ユベントスでは「Bチーム(= U-23)が発足した 2018/19 シーズン」から本格的に追従しており、アッレグリ監督もトレンドは知っているはずです。

 また、イタリアと同系統だったウルグアイも『ボール保持』を重視する育成に舵を切りました。

 こちらは「シメオネ監督のアトレティコ・マドリード」がプレースタイルの方針転換を強いられる原因となっており、『ボールを持たずに試合を試合する術を体得した選手』が補充されない現状に適した解決策を打ち出す必要があるでしょう。

 

アッレグリが「前提が変わったこと」に対応できないと経営陣の思惑は外れる

 アッレグリ監督のアプローチは悪いものではありません。以下の発言は『ボール保持を基本とするポジショナルプレー』でも通用するアプローチだからです。

  • ボール非保持をネガティブに捉える必要はない
  • 戦況に応じて “選手自身が” 『理に適った判断』をすることが重要

 「ハイプレスからのショートカウンター」があるのですから、ボール非保持をネガティブに捉える必要はありません。「ボールを奪う形と速攻の流れをチームとして共有できているか」が鍵になります。

 それに “ファイナルサードでの仕掛け” は「選手による咄嗟の判断」に依存していることが実情です。仕掛けの形は『チーム戦略』として共有されていますが、どの仕掛けを選択するかは『個人の戦術判断能力』が優先されているからです。

 そのため、現実主義者のアッレグリ監督に要求されているのは「『ボールを持たずに試合を試合する術を体得した選手』の補充が期待できない環境で結果を残す最適解を出すこと」と言えるでしょう。

 

ハイパーオフェンスへの対応策は「鉄壁の守備」だけではない

 現代サッカーを表現すると「ハイパーオフェンス全盛期」となるでしょう。伝統的に守備型のチームであるユベントスに『NFL の戦術』がヒントになるはずです。

  • ハイパーオフェンス全盛期に “伝統的に守備型のチーム” はどのようなチーム作りをすべきか
    1. 守備陣を強化し、より鉄壁にする
    2. トレンドに追従し、ハイパーオフェンス型のチーム作りに着手

 『A』はアッレグリ監督のアプローチです。第1期政権で用いていましたし、第2期でも現状を見る限りでは「採用」と言えるでしょう。

 『B』にはサッリ監督とピルロ監督が分類されます。これはビッグクラブ間の財務力を無視したフロント陣の暴走もあり、取り組みは「失敗」に終わりました。

 現実的にアッレグリ監督が取り入れることができるのは『C』でしょう。ここには「ラン(RUN)攻撃」が入ります。

 攻撃力勝負となると資金力で劣るユベントスに欧州での勝ち目はありません。だから、『確実に前進して時間を消化できるラン攻撃』で相手チームの攻撃時間を奪い取ることで『守備をしていることと同じ効果』を狙うのです。

 「こちらの発想にアッレグリ監督が切り替えられるか」が今後の命運を握ることになるでしょう。

 

 戦争と同じで「相手の脅威はできるだけ遠方で阻止した方が良い」に決まっています。

 もちろん、ゴールラインのギリギリで防衛することは可能ですし、相手に苦戦を強いる戦術は存在します。ただし、“選手の体力・精神力・頭脳を代償にした消耗戦” となるため、そこに相手を呼び込むべきではありません。

 アッレグリ政権で第1期の時から筋肉系の負傷者が頻発していることは採用している戦術と無関係ではないでしょう。

 アッレグリ監督は「結果を追求する現実主義者」と「過去の栄光に固執する懐古主義者」の岐路に立っているのではないでしょうか。