NO JUVE, NO LIFE!!

- FINO ALLA FINE - ユベントス関係のニュース記事を扱うサイト

ユベントスのキャピタルゲイン問題の現状 【2021年12月4日時点】

 ユベントスが「キャピタルゲインの不正計上」の容疑で当局から捜査を受けている件で対象が各所に拡大しています。ただ、捜査対象は当初から変わっていません。現状を整理することにしましょう。

画像:渦中にいる当時のフロント陣
PR

 

疑惑の内容

 容疑がかかっているのは「2018/19 シーズン以降から3シーズンで選手登録権益を “水増し計上” していたのではないか」というものです。

 2016/17 シーズンから5シーズンの決算を確認しますと、『デロイトのフットボール・マネーリーグ』と『ユベントスの決算書』に記された売上高には下記の差があります。

画像:ユベントスの売上高

 そのため、「適切な計上がされていないのではないか」との疑いがかけられているのです。

 

Q. なぜユベントスだけが捜査の対象に?

 ユベントスが捜査の対象になった理由は「ユベントス・フットボールクラブ株式会社が上場企業だから」です。

 上場企業ですから、決算書の虚偽記載は金融犯罪に該当します。本件で捜査に乗り出したのは “金融警察” であり、同様の交換トレードを行なっていたサッカークラブは “現状では” 捜査の対象にはなっていません。

 ただ、今後の展開次第では捜査の手が伸びる可能性はあります。したがって、しばらくの間はこの話題で持ち切りとなるでしょう。

 

Q. マロッタ GM 時代が捜査対象外となっている理由は?

 マロッタ GM が取り仕切っていた 2017/18 シーズンまでにも巨額の選手登録権益が計上されていますが、これらが捜査の対象から外れていることを疑問に思う人はいるでしょう。これには理由があります。

 それは「巨額の選手登録権益が計上した理由を説明できるからです。

  • 2016年8月:ポグバを売却(1億ユーロ)
    → 2016/17 シーズンの決算に反映
  • 2017年7月:ボヌッチを売却(4200万ユーロ)
    → 2017/18 シーズンの決算に反映

 マロッタ GM 時代に巨額の選手登録権益が計上されたのは「主力選手を(交換トレードではない形式を用いて)高値で売却したから」です。選手登録権益の大部分を1人の選手が稼ぎ出しており、それで説明が付くのです。

 しかし、パラティーチ CFO が実権を握った 2018/19 シーズン以降に「主力選手を高値で売却した移籍オペレーションは皆無」です。にも関わらず、マロッタ GM 時代を上回る選手登録権益を計上しているのですから捜査が行われたのです。

 

Q. 影響は何が考えられる?

 最終的な影響が明らかになるのは「捜査の結果が出てから」です。どう転ぶのかは「神のみぞ知る」です。

 ただ、ユベントスの中長期再建計画に影響は生じています。ユベントスは「最大4億ユーロの増資」をする予定でしたが、増資を募っても買い手が(親会社である Exor を除いて)現れない可能性が現実味を帯びています。

 見込んでいた資金を確保できないと「再建に投じる予算にも制限がかかる」ため、当初の再建計画を実行に移せなくなります。この影響はボディーブローのように効いてくるでしょう。

 また、捜査の結果が『有罪』だった場合は「UEFA のコンペティションへの出場機会を喪失」します。これは「FFP に違反する粉飾決済に手を染めていた」と見なされることと同義だからです。

 もちろん、イタリア国内でも「勝点の剥奪」などの罰則が科されることになるでしょう。しかし、ペナルティーの有無に関しては『当局の結論』が確定しない限り、何も決まらないことも事実です。

 

 “新たな容疑者” と “新たな疑惑” が次々に報じられる展開となっていますが、容疑が「2018/19 シーズン以降の3シーズンで選手登録権益の水増しによる不正会計および不正計上」の範疇であることは当初から不変です。

 『当初の容疑』に対する捜査の結論がどうなるのかに注目です。