NO JUVE, NO LIFE!!

- FINO ALLA FINE - ユベントス関係のニュース記事を扱うサイト

ユベントスが 2018/19 シーズン前期の決算内容を発表、ロナウド加入による “負の面” が強すぎる結果が浮き彫りとなる

 ユベントスは公式サイト上で 2018/19 シーズン前期における決算内容を発表いたしました。売上高が過去最高の3億3020万ユーロを記録した反面、事業費・償却費も大きく増えたことで当期収益は750万ユーロに留まっています。

画像:Juventus Club Office

 2018/19 シーズン前期の決算内容は下表のとおりです。

PR

 

表1:2018/19 シーズンの前期決算【単位:百万ユーロ】
前期 変化量
項目 2018/19 2017/18 数値
売上高 330.2 290.6 39.6 13.6%
事業費 226.8 178.7 48.1 26.9%
償却費 86.3 60.9 25.4 41.7%
事業収支 17.0 51.0 (34.0) -66.7%
税引き前損益 11.8 46.3 (34.5) -74.5%
当期損益 7.5 43.3 (35.8) -82.7%

 ロナウド選手の加入で売上高は過去最高を記録。スポンサー・広告収入とライセンス契約収入で約3000万ユーロの増加があるのですから、「プラスのロナウド効果」と言えるでしょう。

 その反面で「事業費(≒ 選手の年俸など)」と「償却費(≒ 移籍金の支払い)」が激増しています。ロナウド選手の獲得には多額の資金が費やされていますので、それによる「負の効果」が現れているのです。

 

1:2018/19 シーズンも赤字で終える可能性が濃厚

 ユベントスは決算書の中で「2018/19 シーズンは赤字で終える予想」と昨年度と同じ記載をしています。ただ、昨シーズンとは置かれている状況がかなり異なっていることに留意しなければなりません。

画像:ユベントスの売上高や事業費などの推移

 2017/18 シーズンの前期は「4330万ユーロの利益」で終えましたが、最終的には1920万ユーロの赤字でした。

 今期は「750万ユーロの利益」で終えているため、かなりの確率で赤字で終えることになるでしょう。なぜなら、選手などの年俸や償却費といったコスト部分が劇的に変化することはないからです。

 したがって、黒字で終えるには「売上高を伸ばすこと」が必須となるのです。チャンピオンズリーグの賞金額が上がっているとは言え、カバーすることは難しいと言わざるを得ないでしょう。

 

2:ロナウド加入は「長期的にはプラス」だが、「短期的にはマイナス」

 ロナウド選手の加入は決算にも大きな影響をもたらしましたが、是非を判断するのはまだ先のことです。

  • 加入によって得られる収益
    • アディダス社と 2026/27 シーズンまでの新契約
    • 最低4億800万ユーロ(年5100万ユーロ)
    • 1500万ユーロの別途ボーナス
  • 加入による財政的な支出
    • 移籍金:1億ユーロ
    • 年俸:3000万ユーロ

 これまでは年2325万ユーロの固定報酬額でしたが、新契約では2775万ユーロ増の年5100万ユーロにまで引き上げられています。今後の契約期間8年で現状よりも2億2200万ユーロのプラスになりますので「負担は吸収できる」とフロント陣は判断したのでしょう。

 しかし、ロナウド選手獲得に要した費用は4年で支払い・償却をするため、その間の財務状況が悪化することになります。「これに耐えられる見込みは現実的ではない」と考えが出てくるのは当然です。だから、普段とは異なる動きが今シーズンは目立っていると言えるでしょう。

 

3:大幅な赤字を計上する可能性が高いから、冬に移籍市場で選手の “換金” に走ったのではないか?

 ユベントスは2019年1月の移籍市場で例年とは異なり、選手を売却する傾向が強く見られました。ただ、クラブの財政状況を見ると、「売り急がなければならない理由があった」と言うこともできるでしょう。

  • 2018/19 シーズン通期の決算で8000万ユーロ超の赤字が出る恐れあり
  • 選手を売却すれば、売上高に計上できる
    1. ベナティア:800万ユーロ(+ボーナス200万ユーロ)
    2. ストゥラーロ:1650万ユーロ
    3. ファビッリ:?万ユーロ
    4. チェッリ:900万ユーロ
    5. アウデーロ:2000万ユーロ

 例えば、上述の5選手は 2018/19 シーズン後期にユベントスが選手登録権を手放しているため、その時点でユベントスは売上高として計上することは可能です。そうすることで赤字額を大幅に圧縮できるのですから、そのような動機があったという仮定は成り立ちます。

 ユベントスは堅実路線のマロッタ前 GM がクラブを離れたことで、拡大路線を進んでいる状況です。有名選手や有名監督の名前が新加入候補としてメディアに踊っていますが、増加する費用と比較すると売上高は期待どおりに増えているとは言いにくい状況なのです。

 アニェッリ会長やパラティーチ CFO は正念場を迎えていると言えるでしょう。シーズン全体での決算がどのような内容となるのかに注目です。