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余剰人員を抱える余裕が失われたユベントス、2021年夏の移籍市場で攻撃陣の人件費削減は不可避な状況に

 2021年夏の移籍市場に向けて例年になく去就報道が騒がしいユベントスですが、これは「クラブの財政難」が発端です。今後も様々なシナリオが報じられると予想されるため、根本的な部分を整理しておくことにしましょう。

画像:去就報道で騒がれ続けるロナウド
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■ コロナ禍で赤字払拭の時間が失われたユベントス

 まず、今夏に攻撃陣の入れ替えが行われると盛んに報じられる理由は「クラブの財政状況が思わしくないから」です。

 直近3シーズンは赤字額が年々増加しているのですから、コロナ禍が起きていなかったとしても再建は必要となっていたことでしょう。

画像:ユベントスの決算

 ユベントスはロナウド選手を2018年夏に獲得しましたが、ロナウド選手加入後のシーズンを黒字で終えたことはありません。しかし、獲得に費やした費用はどこかのタイミングで “回収” する必要があります。

 「チャンピオンズリーグを勝ち上がる(≒ 制覇する)ことで投資分を回収する」というプランが夢物語という現実を突きつけられたに等しい状況である以上、コロナ禍で赤字額が拡大してしまったことを機に『再建』への舵を切らざるを得ない状況となっています。

 

■ 高給取りが多い攻撃陣の再編は不可避

 コロナ禍でクラブの売上高を伸ばすことが困難であることを考えると、再建には「人件費の圧縮」が現実的な手段となります。攻撃陣は高給取りが多いため、選手放出の話が出ることは必然なのです。

 なお、ユベントスが保有権を持つ攻撃陣に費やされている人件費は以下のとおりです。

選手名 現行契約 推定年俸 償却残額
ロナウド(36) 2022 €31m €28m
ディバラ(27) 2022 €7.3m €5.5m
D・コスタ(30) 2022 €6m €11m
モラタ(28)
【買取総額5500万ユーロ】
2021
(オプション)
€5m €45m
キエーザ(23)
【買取総額6000万ユーロ】
2022
(※ 義務)
€5m €50m
ベルナルデスキ(27) 2022 €4m €7.8m
クルゼフスキ(21) 2024 €2.5m €21m
【€7m/yr】
ピアツァ(26) 2023 €2m €3.8m
【€1.9m/yr】

 2021年夏の時点で上述の費用がかかります。今のユベントスに全員を抱える経済的な余裕はないため、『最も厄介な契約形態』が締結されているキエーザ選手を除いて去就報道が加熱することは避けられない状況にあります。

 

■ 巨額の人件費が必要なロナウドが「放出候補」になるのは必然

 まず、ロナウド選手が放出の候補にあげられるのは「巨額の人件費が必要」だからです。年俸で3100万ユーロ(+税)に加え、減価償却費でも3000万ユーロ弱を要する選手です。したがって、財政的に苦しければ真っ先に削減候補となるでしょう。

 しかし、問題となるのは「ユベントスが(財政的な理由で)ロナウド選手を放出したくても獲得に乗り出すクラブが見当たらないこと」です。

 ユベントスは「減価償却費の残高を上回る額(= 3000万ユーロ超)」を移籍金として提示されれば、放出を容認するはずです。

 ただ、獲得するクラブは「ユベントスとロナウド選手の現行契約を実質的に引き継ぐ」ことになります。ロナウド選手が大幅な年俸削減に応じるなら移籍の可能性は高くなりますが、それが起きない限りは『残留』が有力と考えるべきでしょう。

 

■ ディバラは「クラブが手にする売却益が大きい」から放出候補

 次に、ディバラ選手を放出しようとする動きが(2019年夏と同様に)メディアで盛んに報じられている理由は「クラブが手にする売却益が最も大きい選手だから」です。

 2021年夏の時点でディバラ選手の減価償却費は残り550万ユーロ。仮に6000万ユーロで売却された場合、ユベントスは5450万ユーロのプラス効果を得ることが可能です。

 ユベントスは今夏に「1億ユーロ近くの売却益」が必要な状況にあるため、ディバラ選手の “換金” へと奔走することでしょう。ただ、ディバラ選手の立場ではそれに応じる必要はありません。

 現行契約が残り1年で来夏にはフリーで移籍市場に出られるからです。好調なチームでディバラ選手が取り残されているなら、評価は下がるでしょう。しかし、チーム状態が思わしくないため、監督やクラブが活かせてないだけと見なされる余地があります。

 そのため、去就がどうなるかはディバラ選手の判断次第という最も流動的な立場にあると言えるでしょう。

 

■ モラタは「ロナウドやディバラの去就次第で自身の将来が決まる」という不安定な立場

 最後にモラタ選手の去就に関しては「止むを得ない事情」によるものです。戦術的にはモラタ選手は欠かせません。しかし、クラブの財務状況は思わしくないため、モラタ選手の確保を断念せざるを得ない状況に追い込まれるリスクがあるのです。

  1. ロナウド放出
    • 年俸など費用が高額で買い手が現れない可能性
  2. ディバラ売却
    • 来夏にフリーとなるため、選手が今夏の移籍を拒む可能性
  3. モラタの確保を断念
    • 減価償却に1000万ユーロが必要
    • より安価で済む選手がいるなら乗り換えざるを得ない

 モラタ選手よりも「ロナウド選手の放出」や「ディバラ選手の売却」の方が優先度は上でしょう。ただし、これらは不成立の可能性が現実的に存在するため、モラタ選手に費やしたい費用を捻出できなくなる恐れがあります。

 ですから、「モラタ選手がアトレティコに復帰するかも」との報道が出ていることになるのです。戦術的には不可欠な選手であるものの、クラブが置かれた財務状況次第では断腸の思いで諦めることになってしまうでしょう。

 

 FW 陣でプランに入っていないと考えられるのはD・コスタ選手とベルナルデスキ選手です。両選手は来夏に新天地を求めることになるでしょうし、前者はイグアイン選手と同様にクラブが損失を被ることが濃厚です。

 そうした埋め合わせも必要となるだけにユベントスのフロント陣がどのような判断を今夏の移籍市場で示すのかに注目です。