3月9日のポルト戦前にユベントスのパラティーチ CFO が『スカイ・イタリア』からの取材に応じていましたが、敗退で戦略の見直しが不可欠な状況になっています。状況を整理しておくことにしましょう。
■ ポルト戦(セカンドレグ)を控えたパラティーチの発言概要
ポルト戦(セカンドレグ)の試合前にパラティーチ CFO が『スカイ・イタリア』に述べた発言の概要は以下のとおりです。
- ロナウドとの契約
- 契約はまだ1年あり、話し合う時間はある
- 議題には上がっていない
- キエーザに関して
- 最初の数ヶ月は適応に苦しんだが、能力は確信していた
- クルゼフスキの今後
- 素晴らしいシーズンを送っており、ゴールとアシストで貢献している
- 様々なシステムでのプレーが可能で体力もある
- デ・ブライネのようになれる可能性を秘めた選手
準々決勝に進出していれば、スルーされる程度の発言です。しかし、2シーズン連続でチャンピオンズリーグ・ラウンド16敗退となれば、「チーム再編」は不可避な状況と言わざるを得ません。
なぜなら、(コロナ禍の影響を無視したとしても)経営的には限界に達しつつあるからです。
■ 累積赤字は無視できるレベルではなくなった
まず、ユベントスは(マロッタGMやアッレグリ監督を追放して)拡大路線に突き進んだため、クラブ経営は「赤字決算」が続き、人件費を圧縮することが喫緊の課題となっています。
セリエAでは「トップチームの最大登録選手が25」であるにも関わらず、ユベントスはチャンピオンズリーグと同じ「22名」しか登録していません。それが何よりの根拠だと言えるでしょう。
ただ、問題となるのは「コロナ禍の影響でどのクラブも選手補強費が限られた状況にあること」です。
移籍市場の買い手となるクラブが極端に少ないことが予想されるため、選手の売却益はあまり期待できないでしょう。したがって、交換トレードで売上高を “粉飾” する形を採らざるを得ないと思われます。
■ ロナウドやディバラなど「2022年夏」に現行契約が満了する選手は多い
ユベントスのフロント陣にとって頭が痛いのは「2022年夏に現行契約を満了する(高給取りの)選手が多いこと」でしょう。
- FW: ロナウド(36, 推定年俸3000万ユーロ)
- FW: ディバラ(27, 推定年俸700万ユーロ)
- FW: D・コスタ(30, 推定年俸600万ユーロ)
- DF: クアドラード(32, 推定年俸500万ユーロ)
- MF: ベルナルデスキ(27, 推定年俸400万ユーロ)
コストパフォーマンスに優れたクアドラード選手は非売。他の4選手は『今後のプロジェクト』の内容次第です。
ただ、フロント陣がメディアの前で言及する『プロジェクト』の中身は基本的に機密事項です。「どの選手を軸にチームの再編・若返りを図っていくか」が具体的に語られることはないため、移籍市場などでの行動から推測するしかありません。
とは言え、マロッタ GM の時代からは「クラブ内の給与バランス」などガバナンス能力が欠如していることは紛れもない事実です。したがって、選手編成の責任部門であるフロント陣が居座るようだと低迷期に突入する可能性も十分にあり得ることです。
欧州のトレンドを追うのであれば、ロナウド選手か(スピード不足の)ボヌッチ選手やキエッリーニ選手のどちらかに引導を渡さなければなりません。また、デ・リフト選手のような給与バランスを崩してる選手の放出も不可避です。
幸いなことに後者は「バルセロナとラングレ選手の交換トレード」という『ウルトラC』が現実的に残っているため、フロント陣にルチアーノ・モッジ級の能力があるなら問題にはならないでしょう。
アニェッリ会長が現フロント陣と一蓮托生することを選択するのかにも注目です。