2019/20 シーズンが終了しましたので、ユベントスの選手・監督への評価を行いたいと思います。評価は A〜D の4段階、A が最高評価です。 第1回目の評価対象はサッリ監督とチームのフロント陣です。
サッリ監督: D
1年で解任されることになったサッリ監督への評価は「D」です。シーズンを通して指揮を取ったものの、内容が前半戦よりも上向くことはなく、アッレグリ前監督の残した結果を下回る出来でした。
これでは続投の根拠を見出すことは困難です。もちろん、「自分の希望する選手を獲得してもらえなかった」という弁明の余地はあるでしょう。
しかし、アッレグリ監督は『就任1年目はコンテ監督が残したチーム』で戦い、国内2冠とチャンピオンズリーグ準優勝で終えています。「コンセプトに合致しない選手はシーズン中であっても監督権限で主力の座を剥奪する」という当然のことをしなかったのはサッリ監督の責任です。
要するに『ハイライン・ハイプレス』の “コアメンバー” に指名した選手の中に「ハイラインに適さないボヌッチ」や「ハイプレスで計算できないロナウドおよびイグアイン」を含めたままにしていたことが問題になったのです。
「必要な守備ができていない」と言ってイグアイン選手をベンチ送りにしたアッレグリ監督と同じことができていれば、結果と内容を残せなかった現状にはならなかったことでしょう。解任は必然です。
フロント陣: D
パラティーチ CFO が率いるフロント陣もサッリ監督と同様に評価は最低ランクの「D」です。責任を問われないことは不思議でならないと言わざるを得ません。
そもそもの元凶は(アニェッリ会長を含む)現在のフロント陣が「マロッタ前 GM を切ったこと」です。
健全経営でチーム力を高めたマロッタ GM と現実主義のアッレグリ監督を “追放” し、『夢』を追い求めて拡大経営に舵を切った『現実』を突きつけられる結果となりました。
パラティーチが獲得したロナウドやボヌッチが加入する前の 2017/18 シーズンの方が「セリエAで84得点24失点」とチームとして機能していたのは明らかです。
シーズン | 監督 | 勝点 | チーム総年俸 |
---|---|---|---|
2017/18 | アッレグリ | 95 84得点 24失点 |
1億6400万ユーロ 【ミラン:1.17億ユーロ】 |
2018/19 | 90 70得点 30失点 |
2億1900万ユーロ 【ミラン:1.4億ユーロ】 |
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2019/20 | サッリ | 83 76得点 43失点 |
2億9400万ユーロ 【インテル:1.39億ユーロ】 |
チームの推定総年俸で2位の倍以上も注ぎ込んでいながら、勝点差は2位と1差では編成の責任も厳しく追求されなければなりません。
パラティーチの能力はアレッシオ・セッコと似通っています。有能なボスの下で働いていたから仕事ができるように見えていただけです。トップとして要求されるだけの実力が備わっていないため、組織を改変しない限り “迷走” が続くことになるでしょう。
素人フロント陣による『負債』が重くのしかかることは不可避です。