ユベントスは公式サイト上でファビオ・パラティーチ CFO (現フットボール部門マネージング・ディレクター)が退任すると発表いたしました。なお、退任の会見が6月4日にアリアンツ・スタジアムで予定されています。
パラティーチ氏は1972年7月生まれの48歳。2010年夏にマロッタ・現インテル CEO とともにユベントスに加入し、2019年夏からはフロント陣の責任者となりました。
現行契約は2021年6月30日に失効するのですが、更新することはないと告げられたとのこと。したがって、パラティーチ CFO は契約満了でチームを離れることになります。
なお、パラティーチ CFO は6月4日(金)にアニェッリ会長と退任の記者会見を行う予定です。退任が決定したことに対し、パラティーチ氏は以下のようにコメントしています。
ファビオ・パラティーチ CFO:
「プロフェッショナルな成長と強い感情のある素晴らしい年月でした。ユベントスは役割に準拠した制約を設けることなく私がビジネスを遂行する自由を与えてくれました。
私はクラブ全体に感謝を述べたいと思います。私のスタッフ、従業員、協力者、選手たち、監督・コーチ陣、ステークホルダー、特にアンドレア・アニェッリ回答に感謝しています。キャリアの重要なチャプターが終わり、新しい挑戦が待っています」
パラティーチ CFO が評価されるのは「掘り出し物の選手を発見するスカウティング能力」でしょう。そのため、マロッタ GM の下で選手発掘を中心に仕事をしていた時の業績は素晴らしいものでした。
ところが、コンテ監督と変わらないほどの野心家だったことが裏目に出ました。
拡大路線派としてイグアイン選手やロナウド選手を大金を投じて獲得し、堅実路線のマロッタ GM を “クーデター” で追放。クラブの移籍市場での権限を握り、2019年夏にはデ・リフト選手など CB の獲得だけで1億ユーロ超を投じています。
結果が出てれば良かったのですが、クラブのガバナンスを無視したことで団結力が瓦解。エムレ・ジャン選手の売却機会を逸し、選手から名指し批判を受けるなど「素人」の評価が固まってしまいました。
コロナ禍が発生していなかったとしても拡大路線による巨額の赤字額は計上していたのですから、ユベントスとの契約が延長されたかったのは当然のことと言わざるを得ないでしょう。
端的に表現すると「パラティーチらが主張する拡大路線で『夢』を見ようとしたが『悪夢のような現実』が待ち構えていた」と言うことになります。後任はクラブ財政の立て直しが最重要課題となるため、健全経営ができる人材が必須と言えるでしょう。
クラブの再建を担う経営面での責任者が誰になるのかに注目です。