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コラム: アッレグリを解任してサッリやピルロを招聘したユベントス経営陣は何をやりたかったのか

 アッレグリ監督を解任して招聘したサッリ監督やピルロ監督を解任し、アッレグリ監督を復帰させたユベントス経営陣の動きに首を傾げる人は少なくはないでしょう。本稿ではその理由について言及してみたいと思います。

画像:ユベントスの監督に就任したピルロ監督だったが…
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■ ユベントス経営陣が描いていた青写真

 まず、ユベントスの経営陣が描いていた監督人事の『青写真』と『現実』は下表のとおりです。

シーズン 理想 実際
1st U-23 1st U-23
2018/19 アッレグリ X アッレグリ
(解任)
ジロネッリ
2019/20 サッリ ピルロ サッリ
(解任)
ペッキア
2020/21 ピルロ
(解任)
ピルロ
→ ザウリ
2021/22 ピルロ アッレグリ

 現実主義で『堅守速攻』のチーム作りをしていたアッレグリ監督を切り、2018年夏に獲得したロナウド選手を広告塔に起用し、『攻撃主体のポゼッション型チーム』への変貌を画策していたと言えるでしょう。

 そのための現場責任者がサッリ監督であり、ピルロ監督だった訳です。

 

■ アッレグリの鼻を明かす狙いでのサッリ招聘

 アッレグリ監督とユベントスが “離婚” に至った理由は「方向性の相違」です。これはマロッタ・現インテル CEO が置かれていた同じ立場にいたと考えられます。

 欧州のトレンドである『パスサッカー』を熱望するパラティーチ CFO を筆頭とするフロント陣に対し、アッレグリ監督は(解任を告げられる直前の)面談で「現有戦力では無理」と言うべきことを述べたと容易に想像できますし、それが解任の決定打となったのでしょう。

 その後、ユベントス経営陣はサッリ監督を招聘。サッリ監督が『アッレグリ監督時代と同等の成績』を残すことに成功すれば、経営陣の方針を否定したアッレグリ監督の鼻を明かすことが可能な状況にありました。

 ところが現実はアッレグリ監督の指摘どおりのことが生じ、逆にフロント陣が窮地に追い込まれることになります。これが1つ目の不幸でしょう。

 

■ 満を持してピルロ監督のトップチーム就任の目論見も瓦解

 次にピルロ監督には「サッリ監督から禅譲される最有力」としての目論見がありました。

  1. サッリ監督がトップチームをポゼッション型に変貌させる
    • ピルロ監督はその間に U-23 で実績を重ねる
  2. 国内での強さを維持
    • その上で悲願の CL 制覇
      → 最高のシナリオ
    • CL で健闘
      → アッレグリを解任した意味あり
  3. 機を見てた上でピルロ監督を内部昇格

 しかし、ピルロ監督は 2019/20 シーズンからの監督就任は固辞。翌 2020/21 シーズンからBチームの監督に就任するも、サッリ監督の解任を受けてトップチームの監督就任要請を受諾しています。この判断が2つ目の不幸です。

 ピルロ監督は「監督経験がない」との理由でトップチームの監督就任要請を固辞することが可能だったからです。

 固辞していたとしてもピルロ監督への批判は起きなかったでしょう。ただ、“代わりに就任した監督” が結果を残した場合にトップチームの監督の座が遠のく可能性がありました。

 これを天秤にかけて判断を下したのですから、新人監督であることは免罪の理由にはなりません。ピルロ監督に関しては「見切り発車をしてしまった本人の判断が最大のミス」と言えるでしょう。

 

 ユベントスの経営陣がやりたかったのは『ポゼッションを重視する攻撃型のサッカー』で、アッレグリ監督から「適材がいない(ので補強戦略から見直せ)」と指摘されたので鼻を明かすために解任してサッリ監督を招聘するも結果は伴わず。

 チーム内の不協和音が深刻になったのでピルロ監督に賭けるも、クラブ内のガバナンスが瓦解した状況下で事態は悪化の一途を辿ったことで責任者が全員更迭になったに過ぎません。企業組織としての特殊な動きはないと言えるでしょう。

 ユベントスが働かそうとしている “自浄作用” がどのように機能するのかに注目です。