会計法人・デロイト(Deloitte)社が公式サイト上で毎年恒例となっているフットボール・マネーリーグの2020年版(PDF)を発表いたしました。「トップ10復帰は難しい」と見られていたユベントスは10位に返り咲くことに成功しています。
トップ10入りしたクラブと売上高は下表のとおりです。
チーム名 | 売上高(単位:百万ユーロ) | ||
---|---|---|---|
18/19 | 17/18 | ||
1 | バルセロナ | 840.8 | 690.4 |
2 | レアル・マドリード | 757.3 | 750.9 |
3 | マンチェスター・U | 711.5 | 666 |
4 | バイエルン・ミュンヘン | 660.1 | 629.2 |
5 | パリ・サンジェルマン | 635.9 | 541.7 |
6 | マンチェスター・C | 610.6 | 568.4 |
7 | リバプール | 604.7 | 513.7 |
8 | トッテナム | 521.1 | 428.3 |
9 | チェルシー | 513.1 | 505.7 |
10 | ユベントス | 459.7 | 394.9 |
11 | アーセナル | 445.6 | 439.2 |
ユベントスは 2017/18 シーズンの売上高が4億ユーロに届かず、デロイト社のランク付けは11位でした。
「放映権収入が(プレミア勢と比較すると)脆弱なため、トップ10への復帰は難しい」との分析がなされていましたが、「入場料の値上げ」と「スポンサー収入の増加」でカバーに成功。アーセナルの伸び悩みもあり、2018/19 シーズンを対象にした2020年度版で10位に返り咲いています。
来年度版では「Jeep 社のスポンサー増額」が反映される見込みですから、売上高が5億ユーロと算出されるかが注目点になるでしょう。
■ 商業面で成果を残せていることは評価に値する
ユベントスが記録した直近3シーズンでの収益は以下のとおりです。
まず、『マッチデー収入』ですが、今後の大幅な伸びは期待できません。ユベントスの本拠地アリアンツ・スタジアムは収容人数が4万1000人とビッグクラブの中では最も少ないカテゴリに属しているからです。
テレビ中継などの『放映権収入』は「セリエA」と「チャンピオンズリーグ」の2つが収益源ですが、どちらも頭打ちです。国内リーグの放映権が高額で売れる見込みがないことから、プレミア勢との差が開くことは避けられないでしょう。
そのため、6億ユーロを超える売上高を記録したビッグクラブに付いていくためには『スポンサー収入』の伸びを高水準で保つ必要があるのです。
直近では前年比 +20% 超の伸び率を記録していますから、経営陣が残している手腕は評価されるべきと言えるでしょう。来季は『スポンサー収入』だけで2億2000万ユーロを超えたいところですから、その数字が注目点となるはずです。
■ プレミア勢の一角に食い込み続けることがノルマ
ユベントスは売上高としてロンドンに本拠地を置くプレミア勢と互角以上に渡り合うことが要求項目になるでしょう。該当するクラブの 2018/19 シーズンの売上高は次のとおりです。
チャンピオンズリーグの決勝に進出したトッテナムは巨額の放映権収入を手にし、全体で8位に入っています。今季は『昨季と同様の放映権収入』を得られるかは不透明ですが、新スタジアムによる入場料収入が期待できます。
おそらく、トッテナムは5億ユーロ前後の売上高になるでしょう。ユベントスは『スポンサー収入』の金額次第で上回ることは可能な範囲です。したがって、経営陣の働きが重要になるはずです。
ユベントスの売上高比率はチェルシーと似ています。スタジアムの収容人数は4万1000人で近いため、『放映権収入』と『スポンサー収入』をどれだけ伸ばせるかがポイントでしょう。
特に伸びシロの大きい『スポンサー収入』でチェルシーをどれだけ上回ることができるのかに注目です。