2019年夏の移籍市場も残り1週間を切りました。『ガゼッタ・デッロ・スポルト』などはユベントスが放出する可能性のある選手をリストアップしていますが、厳しい現状であることに変わりありません。状況を確認することにしましょう。
■ 「4000万ユーロの人件費削減」が課題
ユベントスが 2019/20 シーズンに現状のままだと計上することになる総人件費は下表のとおりです。
2019/20 | 2018/19 | |
---|---|---|
選手人件費 … (A) | € 412m | € 345.3m |
経済収支 | € 50.7m | € 117.9m |
ローン費での回収 | € 0 | € 23.5m |
売上高予測 | € 500m | € 460m |
総売上予想 … (B) | € 550.7m | € 601.4m |
(A) / (B) | 74.8% | 57% |
この数字は『カルチョ・エ・フィナンツァ』が出したものですが、若干の誤差があったとしても、ユベントスが選手人件費を削減しなければならない状況に変わりありません。
削減目標となるのは「約4000万ユーロ」です。それにより、選手人件費は約3億7000万ユーロにまで減少するため、経営的に何とか耐えられる水準にまで引き下げることが可能になるからです。
ちなみに、人件費が昨季と比較して大幅に上昇した要因は「イグアイン、ラムジー、ラビオが加わったから」です。その一方で高給を得ている選手の放出が進んでいないのですから、人件費が上昇するのは当然の結果と言えるでしょう。
■ ディバラやルガーニが放出候補になるのは「会計上の理由」から
高給のベテラン勢を放出できれば理想的ですが、買い手が現れずに苦戦を強いられています。そのため、買い手が付く若手選手の放出が避けられなくなっているのでしょう。
選手名 | 減価償却費 | 推定年俸 | ||
---|---|---|---|---|
単年 | 総額 | 手取 | 税込 | |
ディバラ | € 5.5m | € 16.5m | € 7m | € 13m |
ルガーニ | € 0.25m | € 1m | € 3m | € 5.5m |
マンジュキッチ | € 4m | € 8m | € 4m | € 7.4m |
マテュイディ | € 7.6m | € 7.6m | € 4m | € 7.4m |
E・ジャン | € 4m | € 12m | € 5m | € 9.2m |
ベンタンクール | € 1.4m | € 7m | € 2.5m | € 4.6m |
デミラル | € 3.6m | € 18m | € 1.3m | € 2.4m |
『人件費』は「単年の減価償却費」と「税込年俸」の合算値です。もし、ディバラ選手を売却すれば、年間で1850万ユーロの人件費が削減できます。削減目標の半分を達成できるのですから、クラブが売却に向けて動く理由はあるのです。
また、「選手売却で得た移籍金」は「減価償却費の総額」を引いた残りが『経済収支』に計上されます。ユベントスがルガーニ選手を売却したい理由は「減価償却費がほぼゼロ」で移籍金がほぼ全額を『経済収支』に計上できるからです。
ディバラ選手とルガーニ選手の他に売却候補として名前が出ている選手は「獲得を希望するクラブが現れる可能性はあるが、“何らかの問題” を抱えている」という状況にあります。だから、移籍交渉が停滞した状況が続いているのでしょう。
ユベントスのフロント陣が余剰戦力を上手く削減することができるのかに注目です。