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コラム: チェルシーで 4-3-1-2 を採用しなかったサッリ監督がイグアイン(やイカルディ)のために導入を試みるだろうか

 サッリ監督が就任した 2019/20 シーズンのユベントスには「イグアイン選手やイカルディ選手を活かすために2トップ導入」の噂が絶えません。ただ、その可能性は現実的に低いと言わざるを得ない理由があります。

画像:ユベントスでの采配が注目されるサッリ監督
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■ メディアが「4-3-1-2 による2トップ導入」を盛んに報じる理由

 メディアが「2トップの導入」を盛んに報じる理由は「イグアイン選手や獲得を噂されるイカルディ選手を活用できる可能性があるシステムだから」というものでしょう。なぜなら、以下のように配置が可能だからです。

画像:ユベントスで考えられる4-3-1-2

 ユベントスでは「ロナウド選手が “アンタッチャブル” な存在」です。

 イグアイン選手やイカルディ選手は典型的なセンターフォワードであり、ロナウド選手がプレーを希望するポジションと重複します。これを同時に活かすには2トップを組むしかありません。

 そして「トップ下に(走力もある)ラムジー選手を配置すれば、2トップの守備を免除できる」と考えているのです。ただ、これは “皮算用” と言わざるを得ないでしょう。

 なぜなら、ユベントスと同様の条件にあったチェルシーでサッリ監督は 4-3-1-2 を採用しなかったからです。

 

■ チェルシーで 4-3-1-2 の導入は見送られたという現実

 2018/19 シーズンはチェルシーを率いたサッリ監督ですが、当時のチェルシーは 4-3-1-2 を導入できる選手層がありました。

画像:チェルシーで考えられた4-3-1-2

 アザール選手を『セカンドトップ』で起用し、『トップ下』にはシャフタール時代に存在感をウィリアン選手を配置することができました。しかし、サッリ監督は 4-3-1-2 ではなく 4-3-3 を採用しています。

 実際にはウィリアン選手ではなく、右ウィングにはペドロ選手を起用する 4-3-3 で戦い続けたのです。「4-3-1-2 を起用しない戦術的な理由があった」と見るべきだと言えるでしょう。

 

■ 4-3-1-2 には「相手にミドルゾーンでのプレスをかけれない」という戦術的な問題点が存在する

 サッリ監督が 4-3-1-2 の採用をチェルシーで見送った理由は「相手へのミドルプレスが効かない」という戦術上の問題に目を瞑ることができないからでしょう。

 サッリ監督のスタンスは「ボールを保持して攻撃し続ける」ことに比重が置かれています。つまり、「ボールを即座に奪い返すこと」が重要視されており、プレスが効きにくいシステムが採用される可能性はビッグクラブでは低いと言わざるを得ません。

 4-3-1-2 には「サイドが薄い」という特徴があります。そのため、対戦相手は「プレッシャーのかからないサイドバックがボールを持ち上がる」ことが容易になります。

 サッリ監督のチームは「サイドバックに持たせたところにプレスを仕掛け、『ボールを捨てる』か『マークを背負った味方に無理なパスを出す』かの選択を迫ることでボールを奪い返す」が基本形です。

 “ボールを奪還する形” を捨ててまで 4-3-1-2 を導入する価値は少ないでしょう。相手陣内でボールを奪えないなら、自陣まで撤退して守備ブロックを構築することになり、これはサッリ監督よりもアッレグリ監督の方が得意とする形だからです。

 

■ 2トップを採用するなら、FW 陣の大量放出は不可避

 また、4-3-1-2 を採用するなら、FW 陣の大放出は避けられません。トップ下には走力のあるラムジー選手が基本となるため、2枠を FW 登録の9選手で争うことを余儀なくされるからです。

表1:主に攻撃を担当するユベントスの選手(2019/20 シーズン)
  選手名
OMF ラムジー、(ベンタンクール、ベルナルデスキ)
FW
(9)
CF ロナウド、マンジュキッチ、ケーン、イグアイン
ST ディバラ、(ベルナルデスキ)
WG D・コスタ、クアドラード、ベルナルデスキ、ピアツァ

 3トップを採用しても、FW は明らかに人員過剰です。この状況で「イカルディ選手の獲得に興味を示している」と報じられているのですから、ユベントスのフロント陣は順序を間違っている可能性があります。

 放出の目処が立っていない状況で FW の獲得に走ると、選手側から “思わぬ報復” を受けることになります。

 特に、引く手数多なケーン選手は「来夏にフリーで移籍市場に出る」との判断をするでしょう。ユベントスは移籍金を得られない一方で、選手は高年俸を、代理人(のライオラ氏)は多額の手数料を手にすることができる状況にあるからです。

 4-3-1-2 を導入するための前提条件は整っていませんし、導入する動機も必要性もない状況なのです。マスコミの思い描く夢物語は夢物語のままで終わることになる可能性が高いと考えられます。