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戦術分析: DF ラインを高く設定するには「前線 FW 陣が相手の動きに応じたハイプレスを継続すること」が必須条件

 「ハイライン」を要求するサッリ監督ですが、DF ラインを上げれない試合があることも現状です。ただ、前線からのプレスが効かなければ、DF 陣は下がらざるを得ません。そのため、「FW 陣の守備意識改善」が課題として横たわっていると言えるでしょう。

画像:ハイプレスの機能が課題となっているサッリ監督
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■ 4-4-2 で “3バック状態” の相手にハイプレスをかけるのは本末転倒

 DF ラインを高く設定するためには、相手にハーフウェーラインを超えさせないことが重要です。そのためには「前線(の FW )から相手にプレスをかけること」が求められます。

 ただ、相手チームもそのリスクは認識しているため、『プレスのかけ方』が重要となります。例えば、今季コッパ・イタリア準々決勝ローマ戦の2分すぎにユベントスが仕掛けたハイプレスは『悪い例』です。

画像:コッパ・イタリア準々決勝ユベントス対ローマ1

 この場面でユベントスはイグアイン選手がディアワラ選手にチェックに行きましたが、ローマが両 CB の間にディアワラ選手が陣取る “3バック状態” でした。

 そこに(D・コスタ選手が MF に吸収された) 4-4-2 でハイプレスを敢行したため、ミスマッチが発生。最終ラインで1人余裕のあるローマはペッレグリーニ選手が下がり、ディアワラ選手へのリターンを出します。

画像:コッパ・イタリア準々決勝ユベントス対ローマ2

 イグアイン選手はこの時点でディアワラ選手へのチェックを諦めており、相手への展開を許す(= ユベントスの守備ラインが下がる)ことになるのです。サッリ監督が「高い DF ラインの設定」を求めるなら、FW 陣に「プレスの継続」を要求する必要があるでしょう。

 

■ 当該プレーはウンデル選手のトラップミスで事なきを得ている

 ちなみに、当該プレーはローマ側のミスでユベントスは押し込まれることなく、相手の攻撃を防ぎ切ることに成功しています。

画像:コッパ・イタリア準々決勝ユベントス対ローマ3

 (ペッレグリーニ選手からの)リターンを受けたディアワラ選手は右サイドのハーフスペースにいたウンデル選手へのパスを選択しました。当初ウンデル選手を見ていたラビオ選手がペッレグリーニ選手のマークに移行したため、フリーになったウンデル選手へのパスは適切です。

 しかし、ウンデル選手がパスのトラップに失敗。後ろに流れたボールを追いかける間にラビオ選手に前方を防がれる形となりました。

画像:コッパ・イタリア準々決勝ユベントス対ローマ4

 結果的にローマは「攻撃のやり直し」を選択せざるを得なかったため、ユベントスは上手く守ったとは言えます。ですが、ユベントスの守備陣が「相手のミス」を誘発させた訳ではありません。

 仮に、ウンデル選手が(普段どおりに)ボールを処理してドリブルを開始していれば、ユベントスのゴール前まで迫ることはできたでしょう。そのため、前線の FW 陣が「相手の攻撃方向を制限することの意味」は大きいのです。

 

■ 前線の2枚または3枚で「相手の(最大)5枚を見ること」が求められている

 相手にハイプレスを仕掛けて「ボール奪取」ができれば最善です。「ボールを捨てさせる」ことができれば次善ですが、現実的な狙いは「自分たちが網を張ったサイドに相手を誘導すること」でしょう。そうすれば、ボールを奪還できる可能性が高まるからです。

 そのためには相手の GK・2CB・両方 SB の最大5選手にプレスをかける必要があります。

 ただ、前線でのプレスに使える選手は最大で3トップの3選手です。数的不利な状況であるため、相手に『逆』を突かれるリスクが高い状況です。したがって、ハイプレスを機能させる(= DF ラインを高く保つ)には「前線の FW 陣がどれだけサボらずに自らのタスクを継続するのか」がポイントなのです。

 逆に言うと、FW 陣にプレスをサボる選手がいれば、DF ラインを高く保ち続けることは不可能です。これは「数的不利な状況では DF ラインは(ペナルティーエリア手前まで)下がる」という決まりごとがあるからです。

 しかし、ユベントスの前線には『与えられたハイプレスのタスクを忠実に敢行する主力 FW』は見当たりません。その筆頭格だったマンジュキッチ選手はチームを去り、主力の3選手(= ロナウド、ディバラ、イグアイン)はアリバイ程度にしかプレスをかけません。

 籠城する相手に問題を起こされることは滅多にないでしょうが、ポゼッションに長けた強豪には攻め込まれて失点する確率が高くなってしまいます。この問題にどう取り組むかがサッリ監督の腕の見せ所と言えるでしょう。

 

 試合中に「3バック」と「4バック」を切り替えるチームもありますし、最終的にはそうしたチームに対してはハイプレスをかけられることが求められるでしょう。まずは相手の基本フォーメーションへのハイプレスをかける意識付けをすることができるのかに注目です。