2018/19 シーズンが終了ましたので、ユベントスの選手・監督への評価を行いたいと思います。評価は A〜D の4段階、A が最高評価です。
第1回目の評価対象はアッレグリ監督とチームのフロント陣です。
アッレグリ監督: B+
アッレグリ監督に対する 2018/19 シーズン全体の評価は「B+」と言えるでしょう。
セリエAで5連覇を達成し、スーペルコッパのタイトルを獲得したことは立派です。しかし、チャンピオンズリーグとコッパ・イタリアで準々決勝敗退となったことが尾を引いています。
敗退の大きな要因となったのが「ピーキングの失敗」と言えるのですから、就任5年目の指揮官としての落ち度を指摘せざるを得ないでしょう。(負傷者が5月に出るならまだしも、3月に続出するのは「早すぎる」からです)
グラフは後述しますが、シーズン前半戦で主力メンバーを固定して継続起用したことで山場である3月を迎える前に主力として計算していた選手が次々に負傷離脱し、ベストメンバーを組めなくなってしまいました。
これが最終的に「大きなツケ」という形でチームに襲いかかったのですから、アッレグリ監督の後任となる指揮官は今季の事例を「反面教師」として活かすことが求められていると言えるでしょう。
フロント陣: Bー
クラブの補強や強化戦略を担当するフロント陣に対する 2018/19 シーズン全体の評価は「Bー」です。
「ロナウド選手の獲得」は間違いなく大きな成果です。クラブのブランド・イメージを飛躍的に向上させ、アディダス社から巨額のスポンサー料を引き出しました。また、選手もピッチ上で圧倒的な存在感を発揮しており、「最高の補強」と言えるでしょう。
しかし、一方では「失敗」と言わざるを得ない対応もあります。その1つが「イグアイン選手の去就」でしょう。ミランに期限付き移籍をしていた1月にチェルシーから獲得の申し出を受け、「ユベントスとチェルシーの取引」という形でフロント陣は移籍交渉を取りまとめました。
「イグアイン選手の保有権をミランに買い取らせ、チェルシーとの交渉は “ミランが” すべし」との姿勢を貫き、選手が不良債権化した場合のリスクをミランに背負わせるべきでした。
現状はイグアイン選手やボヌッチ選手というミランで不良債権化が進んだ選手をユベントスが引き取る形となっています。アッレグリ監督と喧嘩別れする形で移籍したボヌッチ選手を DF 最高給で再加入させたのですから、これらの2選手によってクラブ経営に “穴” を開かないことが来季以降の課題となるでしょう。
■ 所属選手の出場時間(2018/19 シーズン)
2018/19 シーズンに「主力」だったユベントスの選手たちの出場時間をグラブ化したものが下図です。
シュチェスニー選手とロナウド選手が 80% を超える出場時間率を記録していますが、それ以外の選手は多くて 70%。60% 前後の選手も数多く存在する状況となっています。
ただ、これは「負傷離脱」と「消化試合」で起用が見合わせられたことが大きな理由です。なぜなら、シーズン前半戦に限った出場時間を確認すると、後半戦が始まる段階で序列が固まっていたことが読み取れるからです。
前半戦で出場時間率が 70% を下回っていた主力選手はカンセロ選手(負傷)、キエッリーニ選手(休養)、ベンタンクール選手(若手)の3名のみ。この起用方法ではチーム内に “不満分子” が発生するのは避けようがありません。
例年のアッレグリ監督は「11月頃までは様々な選手の組み合わせを模索する」というスタンスでした。普段とは異なるアプローチを採用した結果、歪みが生じてしまっていたのです。
「30% を下回る出場時間率」という厳しい現実を突き付けられているにも関わらず、「不満分子になるな」との要求はさすがに無理筋です。また、主力選手が負傷などで一定期間の離脱を余儀なくされた際の代えが効かなくなるという弊害も予想できたことです。
これらに対する備えが甘すぎたことは反省し、改善する必要はあると言えるでしょう。ちなみに、シーズン後半戦で控え選手が記録した出場時間は次のとおりです。
怪我で長期離脱を強いられた選手を除き、ほとんどの選手が 30% 近くの出場時間率を記録しています。これなら、選手が不満分子化することを回避できますし、他チームへの移籍を希望する選手が現れたとしても多額の移籍金を得られる公算が成り立つからです。
「選手を売るクラブではない」は「主力選手を売るクラブではない」であるべきです。選手を獲得するには選手を売るなど登録枠を開ける必要があるのですから、この点を踏まえてユベントスのフロント陣が来季のチーム編成をどうするのかに注目です。