アッレグリ監督の退任が決定したことに伴い、後任監督が盛んに取り上げられています。今回は後任監督に「要求される成績」と「突きつけられる課題」を確認することにしましょう。
■ 後任監督に要求されるチームの成績
後任の監督に求められる「チーム成績」は以下のものになるでしょう。この要求は誰が後任監督に就任しても同じになるはずです。
- セリエA
- 「勝点90以上の獲得」が目標
- “欧州屈指のサッカー” をしていた場合、2位以下でも免罪の可能性
- チャンピオンズリーグ
- 「グループ通過」は至上命令
→ グループ敗退なら、解任は止む無し - 「優勝」が目的で、「準決勝進出」が現実的な目標
- 実力差を見せられての敗退は監督解任の理由となる
- 「グループ通過」は至上命令
- コッパ・イタリア
- 優勝が目標であると同時にノルマ
- スーペル・コッパ
- 優勝が目標だが、重要度はそこまで高くない
アッレグリ監督が残した成績が基準です。これはチーム側が「アッレグリの成績では不合格」との判断を下したのですから、この水準がノルマと言えるでしょう。
つまり、「内容が伴った上で上述の結果を出す」という非常に高いハードルを後任監督は乗り越える必要があるのです。
■ 「主力センターバックの育成」は誰が後任監督でも避けられない
後任監督に突きつけられる課題ですが、これは「主力センターバックの育成」です。なぜなら、2019/20 シーズンの DF 陣は主力 CB が手薄な状態になっているからです。
選手名 | |
---|---|
CB | キエッリーニ(35)、ボヌッチ(32)、ルガーニ(25) |
SB | デ・シリオ、A・サンドロ、カンセロ、スピナッツォーラ、(クアドラード) |
戻 | ロジェリオ |
育成 (CB) |
コッコロ(21)、ザナンドレア(20)、ゴッツィ・イウェル(18) |
CB を本職とするトップチーム登録で来季以降の契約を有しているのはキエッリーニ、ボヌッチ、ルガーニの3選手のみ。人員不足であることは明らかです。
35歳で 2019/20 シーズンを迎えるキエッリーニ選手にフル稼働は期待できません。また、ボヌッチ選手も限界を露呈しており、補強の最優先ポイントであることは誰の目にも明らかです。しかし、フロント陣は「DF の補強」に消極的です。
したがって、「主力となる CB を自ら育て上げること」は避けられないと言えるでしょう。
ただ、有力候補の1人だったカルダーラ選手は “アッレグリ監督と喧嘩別れしたボヌッチ選手の復帰” のために放出しています。そのため、厳しいミッションに挑むことを強いられるでしょう。
■ グアルディオラ、コンテ、サッリなどの場合、「初年度は戦術浸透期」として “捨てる覚悟” が必要
選手の成長を促すには「戦術」が存在する方が効率的です。プレーの基準が存在するため、「成長への道筋」が見えやすく、選手には「迷いが生じにくい」という効果が生まれるからです。
その一方で、戦術がチームに浸透するまでには時間を要します。グアルディオラ、コンテ、サッリに代表される『自らが掲げるプレーコンセプト』をチームに要求するタイプの指揮官は「就任初年度=戦術浸透期」と割り切ってチーム作りを行うことが一般的です。
これを「ユベントスのフロント陣が容認できるか」は大きいと言えるはずです。具体的には「2019/20 シーズンを無冠で終えるリスクを背負える覚悟はあるか」が問われているのです。
もし、無冠で終われば、ティフォージから激しい突き上げを受けるでしょう。
「欧州で最も美しいサッカーをしており、今季は “運悪く” 結果が伴わなかっただけ」とのフロント陣による弁解が通用する指揮官でなければアッレグリ監督を解任した意味が無くなってしまうからです。
ユベントスのフロント陣がアッレグリ監督の後任監督に誰を指名するのかに注目です。