2018/19 シーズンの前半戦が終了しましたので、ユベントスの選手・監督への評価を行いたいと思います。評価は A〜D の4段階、A が最高評価です。

最終回となる第5回目の評価対象は FW です。
ユベントスが FW 登録をしているのは7選手。それぞれの選手の出場時間をグラフ表示すると、以下のようになります。

シーズン序盤はベンチの印象が強かったディバラ選手は前半戦を終えた時点でマンジュキッチ選手と変わらない出場時間を記録。ロナウド選手とマンジュキッチ選手を含めた3トップでレギュラーが固まりました。
前半戦で結果を残した3選手が後半戦でも優先的に起用されることは自然な流れでしょう。ただ、疲労面を考えると、上手く選手をやりくりする必要があることも事実です。それでは個々の選手ごとに評価を下していくことにしましょう。
■ センターフォワード
クリスティアーノ・ロナウド(33):A+
夏にレアルから新加入したロナウド選手は “FW にとって厳しいリーグ” と言われるセリエAの舞台においても格の違いを見せつけた前半戦でした。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
2018/19 (出場時間率:90.0%) |
セリエA | 19 (18) | 14 (6) | 1635' |
UEFA CL | 5 (5) | 1 (2) | 389' | |
合計 | 24 (23) | 15 (8) | 2024' | |
全試合 | 25 | ー | 2250' |
セリエAの得点王争いでは首位に立ち、ゴールとアシストの両方で圧倒的な存在感を発揮しています。チームへの適応が進んだことで、実力が存分に示されていると言えるでしょう。
ただ、出場時間が多すぎます。代表チームに招集されていないとは言え、明らかに酷使状態です。そのため、後半戦は「適度な休養を得ること」と「チャンピオンズリーグでゴールやアシストという記録を残すこと」が期待されます。
大舞台でどれだけチームを牽引することができるのかに注目です。
マリオ・マンジュキッチ(32):A
マンジュキッチ選手はロナウド選手の加入によって大きな恩恵を受けた選手と言えるでしょう。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
2018/19 (出場時間率:73.4%) |
セリエA | 16 (15) | 8 (4) | 1304' |
UEFA CL | 5 (4) | 1 | 348' | |
合計 | 21 (19) | 9 (4) | 1652' | |
全試合 | 25 | ー | 2250' |
セリエAでの成績は昨シーズン全体で5得点3アシストでしたが、今季は前半戦だけで8得点4アシストと上回っています。これは高く評価されるべき点です。
後半戦の課題はロナウド選手と同じで「適度な休養が与えられること」でしょう。マンジュキッチ選手は消耗度が激しいタスクを任されており、これ以上の稼働は望めません。そのため、起用方法が重要になります。
ロナウド選手に相手守備陣の注意が行くことが予想される中で、決定的な仕事がどれだけできるのかが注目点です。
モイゼ・ケーン(18): ー
ケーン選手はトップチームでの出場機会の確保に苦しんだ前半戦でした。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
2018/19 (出場時間率:0.6%) |
セリエA | 1 | 0 | 1' |
UEFA CL | 1 | 0 | 12' | |
合計 | 2 | 0 | 13' | |
全試合 | 25 | ー | 2250' |
出場機会が全くなかったという訳ではありませんが、チャンスが訪れた際に負傷離脱で活かし切れなかったことが悔やまれる点でしょう。
年齢を考えると後半戦は期限付き移籍を考慮すべき選手です。ただ、パラティーチ CFO などは引き止めを図る意向を鮮明にしており、「控え選手に相当する出場機会が与えられるか」が後半戦のポイントになります。
後半戦もチームに残るのであれば、スピナッツォーラ選手と同様に「後半戦のみの出場時間率で 25%」が具体的な数値目標になるはずです。
■ ウィンガー or トップ下
パウロ・ディバラ(25):A
ディバラ選手は開幕節で機能せずに序列が下がった状態からスタートしたものの、レギュラーとしての立場を確保することに成功した前半戦になりました。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
2018/19 (出場時間率:73.1%) |
セリエA | 17 (15) | 2 (3) | 1290' |
UEFA CL | 5 (4) | 5 | 355' | |
合計 | 22 (19) | 7 (3) | 1645' | |
全試合 | 25 | ー | 2250' |
特筆事項はチャンピオンズリーグで勝負強さを見せている点です。セリエAでは「中盤と前線のつなぎ役」が主な仕事になっているため、決定的な仕事をする場面が少なくなっていると言えるでしょう。
後半戦の課題は「決定機のシュートを枠に飛ばすこと」になります。
決定的な仕事をするチャンスがなかった訳ではありませんが、ロナウド選手の加入で頻度が下がっています。また、相手チームの守備に対する集中力が高くなることが想定されるため、少ない決定機を活かし切ることができるかがテーマになるでしょう。
ドウグラス・コスタ(28):B-
D・コスタ選手の場合は不完全燃焼に終わった前半戦と言えるでしょう。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
2018/19 (出場時間率:24.7%) |
セリエA | 14 (4) | (2) | 428' |
UEFA CL | 4 (1) | 0 | 127' | |
合計 | 18 (8) | (2) | 555' | |
全試合 | 25 | ー | 2250' |
昨シーズンの後半戦に見せていたパフォーマンスと比較すると、「今季前半戦で見せていた内容では不十分」です。序盤戦は継続的にチャンスを得ていたものの、第4節サッスオーロ戦の退場処分で調子を崩し、悪循環に陥ってしまいました。
後半戦は「調子を取り戻すこと」がポイントになります。ドリブルやパスを組み合わせた突破力は健在ですので、それをピッチ上でどれだけ示すことが課題と言えるでしょう。
名誉挽回のチャンスは与えられるはずですので、そのチャンスを活かせるかに注目です。
ファン・クアドラード(30):B+
クアドラード選手はウィング以外のポジションでも重宝された前半戦でした。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
2018/19 (出場時間率:41.6%) |
セリエA | 11 (7) | 1 (2) | 609' |
UEFA CL | 5 (4) | (2) | 328' | |
合計 | 16 (11) | 1 (4) | 937' | |
全試合 | 25 | ー | 2250' |
出場時間率は 40% ほどでしたが、中盤やサイドバックとしてもプレーし、チームに貢献しました。アッレグリ監督が様々なポジションで起用していたことからも、“切り札” という立場を確立させていると言えます。
ただ、ひざの負傷でシーズン後半戦の半分ほどを欠場することが確定的になってしまいました。そのため、後半戦の目標は「負傷から回復し、良い状態を取り戻すこと」になるでしょう。
アッレグリ監督から高い信頼を得ていますので、焦る必要はないと考えられます。
フェデリコ・ベルナルデスキ(24):B-
ベルナルデスキ選手の場合は尻すぼみになった前半戦と言えるでしょう。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
2018/19 (出場時間率:28.1%) |
セリエA | 11 (3) | 2 (1) | 351' |
UEFA CL | 4 (3) | 0 | 282' | |
合計 | 15 (6) | 2 (1) | 633' | |
全試合 | 25 | ー | 2250' |
出場時間の大半は10月までに記録されたもので、11月以降は121分の出場に留まっています。負傷離脱があったとは言え、序列的には厳しい立場に置かれている状況です。
後半戦の課題は「FW の交代選手1番手の座を確固たるものにすること」です。クアドラード選手が約3ヶ月の離脱している上、D・コスタ選手は本調子ではありません。そのため、チャンスは十分にあると言えるはずです。
また、アッレグリ監督は「FW の選手にも守備への貢献」を求めますので、この点は長所になります。本業の攻撃面でロナウド選手などとの連携で結果を残し、存在感を高めることができるのかに注目です。