2019/20 シーズンが終了しましたので、ユベントスの選手・監督への評価を行いたいと思います。評価は A〜D の4段階、A が最高評価です。 最終回となる第5回目の評価対象は FW 陣です。
クリスティアーノ・ロナウド(35): A
ユベントス2シーズン目にロナウド選手が記録した成績は下表のとおりです。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
2019/20 (出場時間率:87.2%) |
セリエA | 33 (33) | 31 (6) | 2919' |
UEFA CL | 8 (8) | 4 (1) | 712' | |
イタリア杯 | 4 (4) | 2 | 360' | |
SuperCoppa | 1 (1) | 0 | 90' | |
合計 | 46 (46) | 37 (7) | 4081' | |
全試合 | 52 | ー | 4680' |
- 推定年俸: 3100万ユーロ
- 現行契約: 2022年夏まで
セリエAで31得点を記録し、チャンピオンズリーグでも勝負強さを示すなどゴールゲッターとしての実力を存分に発揮しました。期待された仕事を果たした上で勝利への渇望に今も飢えているのですから、高く評価されるべき選手と言えるでしょう。
来季の注目点は「コンディションを上手く維持できるか」だけです。
決定機を託せば結果を残してくれる選手ですから、ピルロ監督は「ロナウドをどう活かすか」という “宿題” を抱えることになります。プレスにも協力的ですが、プレスが得意な FW ではありません。守備タスクに追われない起用方法を確立できるかが鍵でしょう。
パウロ・ディバラ(26): A
10番を背負うディバラ選手が今シーズンに残した出場記録は次のとおりです。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
2019/20 (出場時間率:62.2%) |
セリエA | 33 (25) | 11 (11) | 2165' |
UEFA CL | 8 (3) | 3 (2) | 310' | |
イタリア杯 | 4 (4) | 2 (1) | 345' | |
SuperCoppa | 1 (1) | 1 | 90' | |
合計 | 46 (33) | 17 (14) | 2910' | |
全試合 | 52 | ー | 4680' |
- 推定年俸: 730万ユーロ
- 現行契約: 2022年夏まで
控え選手の立場からスタートしたもののピッチ上で結果を出し続け、中断明けはチームの攻撃を1人で牽引する圧倒的な存在としてシーズンを締めくくりました。そのため、「評価を持ち直した選手」と言えるでしょう。
来季に向けたプレーに関する注文はロナウド選手と同様にありません。コンディションを維持してくれれば、ピッチ上で結果を残してくれる存在であることは明らかです。
したがって、注目点は「クラブがディバラ選手をどれだけ信頼・信用しているか」になるでしょう。守備に奔走させて疲弊したことで攻撃の精度が落ちることは避けたい選手です。ピルロ監督がどういう位置付けで役割をアサインするのかに注目です。
ドウグラス・コスタ(29): D
D・コスタ選手の出場成績は次のとおりです。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
2019/20 (出場時間率:23.2%) |
セリエA | 23 (7) | 1 (5) | 792' |
UEFA CL | 1 | 1 | 20' | |
イタリア杯 | 4 (4) | 1 (2) | 258' | |
SuperCoppa | 1 | 0 | 14' | |
合計 | 29 (13) | 3 (7) | 1084' | |
全試合 | 52 | ー | 4680' |
- 推定年俸: 600万ユーロ
- 現行契約: 2022年夏まで
2年連続で “医務室暮らし” という状況でした。爆発的な加速力と急ブレーキを組み合わせた突破力は欧州トップレベルですが、「筋肉系の負傷で常に離脱のリスクが付きまとうことが評価を大きく下げる要因」と言わざるを得ないでしょう。
来季の注目点は「どのぐらいの稼働率を記録できるか」です。戦術的な理由で起用されなかったのではなく、そもそも起用できなかったのです。この点に対する評価で今夏の去就が決まることになると思われます。
コストパフォーマンスが悪すぎる状態であることは否定しようのない事実です。この現状をパフォーマンスの継続性で覆すことができるのかに注目です。
ファン・クアドラード(32): B+
今季は主に右 SB としてプレーしたクアドラード選手が残した成績は下表のとおりです。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
2019/20 (出場時間率:73.5%) |
セリエA | 33 (28) | 2 (6) | 2651' |
UEFA CL | 6 (6) | 1 (1) | 500' | |
イタリア杯 | 5 (2) | 0 | 255' | |
SuperCoppa | 1 | 0 | 35' | |
合計 | 45 (36) | 3 (7) | 3441' | |
全試合 | 52 | ー | 4680' |
- 推定年俸: 350万ユーロ(* シーズン開始時)
- 現行契約: 2022年夏まで
前任のアッレグリ監督時代からウィングバック、インサイドハーフ、サイドバックと「右サイドの何でも屋」としてチームに貢献していました。今季はサイドバックをメインにプレーし、シンプルなプレー等でポゼッションに貢献しています。
ピルロ新監督の下でも今季と同様のプレーは期待できる選手です。一方で課題点をどう評価するかで起用順位が変わることが予想されます。
(ダニーロ選手と同様に)守備力に不安を抱えていますし、チャンピオンズリーグでは「守備に回らざるを得ない時間帯」は避けられません。したがって、この問題を「選手個人の能力で解決する」か「チーム戦術で解決する」かのどちらが採られるかがポイントです。
クアドラード選手がどのような起用方法をされることになるのかに注目です。
ゴンサロ・イグアイン(32): D
2年ぶりにユベントスに復帰したイグアイン選手が記録した出場成績は次のとおりです。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
2019/20 (出場時間率:56.5%) |
セリエA | 32 (20) | 8 (4) | 1867' |
UEFA CL | 8 (5) | 2 (2) | 509' | |
イタリア杯 | 3 (2) | 1 (2) | 201' | |
SuperCoppa | 1 (1) | 0 | 66' | |
合計 | 44 (28) | 11 (8) | 2643' | |
全試合 | 52 | ー | 4680' |
- 推定年俸: 750万ユーロ
- 現行契約: 2021年夏まで
サッリ監督からの寵愛と庇護を受け、11得点8アシストと数字上は「一定の結果」を出しています。ただ、年俸と起用されたポジション・プレー時間を考えると称賛できる成績ではないことは明らかです。
また、ハイプレスを要求するサッリ監督の下でロナウド選手よりもプレスをかけていないのがイグアイン選手でした。『ナポリ時代の成績』で得点が量産できるから苦労はありません。プレー機会を与える必要すらないでしょう。
来季の注目点は「(フロント陣が)引導を渡せるか」です。マンジュキッチ選手やエムレ・ジャン選手を干したのですから、同様の措置を採ることで “粛清” できるのかが注目点です。
フェデリコ・ベルナルデスキ(26): C
ユベントスでの3シーズン目を迎えたベルナルデスキ選手の残した成績は下表のとおりです。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
2019/20 (出場時間率:42.1%) |
セリエA | 29 (19) | 1 (1) | 1575' |
UEFA CL | 6 (3) | 1 (1) | 262' | |
イタリア杯 | 3 (1) | (1) | 134' | |
合計 | 38 (23) | 2 (3) | 1971' | |
全試合 | 52 | ー | 4680' |
- 推定年俸: 400万ユーロ
- 現行契約: 2022年夏まで
唯一のイタリア人 FW として在籍中のベルナルデスキ選手ですが、殻を破れそうで破れない状況が続いています。攻撃のサポート役として顔を出し、スペースを埋めるなど献身性は評価されるべき点でしょう。
一方、「決定的な仕事ができたか」が評価基準になる FW として、リーグ戦1得点1アシストでは寂しい限りです。
来季は「得点に関与する仕事をどれだけできるか」が鍵になります。柔らかいボールタッチなどテクニックで対面する DF を剥がすタイプの選手ではありません。フィジカルと左足のパワーが持ち味の選手ですから、この特性をピルロ監督がどう活かすかがポイントでしょう。
似たタイプに分類されるであろうクルゼフスキ選手が加入するため、ポジション争いを制して生き残ることができるのかに注目です。