2023/24 セリエＡ第37節ボローニャ戦に向けたモンテーロ暫定監督による前日会見は行われたので、代わりにトゥット・スポルトのヴァチャゴ編集長が5月18日（土）に執筆したアッレグリ監督へのトリビュート記事を紹介いたします。
「1時半にはオフィスに立ち寄れると思う」
水曜日の夜の出来事は 1957/58 シーズンのユベントスと 1975/76 シーズンのトリノの写真が飾られたトゥット・スポルトのオフィスで完全に終結した。しかし、記録に留めることにする。愚か者達だけでこれらを明確にはできないからだ。
マッシミリアーノ・アッレグリと私は5分で和解した。困難は何もなかった。冷静な中でユベントスの監督が爆発した文脈をより理解することができたからだ。
アッレグリとユーヴェ、サイクルの不完全な終結
期待され非常に予測されていた解雇通知を受け取る数時間前、アッレグリは穏やかで悲しげな男だった。決勝戦の後に起きたことを後悔しているが、その狂気の代償による痛みを何よりも実感している。
いずれにしてもシーズン終了後にはユベントスの監督ではないと彼は知っていた。だが、異なるエンディングはあった。モンツァとの最終戦はチームとともにトロフィーを掲げるお別れとなるはずだった。
常にユベントスの一部であり、今もそう感じ、ユベントスに深く関わっている人物にとって解雇よりも厳しい懲罰となるだろう。
カルチョのプロフェッショナルにとって曖昧なコンテンツであるティフォージではなく、苦楽と共にして来た家族という意味においてだ。
彼は私に明快な表情で説明してくれた。トロフィーによってユベンティーノの道を終えることができれば、2度の退任を含む10年の長期サイクルを完璧な形で終焉させれたからである。
アッレグリ、避雷針と腫れ物
しかしながら何もない。最も皮肉的なティフォージでさえ、少しの憂鬱感を覆い隠さずにはいられない。
アッレグリの2期目は論理的なものやそうではないものを含め、様々な理由で対立を招く監督だった。しかし、最大の理由は落雷が多すぎて勝利から遠ざかった嵐のような3年間でクラブの避雷針であったことだ。
ユベントスで監督をする時はこの要素が何よりも重くなる。
例えば、水曜日の勝利は “アンチ・アッレグリスモ” の戦線に亀裂を入れるに十分だった。原理主義者に立場は残したものの、最も穏健派な批判者達を感情的に動揺させたからである。
ユベントスでは美的側面は二の次である。疑いようもない。過去2年に渡ってユベントスが提供した試合内容が許容レベルを下回っていたとしても、勝利は常に金色でないものをより輝かせる。
この2年間、アッレグリはユベントスにとって唯一の顔だった。彼の存在はクラブ内で扱いづらくなっており、他のマネージャー陣よりも彼は良く分かっていた。
ビッグクラブが機能する時は誰もが自分の仕事を持っている。その仕事だけを遂行しなければならないし、最大限のプロフェッショナリズムで達成しなければならない。
この神聖なルールからの逸脱はトラブルを引き起こす。水曜夜のアッレグリの怒りの爆発はその1つだった。
アッレグリとユーヴェ、エンディングは執筆済みだった
アッレグリは新しいマネジメント陣との関係性を構築できなかった。互いに完全には分かち合うことができておらず、アッレグリはユベントスの歴史の新たな一部分との自覚や信頼を感じたことが1度もなかったからだろう。
私達はいつも同じ言葉を話すのではない。オリンピコのピッチ上でジュントリに対する失礼なジェスチャーによって起きた結末にはならないとしてもだ。
監督とスポーツ・ディレクターの意見の相違によるエピソードは百科事典数冊分にもなる量がある。しかし、それらは公衆の面前ではなく、通常は室内で活き活きと解決されている。
そして、誤解が生じたシーズンは長く傷跡を残すことも事実だ。特に、ある時点でクラブが追い出しにかかっている異物のように感じた場合はただ正しい瞬間を待つことになる。
このようにアッレグリは感じていたし、コッパ・イタリア決勝の夜に爆発したフラストレーションを蓄積していたのだ。
結婚していなかったとすれば、離婚時にどちらが正しくてどちらが間違っていたかを確立することは不可能だ。
新生ユベントスは1年前（の2023年夏）にアッレグリを解任したかったが、代償が大きすぎたし、共に歩む必要性があった。だが、長い目で見れば、必然的にこのような結末となる。
もう後戻りはできないバッドエンドになった。この結末はアッレグリを空虚で憂鬱な気分にさせるだろう。だが、穏やかに未来を見据えた準備をさせることになる。
過去数日の出来事に捉われずに以前の思い出を振り返るのは時期尚早だろう。すぐにアッレグリとティフォージの両者にとっても見方は変わるはずだ。
幸運にも現在の “角” が “カーブ” と記憶が書き換えられた時、何も戻って来ない事実を勝利として許容するだろう。
