イタリアの放送局『スポルト・イタリア』がファジョーリ選手に関する違法賭博問題についてのパパラッチの主張をそのまま放送し、ユベントスがクラブ声明文で放送内容を否定する状況となっています。
矛盾が含まれている主張でもあるため、内容を整理しておく必要があるでしょう。
『スポルト・イタリア』で放送された主張内容
『スポルト・イタリア』が放送した主張を行った人物は元パパラッチのファブリツィオ・コロナ氏です。
- 放送前の主張
- ユベントスはファジョーリがギャンブル狂であることを以前から知っていた
- 『スポルト・イタリア』に電話出演した際の主張
- 2023年8月1日の時点でユベントスはファジョーリの違法賭博問題を認識済みだった
- ファジョーリをアメリカへのプレシーズンツアーから外すこともなく隠蔽を試みていた
- 当局への通報も怠っており、クラブが降格すべき案件だ
発言内容に虚偽が含まれていることは明確ですし、ユベントスがクラブ声明文で一部報道の内容を否定するのは必然と言えるでしょう。
ファジョーリは2023年夏のアメリカツアーに不参加
コロナ氏の主張に疑問符が付くのは「ファジョーリ選手が2023年夏のアメリカ・プレシーズンツアーに不参加だった」からです。
Nicoló Fagioli non partirà oggi con la squadra per lo Juventus Summer Tour a causa di una tonsillite.
— JuventusFC (@juventusfc) 2023年7月21日
ファジョーリ選手はプレシーズンツアーのメンバーに入っていましたが、2023年7月下旬のツアー出発当日に扁桃炎で離脱。イタリアに留まって治療および調整を行っていました。
したがって、「ユベントスがファジョーリ選手の違法賭博問題を認識した上でプレシーズンツアーに帯同させていた」との主張は根本的な部分で事実誤認があります。
8月初旬に「ファジョーリの長期離脱リスク」を認識していたなら、移籍市場での動きは不自然
次に、ユベントスが「ファジョーリ選手が未承認のオンライン・ベッティングサイトを使用したことで捜査当局からの聴取を受けている」との情報を8月初旬の時点で知っていたのであれば、今夏の移籍市場での動きはあまりに不自然です。
- ファジョーリが違法賭博に手を染めている
- 司法取引が成立しても『月単位の出場停止処分』は避けられそうにない
- 出場停止処分中の選手に対する年俸の全額支払い義務は消滅
- 夏の移籍市場は8月末まで開いている
- ポグバの復帰目処は立っておらず
- ユベントスは “8月中旬に” ファジョーリとポジションが重複する若手 MF のバッレネチェアとロヴェッラを期限付き移籍で放出
クラブが隠蔽に走るメリットは少なすぎますし、捜査当局であるトリノ地検が「未承認ベッティングサイトを利用した疑いでファジョーリを事情聴取した」とユベントスに通告することもないでしょう。
“ファジョーリ選手以外の未承認ベッティングサイト利用者” がユベントス内にいた場合に証拠を隠滅されてしまう可能性があるからです。
『調査60日ルール』が存在するため、“イタリアのガーシー” と揶揄されてもおかしくないコロナ氏の賞味期限は10月末まででしょう。11月には「ファジョーリ選手への処分と処分の対象になった問題行為」が公表される見込みからです。