2021/22 シーズンのセリエAの全日程が終了しました。これから夏の移籍市場に向けた動きが本格化するため、ユベントスに求められる補強戦略を整理することにしましょう。
■ 2022/23 シーズンも『スクラップ&ビルド』になる
アッレグリ監督(とフロント陣)の言動を踏まえると、来季の開幕節でスタメンに名を連ねるのが確定的なのは以下の6選手でしょう。
- GK (1) : シュチェスニー
- DF (3) : ダニーロ、ボヌッチ、デ・リフト
- MF (1) : ロカテッリ
- FW (1) : ヴラホビッチ
『(26歳から30歳までの)中堅』で「絶対的な主力選手」と言える選手が1人も見当たらないことが泣き所です。
ラビオ選手は重用されているのですが、現行契約が残り1年であるため去就は不透明です。また、マッケニー選手やザカリア選手は『好条件での獲得オファー』があれば、クラブは交渉の席に着くと思われます。
流動的な部分が大きく残っているものの、優先順位の付け方が重要になるでしょう。
■ GK: 補強の必要性 → なし
GK は補強の必要性はありません。正 GK のシュチェスニー選手は2024年までの契約があり、第2GK のペリン選手とは2025年まで契約を延長しているからです。
両 GK に対するパフォーマンスが問題視されているような状況でもないため、補強ポジションから「GK」が消えていることは悪くはないでしょう。
■ DF (CB): 補強の必要性 → 高い
DF 陣は「即戦力の獲得が必要なポジション」です。今季のセンターバックは4選手だったのですが、キエッリーニ選手がチームを退団。ボヌッチ、デ・リフト、ルガーニの3選手のみとなってしまいました。
いずれの選手との現行契約は2024年夏まで存在するものの懸念点があることも事実です。
- ボヌッチ: 年齢(35歳)による衰えが隠せない
- デ・リフト: 契約解除条項などによる退団の可能性
- ルガーニ: パフォーマンスの継続性
- デミラル: アタランタが今夏に買取オプションを行使する可能性
Bチーム(= U-23)に所属する選手に “5人目の CB” を託すにしても、トップチームに所属する CB を本職とする選手が3選手だけでシーズンを乗り切るのは非現実的でしょう。そのため、少なくとも1人は CB を獲得する必要があります。
■ DF (SB): 補強の必要性 → 若返りの布石を打つ必要あり
サイドバックで「今後数年を主力として貢献すること」が期待されるのはダニーロ選手のみの状況です。
そのダニーロ選手も30歳。30歳オーバーのクアドラード選手とA・サンドロ選手の現行契約は残り1年であり、“26歳から30歳の中堅選手” が見当たらない状況を考えると「若返り」に向けた準備は必要と言えるでしょう。
まずは「左 SB」の若返りを進め、その後に「右 SB」になる流れが自然でしょう。どの選手にポジションを託すのかは今夏から目星を付けておく必要があると思われます。
■ MF → 余剰戦力を放出できるか次第
中盤 MF は「ポグバ選手の復帰」が目前と報じられていますが、(ジェノアに期限付き移籍だった)ロベッラ選手など復帰組の存在を考えると “余剰戦力” がネックになります。
- 2023年夏に現行契約を満了
- ラビオ(27)
- ラムジー(31)
- レンタル移籍から戻って来る若手有望株
- ロベッラ(20, ジェノア)
- ファジョーリ(21, クレモネーゼ)
- ラノッキア(21, ビチェンツァ)
夢を描くことは自由ですが、去就が岐路を迎える選手が5選手もいるのです。「獲得」よりも「放出」を進めることが前提になるでしょう。選手の評価額を下げる行為はクラブ経営にマイナスになるからです。
■ FW → キエーザが復帰するまでの即戦力は必要
FW 陣はヴラホビッチ選手という『絶対的な柱』がいるものの、「頭数が少ない」という問題があります。
- 2022/23 シーズンの契約あり
- ヴラホビッチ(22)
- ケーン(22)
- 2022/23 シーズンの前半での復帰予定
- キエーザ(24)
- カイオ・ジョルジ(20)
- 期限付き移籍から復帰
- ピアツァ(27)
キエーザ選手とカイオ・ジョルジ選手が「2022/23 シーズン前半戦での復帰目標」となっており、現状では起用できる FW が3選手だけです。(ヴラホビッチ、ケーン、ピアツァの3名)
クアドラード選手を右 WG として起用しても頭数が足りないことは事実です。キエーザ選手(やカイオ・ジョルジ選手)が復帰して戦力になる前提で考えると、1〜2年の短期間で結果を出す “傭兵” を雇用することは合理的と言えるでしょう。
ユベントスのフロント陣が2022年夏の移籍市場でどのように立ち回るのかに注目です。