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戦術分析: デ・リフトが釣り出されて生じたスペースをラビオがマークを外したパレホに突かれて同点弾を許したビジャレアル戦

 2021/22 UEFA チャンピオンズリーグ・ラウンド16のビジャレアル戦後にデ・リフト選手が「ポジショニングを間違えた」とミスを認めるコメントを残しています。ミスの内容を指摘することにしましょう。

画像:ポジショニングミスを認めるコメントを残したデ・リフト
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失点の布石となった場面

 デ・リフト選手は「(トリノ戦に続いて)自らのポジショニングミスで失点を招いてしまった」とメディアに自責の念を述べる “異例” の対応をしています。確かにビジャレアル戦でのポジショニングは不味いものでした。

 まずはパレホ選手に同点ゴールを許す布石となった場面を確認しましょう。それは66分の場面です。

 ユベントスは5バックで『左 CB』を担当していたデ・リフト選手は「(クロスに合わせてニアに動き出す)ロ・チェルソ選手のマーク」をしています。

画像:布石1

 しかし、ビジャレアルの左 SB を務めるペドラサ選手は『バックパス』を選択。ロ・チェルソ選手がボックス外へと出たため、逆サイドを担当するデ・リフト選手はマークを止めました。

画像:布石2

 ここまでは「マーク」と「ポジショニング」に問題はなかったのですが、“この後” のポジショニングが「右サイドに寄り過ぎ」だったことは否めません。

画像:布石3

 “3バックの左ストッパー” を担当する選手が「ペナルティースポットを超えて右サイドに陣取っている」のです。「2〜3歩分はデ・シリオ選手寄りのポジショニングをすべきだった」と言わざるを得ないでしょう。

 

直後に同じ流れから同点弾を許す

 ビジャレアルが同点に追い付いたのは上述したプレーがあった直後です。ファールを取られても仕方のないプレーでボール奪取に成功したビジャレアルはパレホ選手にボールを預けます。

画像:ビジャレアル戦での失点シーン1

 パレホ選手からのパスを受けたA・モレノ選手は『ダンジュマ選手への縦パス』を狙うも、これはマッケニー選手にパスコース上に立たれたことからペドラサ選手のいる左サイドに展開します。

画像:ビジャレアル戦での失点シーン2

 この時点でユベントスの守備陣は「右サイドに偏りすぎ」であることは否定できません。

画像:ビジャレアル戦での失点シーン3

 “左インサイドハーフ” のラビオ選手が右サイドでポジショニングをし、“3バックの左ストッパー” であるデ・リフト選手もペナルティースポット上に陣取っているからです。

 ペドラサ選手がカプエ選手にボールを戻すと同時にロ・チェルソ選手が「ボールを引き出すためにカプエ選手に近づき」、デ・リフト選手がそれに釣られたことで『左サイドのスペース』は拡大します。

画像:ビジャレアル戦での失点シーン4

 その上、(右ボランチを担当する)パレホ選手をユベントスの選手は誰も見ていませんでした。

画像:ビジャレアル戦での失点シーン5

 そこにカプエ選手からクロスが届いたのですから、シュートミスが起きない限りは失点は不可避です。失点の原因は複数存在しているため、これはデ・リフト選手だけの問題とは言えないでしょう。

 

ビジャレアル戦で失点時に不味い守備対応をしたユベントスの選手

 ビジャレアルとのファーストレグで同点ゴールを許した際に不味い守備対応をしてしまったのは少なくとも3選手はいます。

  • ボヌッチ: 『ダニーロがマークに付いていたダンジュマ』のみを監視
  • デ・リフト: ロ・チェルソを深追いして右サイドにまで進出
  • ラビオ: ボールを深追いして左サイドの持ち場を離れる

 アッレグリ監督が採用している守備戦術の肝は「ゾーンとマンツーマンの切り替え」なのですが、「マンツーマンからゾーンに戻すタイミング」を見誤ってしまうと “空白” が発生してしまいます。

 “2トップのロ・チェルソ選手” が『ユベントスの右サイド』にスライドしたなら、デ・リフト選手は “3バックの中央を務めるボヌッチ選手” にマンツーマンを引き継ぐべきでした。

 なぜなら、「ロ・チェルソ選手とチュクウェゼ選手に対処する味方のカバーリング」という仕事があるからです。

 

 デ・リフト選手は試合後の取材で自らのポジショニングミスに対する自責の念を述べているため、次戦以降に同じミスを繰り返さないのであれば問題視する必要はないでしょう。同様のミスをしていた他の選手のパフォーマンスが改善されるのかにも注目です。