“周囲の味方を使うことで輝く選手” の代表格であるディバラ選手が第25節アタランタ戦では “使われる選手” としても良いプレーを見せていましたので紹介いたします。
前半14分すぎのプレー
ディバラ選手が “使う側の選手” ではなく “使われる側の選手” として良い動きを見せたのは前半14分すぎの場面です。
ユベントスはロカテッリ選手が右サイドでフリーになっているダニーロ選手に展開。アタランタは左 WB のザッパコスタ選手がチェックに向かいます。
それと同時にアタランタのジムシティ選手は「マッケニー選手が裏のスペースを突いてくる」との予測を基に(マッケニー選手のマークを外して)後方へと戻ります。
しかし、実際にアタランタの DF ライン裏へとスプリントを開始したのは “低い位置にいたディバラ選手” でフリーになったマッケニー選手はパスを受けるためにダニーロ選手に近寄ります。
ダニーロ選手からのパスを受けたマッケニー選手はダイレクトで前方のスペースに展開。パスが出る瞬間を目視で確認したディバラ選手は加速します。
デ・ローン選手の前に身体を入れたディバラ選手はヘディングでボール前に出し、ドリブルでさらに持ち上がり切り返しからのシュートで終えています。惜しくも枠には飛ばなかったものの、この動きは評価されるべきでしょう。
“使われる側の選手” としても計算できることに意味がある
ディバラ選手が「周囲の味方を使うことで輝きを放つ選手」と評されることに異論を唱える人は少数派でしょう。ただ、常に『使う側の選手』でいることに固執していることがネックでした。
これは「スペースへのフリーランニング」に代表される『使われる側の選手』としての働きがほぼ皆無だったことなどで示されています。
しかし、アタランタ戦では上述のプレーなど『使われる側の選手』としての良い動きを見せています。
ディバラ選手は「スペースへのフリーランニングを常に狙う選手」ではありません。そのため、「相手の警戒が緩んだ際にスペースへのフリーランニングを仕掛けること」が求められているのです。
『使う側』と見なされている選手が『使われる側』としてのプレーを選択した際のインパクトは数字以上に残ります。PK をど真ん中に蹴り込むことと同じ “心理面での駆け引き” を加味することができるかがポイントになるでしょう。
「チームとしての守備ブロックの切り替え」には改善の余地がある
一方でユベントスは「チームとしての課題」を抱えていることは事実です。その1つが『守備ブロックの切り替え』です。
前半19分すぎの場面でユベントスは「4-4-2 のブロック」を構築しようとしていますが、実際は「4-3-2 のブロック」になっています。
ピッチの横幅を3選手で守ることは不可能ですし、この場面では「大外にいる選手」を見る(≒抑える)ことがシステム的に無理なのです。
- コープマイネルスからジムシティに展開
→ ディバラがチェックに向かう - ジムシティから「ボガ」と「ザッパコスタ」へのパスコースが存在
- 『ボガへのパス』はマッケニーが対応可能
- 『ザッパコスタへのパスコース』をマッケニーが切ることは難しい
大外に2選手を配置しているアタランタはデ・ローン選手も加勢できるため、最大で3選手が左サイドで攻撃に参加することが可能です。
一方のユベントスはサイドにいるのは「DF のダニーロ選手のみ」です。
守備ブロックが 4-4-2 で「(右アウトサイドの)マッケニー選手がボガ選手へのパスコースを切った状態」なら、『ジムシティ選手からの縦パス』は “リスキーな選択肢” になるはずです。
3トップを採用した際のハイプレスは 4-3-3 で仕掛けることになるため、ピッチの中央付近まで撤退した際には「FW が1列下がる形で素早く 4-4-2 のブロックに切り替えること」が重要です。
『守備ブロックの切り替え精度』を高めることが今後の課題になるでしょう。