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戦術分析: 接戦でのプレー方法を忘れて勝点の取りこぼしが続くユベントス (2020/21 セリエA第7節ラツィオ戦)

 後半アディショナルタイムに劇的同点弾を許して引き分けたセリエA第7節ラツィオ戦ですが、ボヌッチ選手が試合後にコメントしたように様々なミスが確認できます。接戦を勝ち切れない原因ですから、問題を整理することにしましょう。

画像:波に乗り切れないピルロ監督
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■ 失点の発端は「ディバラのドリブルミス」

 ラツィオ戦で同点ゴールを許す発端となったのは「ディバラ選手が94分に仕掛けたドリブル」です。仕掛けた際にボールが足に付いておらず、サイドラインを割ったためにラツィオのスローインとなりました。

 このプレーはディバラ選手のミスでしょう。

 しかし、「自陣でのボールキープ」は自殺行為ですから、縦に持ち上がる判断は間違いではありません。むしろ、仕掛けたディバラ選手に並走する形でマッケニー選手とクアドラード選手が(自らの持ち場を捨てて)スプリントをしていることが問題です。

 その結果、「守備側の選手が持ち場を離れている」という “ミス” が発生しているのです。「サポートは1人まで」などの約束事を徹底していなかったことが同点ゴールを許す遠因になったことは否定できないでしょう。

 

■ 2トップの一角がサイドでフリーになる状況を許している

 クアドラード選手まで攻め上がったことでサイドライン際のスペースを埋める選手が不在となり、そのことに気づいたインザーギ監督の指示を受けたマルシッチ選手がJ・コレア選手にスローインを入れ、ラツィオはチャンスを手にします。

画像:2020/21 Serie A, Laz - Juv

 ユベントスはチェックに入ったベンタンクール選手にクアドラード選手も戻って加勢し、2人で対応する形を作ることに成功します。

画像:2020/21 Serie A, Laz - Juv

 しかし、J・コレア選手の突破力が上回り、中へのカットインを許してしまいます。

画像:2020/21 Serie A, Laz - Juv

 ここでの守備は評価が割れるところでしょう。試合中から「J・コレア選手に左サイドから突破」を許していましたし、ファールで止めた場合は「セットプレーの守備」が求められます。

 したがって、「ファール覚悟で突破を止める」という選択肢は結果論と言えるでしょう。

 

■ ラビオもJ・コレアの突破を許してピンチが拡大

 J・コレア選手にサイドからのカットインを許したことでユベントスはラビオ選手が(持ち場を離れて)チェックに向かいます。

画像:2020/21 Serie A, Laz - Juv

 しかし、J・コレア選手のペナルティーエリア侵入の方が早く、ラビオ選手は(PK のリスクがあるため)厳しいチェックができず。デミラル選手はシュートと PK 奪取に注意を払いながらの対応をすることになります。

画像:2020/21 Serie A, Laz - Juv

 ただ、パスコースは残っていたため、J・コレア選手はカイセド選手にラストパス。ボールはボヌッチ選手とマッケニー選手の間を通過し、カイセド選手へと渡ります。

画像:2020/21 Serie A, Laz - Juv

 ここでボヌッチ選手は「カイセド選手が縦に持ち出して左足でシュートを打つ」と決め(付け)た対応をします。

画像:2020/21 Serie A, Laz - Juv

 ところが、カイセド選手が実際にしたのは「反時計回りにターンをしてからの右足シュート」でした。ボヌッチ選手が『全くケアしていない選択肢』が採られたのですから、対応が遅れる分だけシュートコースが存在することになります。

 失点の発端が「ディバラ選手のドリブル」なら、仕上げは「ボヌッチ選手の対応」でしょう。様々なミスが積み重なって土壇場で劇的な同点ゴールを許し、勝点2を取りこぼす結果になってしまいました。これは猛省すべきことになるはずです。

 

■ 接戦を制するには「リードを守り切る」か「決勝点をもぎ取る」かが不可欠

 ピルロ監督に率いられた今季(= 2020/21 シーズン)のユベントスは11月の国際Aマッチデーまでに公式戦10試合を戦っていますが、1点差勝利は1試合もありません。

 バルセロナには敗れましたが、その他の9試合は「2点差以上での勝利」か「引き分け」のどちらかとなっています。これが調子が上がらない大きな要因でしょう。

 1点を先行しても守り切る『守備体系』が構築できていないなら、同点に追い付かれてしまいます。また、相手の守備ブロックを崩せずに攻めあぐねた場合も引き分けになってしまいます。

 アッレグリ監督は「守備からチーム作り」を行い、「パワープレーで守備ブロックを破壊」することで勝点を獲得する手堅さが強みでした。フロント陣は「アッレグリ監督の手法では不十分」としたのですから、成績が下回るのであれば批判は免れないと言わざるを得ないでしょう。

 

 ラツィオ戦ではピルロ監督が志向していたはずのハイプレスは影を潜めました。「チーム作りの方向性」という点でも11月の国際Aマッチデー明けの戦い方に注目です。