2019/20 シーズンが終了しましたので、ユベントスの選手・監督への評価を行いたいと思います。評価は A〜D の4段階、A が最高評価です。 第4回目の評価対象は MF 陣です。
ミラレム・ピアニッチ(30): B
バルセロナに移籍するピアニッチ選手が今季記録した成績は下表のとおりです。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
2019/20 (出場時間率:71.6%) |
セリエA | 30 (28) | 3 (8) | 2285' |
UEFA CL | 8 (8) | 0 | 659' | |
イタリア杯 | 4 (4) | 0 | 316' | |
SuperCoppa | 1 (1) | 0 | 90' | |
合計 | 43 (41) | 3 (8) | 3350' | |
全試合 | 52 | ー | 4680' |
- 推定年俸: 650万ユーロ
現行契約: 2023年夏まで
サッリ監督の要求する『レジスタ像』を完璧に体現することには苦労したものの、「ピッチ中央でクオリティーを高める仕事は十分にしていた」と言えるでしょう。
パスワークでリズムを作ることに長けたタイプとは言えない中盤のメンバー構成でポゼッションのクオリティーを問われ続けたのには同情の余地があります。
来季はスタイルが異なるバルセロナでプレーするため、チームに上手く適応できるかが注目点になるでしょう。
サミ・ケディラ(33): D
ケディラ選手が残した成績は次のとおりです。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
2019/20 (出場時間率:20.1%) |
セリエA | 12 (9) | (1) | 685' |
UEFA CL | 5 (4) | 0 | 265' | |
イタリア杯 | 1 | 0 | 28' | |
合計 | 18 (13) | (1) | 978' | |
全試合 | 52 | ー | 4680' |
- 推定年俸: 600万ユーロ
- 現行契約: 2021年夏まで
サッリ監督のスタイルに合致しないタイプであると見なされていましたが、たった1度のプレー機会で「一発回答」を示して開幕スタメンの座を勝ち取る最高のスタートを切りました。
しかし、その勢いは長続きせず。ひざの負傷を皮切りに筋肉系のトラブルにも見舞われ、ほとんど貢献することはできませんでした。シーズン全体の出場時間率は2年連続で 20% 強と低水準であり、来季の戦力には入っていないと思われます。
おそらく、フロント陣から「退団勧告」が行われていることでしょう。ピルロ監督の “鶴の一声” があれば別ですが、来季もユベントスでプレーする姿を目にする可能性は低いと言えるでしょう。
アーロン・ラムジー(29): C
アーセナルからフリーで加入したラムジー選手がユベントス1年目で残した成績は次のとおりです。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
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2019/20 (出場時間率:29.6%) |
セリエA | 24 (11) | 3 (1) | 1050' |
UEFA CL | 6 (2) | 1 | 200' | |
イタリア杯 | 4 (1) | 0 | 110' | |
SuperCoppa | 1 | 0 | 24' | |
合計 | 35 (14) | 4 (1) | 1384' | |
全試合 | 52 | ー | 4680' |
- 推定年俸: 700万ユーロ
- 現行契約: 2023年夏まで
中盤のインサイドハーフを主戦場にディバラ選手やピアニッチ選手と波長の合ったパスワークを披露し、スペースへの動き出しやゴール前での勝負強さなど持ち味を発揮できていたと評価することはできます。
ただ、筋肉系の負傷やコンディション不良で離脱期間が長くなったことが泣き所になりました。“ガラスのエース” では評価は上がりにくいですし、高給を得ている状況を加味すると「コストパフォーマンスの悪さ」は批判の対象になります。
したがって、来季は「稼働可能時間を長くすること」をすることが至上命令です。(バルセロナから加入する)アルトゥール選手とのポジション争いは不可避ですから、“不戦敗” を避けなければ話になりません。
真価を発揮する2シーズン目にすることができるのかに注目です。
ブレーズ・マテュイディ(33): B
ユベントス3年目となったマテュイディ選手の成績は下表のとおりです。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
2019/20 (出場時間率:61.6%) |
セリエA | 35 (23) | (2) | 2231' |
UEFA CL | 5 (4) | 1 | 340' | |
イタリア杯 | 4 (3) | 0 | 238' | |
SuperCoppa | 1 (1) | 0 | 76' | |
合計 | 45 (31) | 1 (2) | 2885' | |
全試合 | 52 | ー | 4680' |
- 推定年俸: 350万ユーロ
現行契約: 2021年夏まで
ボールを持った際により持ち味を発揮するラビオ選手がチームにフィットするにつれて出場機会を減らしましたが、それでもシーズン全体の出場時間率は 60% 超と “計算のできる存在” としてチームの中盤で汗をかき続けました。
「中盤でのバランス取り」や「裏のスペースへの走り出し」などオフ・ザ・ボール時の貢献は来季も十分に期待できたでしょう。
ただ、それらの役割に対する重要度は今季と同様に低いままであることが予想されるため、今季で袂を別つのは理解できることです。
マテュイディ選手には新天地で素晴らしいサッカー人生を続けて欲しいと思います。
アドリアン・ラビオ(25): B+
PSG から新加入したラビオ選手が残した成績は次のとおりです。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
2019/20 (出場時間率:52.9%) |
セリエA | 28 (21) | 1 (1) | 1915' |
UEFA CL | 5 (4) | 0 | 368' | |
イタリア杯 | 4 (2) | 0 | 193' | |
合計 | 37 (27) | 1 (1) | 2476' | |
全試合 | 52 | ー | 4680' |
- 推定年俸: 700万ユーロ
- 現行契約: 2023年夏まで
加入当初は PSG で実戦から半年ほど遠ざかっていたこともあり、前半戦は適応することに苦労しました。それでも後半戦からはコンディションも上がり、中断明けは「中盤で欠かすことのできない戦力」へと昇華したと言えるでしょう。
来季の要求は「今季中断明けに見せたパフォーマンスをシーズン全体で披露すること」です。
ボールを持った際に持ち味が最も発揮するタイプの選手ですから、得点やアシストを増加させる(= ゴール前で決定的な仕事をする)ことが評価の基準になります。フランス代表に再び招集されるような内容を見せられるのかに注目です。
ロドリゴ・ベンタンクール(23): A
ベンタンクール選手が 2019/20 シーズンに記録した出場成績は下表のとおりです。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
2019/20 (出場時間率:66.1%) |
セリエA | 30 (25) | (8) | 2199' |
UEFA CL | 7 (4) | 0 | 419' | |
イタリア杯 | 5 (4) | 1 | 387' | |
SuperCoppa | 1 (1) | 0 | 90' | |
合計 | 43 (34) | 1 (8) | 3095' | |
全試合 | 52 | ー | 4680' |
- 推定年俸: 250万ユーロ
- 現行契約: 2024年夏まで
ウルグアイ代表としてコパ・アメリカに参加していたために合流が遅れ、シーズン序盤はケディラ選手との交代出場で起用される立場でした。ただ、持ち前のテクニックと走力を活かして攻守に躍動し、不可欠な存在となりました。
監督はピルロ監督に変わったものの、ベンタンクール選手への評価は不変でしょう。
来シーズンの注目点は「中盤のどのポジションでどのような仕事を担うのか」に尽きます。“中盤の便利屋” として計算ができるほどの器用さがあり、どういう使い方をしても及第点に達するパフォーマンスをしてくれるからです。
そのため、ピルロ監督がどう活かすかがポイントになるのは言うまでもありません。中盤がどのような選手で構成されるのかにも注目です。