2019/20 シーズンが終了しましたので、ユベントスの選手・監督への評価を行いたいと思います。評価は A〜D の4段階、A が最高評価です。 第3回目の評価対象は DF 陣です。
センターバック
ジョルジョ・キエッリーニ(36): C
チーム主将であるキエッリーニ選手が記録した成績は次のとおりです。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
2019/20 (出場時間率:4.3%) |
セリエA | 4 (3) | 1 | 201' |
合計 | 4 (3) | 1 | 201' | |
全試合 | 52 | ー | 4680' |
- 推定年俸: 350万ユーロ
- 現行契約: 2021年夏まで
今季開幕節パルマ戦で決勝ゴールを決めるなど最高のスタートを切ったものの、翌週の練習で前十字靭帯を断裂。シーズン後半戦に復帰しましたが、コンディション不良に悩まされたままでシーズンを終えました。
選手キャリアにおける最後の数年という状況ですから、「これまでの経験でどれだけカバーできるか」が来季の注目点となるでしょう。
年齢を加味すると、後継者のメンターとして振る舞うことも重要になります。『良き手本』として後継者にバトンを託すことができるのかも注目点です。
マタイス・デ・リフト(21): C
アヤックスから新たに加わったデ・リフト選手がユベントス1年目で残した成績は下表のとおりです。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
2019/20 (出場時間率:71.6%) |
セリエA | 29 (26) | 4 (1) | 2449' |
UEFA CL | 6 (6) | 0 | 540' | |
イタリア杯 | 4 (4) | 0 | 360' | |
合計 | 39 (36) | 4 (1) | 3349' | |
全試合 | 52 | ー | 4680' |
- 推定年俸: 1200万ユーロ
- 現行契約: 2024年夏まで
年齢とパフォーマンスで過大評価されている選手を言わざるを得ないでしょう。獲得に費やした移籍金と年俸を考えれば、コストパフォーマンスが見合っていないことは明らかだからです。
今年11月に22歳になる冨安選手にボローニャが費やした移籍金や年俸は「デ・リフト選手の約10分の1」です。デ・リフト選手のプレー内容は「(良くて)冨安選手の 3〜4 倍」ですから、goal.com などの満点近い採点は論外と言わざるを得ません。
セリエAの DF 最高年俸を得ているにも関わらず、ベストメンバーに選ばれていないのです。冨安選手と同じ「U-23 でのベストメンバー」では手放しに称賛することはできないでしょう。
来季は「プレー内容でデミラル選手を上回ること」がノルマです。ゴールデンボーイ賞に選出された関係で『トゥット・スポルト』は徹底擁護の論調を採るため、「是々非々でプレーが査定されるのか」にも注目です。
レオナルド・ボヌッチ(33): C
結果的に主将としてシーズンを戦ったボヌッチ選手の成績は次のとおりです。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
2019/20 (出場時間率:89.0%) |
セリエA | 35 (35) | 3 | 3085' |
UEFA CL | 7 (7) | 0 | 630' | |
イタリア杯 | 4 (4) | 1 | 360' | |
SuperCoppa | 1 (1) | 0 | 90' | |
合計 | 47 (47) | 4 | 4165' | |
全試合 | 52 | ー | 4680' |
- 推定年俸: 550万ユーロ(* シーズン開始時)
- 現行契約: 2024年夏まで
「頑丈さ」が特筆事項になるものの、ピッチ上でのパフォーマンスやメンタリティーは「終わったも同然の選手」という評価が適切でしょう。
センターバックのレギュラーコンビは「セリエA最高給」を得ているにも関わらず、DF 陣は最後の最後まで脆弱なままでした。また、チャンピオンズリーグ敗退後に「カンピオナート(= セリエA)制覇が主目標だった」と “あるまじき発言” をする有様です。
低迷状態だったミランで『敗者のメンタリティー』に感染し、それをユベントスで蔓延させているのでしょう。政治力でパラティーチ CFO に取り入り、それで得た地位を使って “ボス” として振舞っているだけです。
「温め直したスープが『メイン』から降格となるか」が来季の注目点になります。
ダニエレ・ルガーニ(26): C
ルガーニ選手の出場記録は以下のものです。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
2019/20 (出場時間率:22.4%) |
セリエA | 10 (7) | 0 | 687' |
UEFA CL | 2 (2) | 0 | 180' | |
イタリア杯 | 2 (2) | 0 | 180' | |
合計 | 14 (11) | 0 | 1047' | |
全試合 | 52 | ー | 4680' |
- 推定年俸: 350万ユーロ
- 現行契約: 2024年夏まで
不運で不幸なシーズンでした。開幕直前に「CB の序列5番手」を通告されて飼い殺し状態となり、セリエA所属選手での新型コロナウイルス感染第1号となるなど散々な出来事が立て続きに起きたからです。
プレー内容が思わしくなかったことは事実でしたが、ルガーニ選手だけが大バッシングを受け、(同様のミスをした)ボヌッチ選手は庇うどころか知らぬ存ぜぬで逃げる有様です。これではルガーニ選手の状態が悪化するのは当然でしょう。
難しいのは来季の去就です。試合勘と自信が欠如した選手を回復させるにはシーズンの半分は必要ですが、ピルロ監督にその余裕があるとは思えません。また、売却しようにも評価額が暴落しているため、フロント陣の希望額に達しないと考えられるからです。
ボヌッチ選手の出戻りを許したことによる被害者の1人ですから、面倒を見る責任があると言えるでしょう。評価をすること自体が難しい状況なだけにピルロ監督がどう判断するのかに注目です。
メリフ・デミラル(22): Aー
サッスオーロから新加入したデミラル選手の成績は以下のとおりです。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
2019/20 (出場時間率:12.8%) |
セリエA | 6 (5) | 1 (1) | 418' |
UEFA CL | 1 (1) | 0 | 90' | |
SuperCoppa | 1 (1) | 0 | 90' | |
合計 | 8 (7) | 1 (1) | 598' | |
全試合 | 52 | ー | 4680' |
- 推定年俸: 180万ユーロ
- 現行契約: 2024年夏まで
持ち味のアグレッシブさを存分に発揮し、今季(= 2019/20 シーズン)の DF 陣の中では最も強固で計算ができる存在でした。それだけに第19節ローマ戦で左ひざ前十字靭帯断裂は悔やまれる負傷離脱となってしまいました。
来季は負傷明けということもあり、前半戦は週1試合のペースで上手く休養を与えながら起用されることになるでしょう。才能は証明済みですし、デュエルでの強さは屈指のものがあるからです。
試合でのトップコンディションを取り戻すための “相応の配慮” がされた起用方法が見られるのかに注目です。
サイドバック
マッティア・デ・シリオ(27): D
デ・シリオ選手が記録した今季の出場成績は次のとおりです。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
2019/20 (出場時間率:16.5%) |
セリエA | 9 (6) | 0 | 470' |
UEFA CL | 2 (2) | 0 | 180' | |
イタリア杯 | 1 (1) | 0 | 69' | |
SuperCoppa | 1 (1) | 0 | 55' | |
合計 | 13 (10) | 0 | 774' | |
全試合 | 52 | ー | 4680' |
- 推定年俸: 300万ユーロ
- 現行契約: 2022年夏まで
戦力として計算されていたにも関わらず、筋肉系の負傷に見舞われ続けたために評価が大幅に下落したシーズンとなりました。
左右どちらのサイドバックでもプレーできるのは貴重な選手です。また、足元の技術力もあるため、評価されることは理解できます。しかし、相次ぐ負傷によって医務室で過ごす時間が長くなっている現状ですから、“判断” が必要が時期に差し掛かっていることは否定できないでしょう。
ユベントスに加入した際は「環境を変えたことによる新たなモチベーションで一皮むけるかも」との期待がありましたが、それが終わったとしても不思議ではありません。
デ・シリオ選手を残すよりも、(ユベントスのクラブ育成選手である)マッティエッロ選手をアタランタから買い戻した方が合理的な状況にあります。ミランで時代を築いてきたピルロ監督がデ・シリオ選手をどう評価するかで来季の立場が決まるものと思われます。
アレックス・サンドロ(29): B
左サイドバックのレギュラーとして活躍したA・サンドロ選手が残した成績は下表のとおりです。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
2019/20 (出場時間率:74.1%) |
セリエA | 29 (27) | 1 (3) | 2386' |
UEFA CL | 6 (6) | (1) | 540' | |
イタリア杯 | 5 (5) | 0 | 450' | |
SuperCoppa | 1 (1) | 0 | 90' | |
合計 | 41 (39) | 1 (4) | 3466' | |
全試合 | 52 | ー | 4680' |
- 推定年俸: 500万ユーロ
- 現行契約: 2023年夏まで
左 SB を本職として出ずっぱりでしたが、煮え切らないシーズンでした。『攻撃』に重きを置くサッリ監督が率いたもののアッレグリ監督時代と変わらないゴール数とアシスト数だったからです。能力が活かされ切らなかった選手の1人と言えるでしょう。
来季もピルロ監督の下でレギュラーとしてシーズンを通してプレーすることは既定路線です。注目点は「どのような役割がアサインされるか」になります。
攻守において安定した貢献ができることは間違いありません。したがって、「ピルロ監督が志向するスタイルで圧倒的な存在となれるか」が唯一の注目点でしょう。本職の左 SB がA・サンドロ選手だけでしたから、バックアッパーを務める選手が誰になるのかにも注目です。
ダニーロ(29): C
カンセロ選手との交換トレードでユベントスに加入したダニーロ選手が残した出場成績は下表のとおりです。
大会名 | 試 | 得点 | 時間 | |
---|---|---|---|---|
2019/20 (出場時間率:46.0%) |
セリエA | 22 (16) | 2 | 1441' |
UEFA CL | 6 (5) | 0 | 470' | |
イタリア杯 | 4 (3) | 0 | 241' | |
合計 | 32 (24) | 2 | 2152' | |
全試合 | 52 | ー | 4680' |
- 推定年俸: 500万ユーロ
- 現行契約: 2024年夏まで
「サイドバックの控え選手」という点では両サイドでプレーができるため、能力水準は悪くはないでしょう。ただ、コストパフォーマンスが割高であることを否定できない現状が問題点です。そのため、この点が来季以降の課題になります。
今季のユベントスは『右サイド主体の攻撃』が基本でしたが、(主に)右サイドバックとしてプレーしたダニーロ選手のアシスト数はゼロです。攻撃に重点を置くサッリ監督の下で残した数値としては「寂しい限り」と言わざるを得ないでしょう。
したがって、「攻撃参加した際のプレー精度」がポジション奪取に向けた評価項目となるはずです。とは言え、これはユベントスが右 SB を補強しなかった場合の話です。守備力を含めた総合力では「不十分」ですから、全体的なレベルアップができるかが注目点になります。