ユベントスが公式サイト上で 2022/23 シーズン通期の決算を発表し、1億2270万ユーロの赤字で終えたことが明らかになりました。本稿では売上高や事業費などの細かい内容を取り上げたいと思います。
収支の詳細は下表のとおりです。
項目 | 2022/23 (通期) |
2021/22 (通期) |
---|---|---|
チケット販売 | 61,500,497 | 32,293,161 |
テレビ・ラジオ放映権 およびメディア収益 |
157,161,351 | 170,517,144 |
スポンサー/広告収益 | 150,280,938 | 142,538,542 |
製品・ライセンス販売 | 28,569,824 | 24,434,746 |
選手登録権益 | 70,166,506 | 40,782,790 |
他の収益 | 39,973,591 | 32,813,867 |
総収益 | 507,652,707 | 443,380,250 |
用具/サプリ等購買費 | (4,030,336) | (3,516,846) |
販売用製品購買費 | (12,303,562) | (9,745,706) |
外部サービス | (94,059,408) | (74,015,182) |
選手年俸/スタッフ費用 | (255,358,523) | (310,824,510) |
他の人件費 | (27,030,301) | (26,211,512) |
選手登録権への費用 | (12,043,215) | (31,853,535) |
他の支出費用 | (22,782,826) | (12,183,517) |
総事業費用 | (427,608,171) | (468,350,808) |
選手登録権の償却/評価損 | (159,134,997) | (173,360,643) |
有形/無形資産の償却 | (14,507,663) | (16,874,423) |
引当金 | (5,691,459) | (6,448,710) |
営業利益 | (99,289,583) | (221,654,335) |
金融利益 | 3,306,291 | 3,295,322 |
金融費用 | (21,522,597) | (19,165,850) |
JV費用 | 157,487 | 87,694 |
税引き前利益(損失) | (117,348,402) | (237,437,169) |
当期税金 | (6,589,426) | (2,588,366) |
繰越税金 | 244,252 | 767,820 |
当期利益(損失) | (123,693,576) | (239,257,715) |
2022/23 シーズンの『売上高』は約5億ユーロ。前年度の約4億4000万ユーロから6000万ユーロの増加となりました。
売上増の要因は『チケット販売』が3000万ユーロ増となり、『選手登録権益(=選手売却による移籍金収入)』も3000万ユーロの増加を記録したためです。これら2項目が『売上高』を押し上げる結果となりました。
来季(2023/24 シーズン)は UEFA 主催大会に出場しないため、『チケット販売』や『放映権料』など項目では売上減が予想されます。したがって、事業費の削減を中心にしたコストカットで収支のバランスを取ることが必要になるでしょう。
2022/23 シーズンの『事業費』は約4億3000万ユーロ。前年度の約4億7000万ユーロから4000万ユーロの減少となりました。
その最大の要因が『人件費(≒選手への年俸)』であることは明らかでしょう。昨季の3億1000万ユーロから2億6000万ユーロにまで約5000万ユーロの圧縮が行われているからです。
また、『(選手獲得に費やした移籍金の)減価償却費』も約1億7000万ユーロから約1億6000万ユーロに(少額ではあるものの)削減が進められています。
『減価償却費』は「選手との現行契約の残り期間」によって算出されるため、期限付き移籍は計上され続けるという “ネック” な部分もあります。そのため、経営的には難しい舵取りを引き続き求められることになるでしょう。
決算としては「2023/24 シーズンも赤字で終える見込み」とクラブは見解を示しています。
それだけに「慢性的な赤字体質をチャンピオンズリーグ出場権で黒字決算が現実味を帯びるように改善」することが重要になるでしょう。経営的な立て直しを上手く機能させることができるのかに注目です。