ユベントスは公式サイト上で取締役会が 2022/23 シーズンの決算内容(1億2370万ユーロの赤字)を承認したと発表いたしました。
また、2023/24 シーズンから 2026/27 シーズンまでの3年計画の更新および親会社である Exor が持ち株分を引き受ける2億ユーロの増資を行うことも合わせて発表されています。
2022/23 シーズンの決算における主要項目は以下のとおりです。
年度 | 変化量 | |||
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項目 | 2022/23 | 2021/22 | 数値 | % |
売上高 | 507.7 | 443.4 | 64.3 | 14.5% |
事業費 | 427.6 | 483.4 | (40.8) | -8.71% |
償却費 | 179.3 | 196.7 | (17.4) | -8.85% |
事業収支 | (99.3) | (236.7) | 122.4 | 55.2% |
税引き前損益 | (117.3) | (252.5) | 120.1 | 50.6% |
当期損益 | (123.7) | (254.3) | 115.6 | 48.3% |
2022/23 シーズンの売上高は約5億ユーロ。前年度より6400万ユーロの増加となりました。
売上高が増加した要因は『チケット収入』と『選手売却益』がそれぞれ約3000万ユーロの増加を記録したからです。この収益水準を維持できるかが 2023/24 シーズン以降の経営面での課題となるでしょう。
また、事業費(4000万ユーロ)と償却費(1700万ユーロ)が削減されたことで「当期の損失額が前年度の半分程度にまで圧縮」される結果となりました。
道半ばではあるものの、長期的視野に基づく経営戦略が重要と言えるでしょう。
ユベントスは「2023年夏の移籍市場で(高給取りで減価償却費も高額な)主力選手を売却しなければ経営的に持たない」と言える状態でした。
2022/23 シーズンはディ・マリア選手やパレデス選手など “移籍金を必要としない選手” で戦力の維持を図っていましたが、『選手獲得に費やした移籍金の減価償却費』は思うように削減できていなかったからです。
そのため、ヴラホヴィッチ選手やキエーザ選手などが現金化の対象として噂されていましたが、経営陣は「選手を売る必要はない」との強気のコメントで噂を一蹴。売り手側であったものの売り急ぐ様子は感じられない奇妙な移籍市場でした。
経営陣が今夏の時点で『親会社 Exor からの2億ユーロの増資』を知っていたのであれば、ジュントリ FD には「予算内で将来も見据えた最高のチーム編成にせよ」と “だけ” 命じるでしょう。
そうすることでブレメル選手やヴラホヴィッチ選手など “買い手が現れやすい主力選手” の現金化は今夏の主要テーマからは外れることになるからです。
『チーム総年俸』と『選手獲得に投じた移籍金の減価償却費』は 2023/24 シーズン以降も圧縮し続ける必要がありますし、移籍市場での派手な補強は自重することになるでしょう。
チーム力と経営基盤の双方を上手く強化することができるのかに注目です。