ミランなどで活躍したズヴォニミル・ボバン氏が「チェフェリン会長が進める多選禁止条項の撤廃を支持することは自らの信念に反する」とオープンレターで主張し、UEFA での職(フットボール部門長)を辞したと『ガゼッタ・デッロ・スポルト』などが報じています。
今後2週間の UEFA 側の出方が注目点になるでしょう。
ボバン氏が辞職を決断した背景には以下の事情があります。
- FIFA はブラッター前会長時代の汚職で多選が問題に
- UEFA ではプラティニ会長(当時)が辞任
- “3期12年の任期を掲げたチェフェリン候補” が UEFA 新会長に選出
- チェフェリン会長は連続3期目(2027年に任期満了)
- チェフェリン会長が『4期目も可能とする規則改正』に向けた動きを本格化
- 2024年2月8日にパリで開催される UEFA 総会に改正案が提出の予定
- 加盟55団体の3分の2が承認すれば成立
- ボバン氏が抗議の辞職(2024年1月25日)
UEFA 内で『会長職の任期撤廃』に反対しているのはデーヴィッド・ギル副会長が筆頭格。他の要職者は沈黙を貫いています。
そのため、今後は「2月上旬に行われる UEFA 総会でどう立ち回るのか」という政治的な駆け引きが UEFA 内で行われることになるでしょう。
『数年後には任期満了で権力の座から去る現会長の意向』は『次期トップ最有力と見なされる人物の意向』よりも軽視されがちになります。
このレームダック化を嫌うチェフェリン会長は『任期延長の規則改正案』を成立させようと躍起になっているのです。ただ、問題がない訳ではありません。
スーパーリーグ構想推進派に「チェフェリンがブラッターに取って代わっただけ」や「3期目で終えなかったチェフェリンが4期目で終えるのか?」などの『攻撃材料』を与えることになるからです。
それだけに UEFA の総会での投票権を有する各サッカー協会がどう振る舞うのかが注目点になるでしょう。
ちなみにユベントスは「UEFA と距離を取っている」ため、総会での投票結果に一喜一憂する必要はありません。UEFA が不祥事の温床を復活させる規則改正を承認するのかに注目です。