カタールW杯の関係で11月中旬から中断していた 2022/23 シーズンのセリエAが再開間近となっています。シーズン後半戦でアッレグリ監督が起用すると思われるフォーメーションなどについて整理しておくことにしましょう。
アッレグリ監督が2022年の冬季中断前に採用していた布陣
アッレグリ監督が2022年11月・12月の公式戦で採用していたフォーメーションを図示すると以下のようになります。
- 基本は 3-5-2
- 状況によっては2トップが縦の関係で「相手のレジスタ」を監視する 3-5-1-1 に可変
- ピッチ中央でボール保有時: 中盤の1人が上がる 3-4-2-1
- 相手陣内に押し込んだ場合: 両 WB が WG となる 3-2-5
- 3バックとダブルボランチはカウンター対応がメイン
- MF 陣は前線の攻撃枚数が不足時には助っ人の役割
チームは 3-5-2 または 3-5-1-1 を主体とするフォーメーションで結果を残したこともあり、セリエAの再開と同時に「4バックへの回帰」を決断する可能性はゼロに等しいでしょう。
したがって、各ポジションごとのタスクを遂行できる能力によって序列が定まると考えられます。
現在採用中のシステムの “泣き所” は「ラビオが担っている8番」
ただ、泣き所となるのは「ラビオ選手が担っている『8番』」でしょう。ラビオ選手の役割は『8番』の仕事であり、「役割を引き継ぐこと」の難易度は高くありません。
- レジスタ役(=『4番』)とダブルボランチを形成する『8番』
- 「攻撃参加」よりも「スペースのケア」が優先
- 『(攻撃参加が前提の)10番』や『(レジスタ役の)4番』との役割変更は可
しかし、「ラビオ選手の(『8番』としての)プレー水準を体現することが問題」なのです。
ポグバ選手にはラビオ選手と双璧をなすフィジカル能力が備わっていますが、ポグバ選手は「スペースのケア」よりも「攻撃参加」が特長の選手です。
他の MF 陣は「ラビオ選手よりも劣るフィジカル能力を他でカバーする必要」があります。そのため、「ラビオ選手を大一番の試合で起用できるか」は後半戦の行方を占う上で重要なポイントになるでしょう。
キエーザをどのポジションで起用するかも問題
また、前十字靭帯断裂の負傷が癒えつつあるキエーザ選手の起用方法も注目されることになるはずです。
- WB での起用
- サイドライン近くでの上下動がメインとなり、ひざへの負担は限定的
- ゴールまでの距離が遠くなることがマイナス
- FW での起用
- 本来のポジションで得点への貢献が期待できる
- 仕掛けの場面で(切り返した際に)ひざへの負担が不安材料
- 「守備のタスクをどうするのか」も懸念事項
現状の 3-5-1-1 だとキエーザ選手が最も輝く WG のポジションは存在しませんが、3-4-2-1 の局面から両 WB に「インナーラップ」をさせることで問題は解消されます。
攻撃時はその形で問題ないのですが、キエーザ選手で問題となるのは「守備」です。
2トップの一角に配置された場合は「相手 CB へのプレッシング」か「相手レジスタのプレー制限」が期待されるため、そのタスクをどのぐらいの時間帯で継続できるのかもポイントになるでしょう。
現状では「先発出場時の守備免除」を特権として与えられている選手はチームに1人としていないからです。
良いチーム状態でカタールW杯による中断期間を迎えたユベントスのアッレグリ監督が良い再スタートを切るためにどのような策を講じるのかに注目です。