2021/22 コッパ・イタリア準決勝フィオレンティーナ戦(1st Leg)は後半アディショナルタイムにクアドラード選手のクロスからのオウンゴールが決勝点となり、ユベントスが 0-1 で先勝しました。
先発した両チームの選手とフォーメーションは以下のとおりです。
ACF Fiorentina [4-3-3] |
Juventus FC [3-5-2] |
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GK | 1: テラッチアーノ | 36: ペリン |
DF | 29: オドリオソラ 4: ミレンコビッチ 98: イゴール 3: ビラーギ (C) |
6: ダニーロ (C) 4: デ・リフト 2: デ・シリオ |
MF | 5: ボナベントゥーラ 18: L・トレイラ 10: カストロビッリ |
38: アケ 27: ロカテッリ 5: アルトゥール 25: ラビオ 17: ペッレグリーニ |
FW | 11: イコネ 19: ピョンテク 8: サポナーラ |
7: ヴラホビッチ 18: ケーン |
フィオレンティーナのイタリアーノ監督は 4-3-3 を選択。ピョンテク選手が CF に入り、両翼はイコネ選手とサポナーラ選手が担当する陣容で試合を迎えます。
対するユベントスのアッレグリ監督は 3-5-2 を選択。ヴラホビッチ選手とケーン選手が2トップを組み、DF 陣や MF 陣は予想された選手がスタメンに名を連ねる布陣で試合に臨みます。
試合はフィオレンティーナが予想どおり主導権を握る。まずは7分にサポナーラのロングシュートが枠に飛ぶが、これは GK ペリンの正面。13分のビラーギのロングシュートもペリンが阻む。
ハイプレスを仕掛けるフィオレンティーナは15分にペリンからボランチの位置にいたダニーロへの縦パスを引っ掛けたボナベントゥーラがダイレクトで無人のゴールを狙ったがシュートは枠の上。千載一遇のチャンスを逸してしまう。
26分にはスルーパスに反応したイコネが右サイドを突破して右足で狙うが、シュートは枠のわずかに左。ユベントスは劣勢の時間が続く。
ユベントスは43分にヴラホビッチがミドルシュートを放ったが、相手 DF に当たって勢いが削がれたシュートは GK テラッチアーノが難なく処理。前半はフィオレンティーナが攻め立てるも、0-0 で終了する。
後半も主導権はフィオレンティーナ。48分にL・トレイラのスルーパスに抜け出したイコネが切り返して左足シュートを放ったが、ボールは左ポストを直撃。均衡を破ることはできない。
対するユベントスは56分にデ・シリオのフィードに反応したヴラホビッチがイゴールと競ってボールを確保し、そのまま左足で浮かせたシュートを放つも GK テラッチアーノが CK に逃れる。
この CK の流れからフィオレンティーナはロングカウンターを発動させると、ペッレグリーニのファールで FK を獲得。これをビラーギがゴール左を狙ったが、コースを読み切っていた GK ペリンに阻まれる。
ユベントスは78分にヴラホビッチとクアドラードのプレスでボール奪取に成功し、この2人でカウンターを発動。ヴラホビッチからのラストパスを受けたクアドラードが狙うもシュートは枠を捕らえない。
試合が動いたのは引き分け濃厚となった91分。ユベントスは右サイドに進出したラビオがボールを持ち出し、クアドラードに展開。縦に突破したクアドラードからの鋭いクロスがベヌーティに当たってゴールラインを割り、土壇場でユベントスが先制する。
引き分けに持ち込みたいフィオレンティーナだったが反撃に必要な時間は残っておらず。試合は 0-1 で終了し、ユベントスが先勝した。
試合に出場したユベントスの選手・監督などへの採点は次のとおりです。
GK: ペリン 6.5
ハイプレスに慌てたことによる致命的なパスミスはあったが相手のシュートミスに救われる。その一方でビラーギの FK を的確に対処するなどシュートストップでチームに貢献した。
DF: ダニーロ 6.5
3バックの右ストッパーや偽 SB としてボランチの役割も担うなど攻守両面において存在感を発揮した。
DF: デ・リフト 7.0
ピョンテクとA・カブラルを封殺。相手 CF から自由を奪い、効果的なポストプレーすら許さなかった。
DF: デ・シリオ 5.5
堅実なプレーに終始していたが、イコネとのマッチアップでは明らかに分が悪かった。ただ、イコネのシュートがポストに嫌われるなど運は持っていた。
WB: アケ 5.0
サポナーラのプレッシングに苦しみ、トップカテゴリーに属する選手からの洗礼を浴びる。パスを預けられない状況であり、前半での交代は止むを得ないだろう。
MF: ロカテッリ 6.0
アルトゥールとの役割分担をしつつ、ボールを保持した際には前線に顔を出すなどインサイドハーフとしての仕事を遂行した。ビルドアップのイメージをアルトゥールと共有することが鍵になるだろう。
MF: アルトゥール 7.0
戦えるレジスタであるL・トレイラとの直接的なマッチアップでも好パフォーマンスを維持。ビルドアップ時に自身が望む味方のポジショニングを周囲に要求した方がチームはより機能すると思われる。
MF: ラビオ 6.5
フィジカルバトルに持ち込んで潰しに来るフィオレンティーナの守備戦術を苦にすることなく、中盤などで “ラインブレイク” が可能な存在だった。決勝点の場面ではその能力を右サイドで発揮し、効いた存在となっていた。
WB: ペッレグリーニ 6.0
イコネの仕掛けに苦労する場面はあったものの粘り強い守備で対処。カウンターを受けた際も持ち前のスピードで挽回し、成長の跡を示していた。
FW: ヴラホビッチ 6.0
イゴールのマンツーマンを受けつつポストプレーに奮起。決定機は少なかったものの、数少ないチャンスではシュートを枠内に飛ばすことで脅威になっていた。
FW: ケーン 5.0
ミレンコビッチのリーチ差を活かした守備の前に沈黙。それでも強引にターンをするメンタルの強さを見せたが、接触プレーを流す主審の判定基準に泣く結果となった。
【交代選手など】
WB: クアドラード 7.0
46分からアケとの交代で出場。右サイドのライン際に陣取り、チームに落ち着きを与える。最後は持ち前の意外性でオウンゴールを誘発し、チームに貴重なアウェイゴール付きの勝利をもたらした。
FW: モラタ 6.0
ケーンとの交代で59分から出場する。ミレンコビッチから上手く離れ、相手 DF と MF のライン間にポジショニング。ただ、モラタにボールが託される場面は少なかった。
アッレグリ監督 6.0
試合内容は敗けに等しいものだったが、クアドラードの意外性が結果を真逆にした試合だった。2トップが縦関係となって相手のレジスタの自由を制限するなどエンポリ戦で収穫を活かしていたことは評価されるべきだろう。ビルドアップはアルトゥールの感性に一任することもありだ。
グイダ主審 5.5
熱い試合になることは事前に予想されていたが、接触プレーへの判定は甘めだった。問題なのはカードの基準が変わったことだろう。この点がマイナス評価だ。