2020/21 セリエA第33節フィオレンティーナ戦はヴラホビッチ選手の PK で先制されるもモラタ選手のゴールで追い付き、試合は 1-1 の引き分けに終わりました。
試合に先発した両チームの選手とフォーメーションは以下のとおりです。
ACF Fiorentina [3-5-2] |
Juventus [3-5-2] |
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GK | 69: ドロンゴフスキ | 1: シュチェスニー |
DF | 4: ミレンコビッチ 20: ペッセージャ 22: カセレス |
4: デ・リフト 19: ボヌッチ 3: キエッリーニ |
MF | 23: ベヌーティ 34: アムラバト 78: プルガル 10: カストロビッリ 98: イゴール |
16: クアドラード 8: ラムジー 30: ベンタンクール 25: ラビオ 12: A・サンドロ |
FW | 9: ブラホビッチ 7: リベリー |
10: ディバラ 7: ロナウド |
フィオレンティーナのヤキニ監督は 3-5-2 を選択。ヴラホビッチ選手とリベリー選手が2トップを組み、中盤からカストロビッリ選手がサポートする予想された布陣で試合を迎えます。
対するユベントスのピルロ監督も 3-5-2 を選択。こちらはディバラ選手とロナウド選手が2トップを組み、マッチアップする選手と似たタイプを配置するミラーゲームを狙って試合に臨みます。
試合はホームのフィオレンティーナが主導権を握ることに成功する。最初の決定機は18分。アムラバトが中盤でボール奪取すると、パスを繋いで最後はミレンコビッチが強烈なミドル。枠を捕らえたシュートはシュチェスニーの横っ飛びセーブで防がれる。
フィオレンティーナは22分に左サイドで組み立てからプルガルがロングシュート。ブロックに行ったボヌッチをかすめる形でドライブシュートは右ポストを直撃し、跳ね返りはシュートに1歩も動けなかったシュチェスニーの胸の中に収まる。
押せ押せはフィオレンティーナは28分にカセレスが入れたクロスがキエッリーニにクリアされるが、このクリアボールを落下地点でヴラホビッチと競り合ったラビオが高く上げた右手に当たっており、VAR の介入で PK を獲得する。
これをヴラホビッチが “クッキアイオ” で決め、ホームのフィオレンティーナが1点を先制する。
ユベントスにチャンスが訪れたのは43分。ベンタンクールからの縦パスを受けて反転したディバラが持ち上がり、並走するベンタンクールにリターンパス。最後はベンタンクールからのラストパスを受けたラムジーが右足アウトで浮かせて狙うが、シュートは枠の右へと外れてしまう。
前半を1点のビハインドで折り返したユベントスは後半開始と同時にボヌッチとディバラを下げ、クルゼフスキとモラタを投入。3バックを断念すると、この采配が即座に的中する。
ユベントスは後半開始直後の46分にクアドラードが浮き球のフィードを送ると、追い付いたモラタが切り返して左足で巻いたシュート。これがファーのサイドネット上部を揺らし、ユベントスが 1-1 の振り出しに戻すことに成功する。
一方のフィオレンティーナはプルガルが FK とミドルシュートで勝ち越し点を狙うが、FK の壁とシュチェスニーの好守に阻まれてゴールとはならず。
この後は勝点3が必要なユベントスがボールを持つも、フィオレンティーナの守備陣に中央のスペースを消されたために決定打を放てないまま時間だけが経過する。
ユベントスは84分に右 CK をショートコーナーで再開し、クルゼフスキが中央に柔らかいクロスを中央に供給。これにロナウドが頭で合わせようとするがコースを狙う意識が強く出すぎたことで空振り。
結局、両チームともに勝ち越しゴールを奪えずに試合は 1-1 で終了。ユベントスは勝点1を積み重ねるに留まった。
なお、試合に出場したユベントスの選手・監督などへの採点は次のとおりです。
GK: シュチェスニー 6.5
好セーブで守備陣が瓦解する危機を救う素晴らしい仕事ぶりだった。
DF: デ・リフト 6.0
不慣れな3バックの右ストッパーでベストは尽くしていたが、この役割では並の選手と言わざるを得ないだろう。相手の2トップにも手を焼き続けたことは事実だ。
DF: ボヌッチ 5.5
得意であるはずの3バックの中央で存在感を発揮できず、前半での途中交代に相当するパフォーマンスだった。ヴラホビッチのプレーを制限できなかったこともマイナス。
DF: キエッリーニ 6.0
CB としてプレーした3選手の中では最も安定したパフォーマンスだった。セットプレーでの攻撃参加でもファーサイドで折り返し役で仕事をするなどベストを尽くしていた。
WB: クアドラード 6.5
前半は3バックに不慣れなデ・リフトが背後にいたため対応に苦心したが、普段のシステムに戻った後半から本領を発揮。同点ゴールのアシストが如実に証明している。
MF: ラムジー 5.0
捜索願が出されるほど試合から消えていた。前半の終了間際に訪れた決定機でシュートを枠内に飛ばせていれば多少は評価されたかもしれない。
MF: ベンタンクール 6.0
ユベントスでプレー経験が豊富な中盤3枚での起用だったが、両脇の選手が攻守において計算が立たない中で孤軍奮闘状態だった。同情せざるを得ない。
MF: ラビオ 5.0
試合に上手く入れておらず、中盤の構成力でフィオレンティーナに圧倒された。ヴラホビッチと競り合い時に思わず手が出てしまうなど低調だったことは否定できない。
WB: アレックス・サンドロ 5.5
2得点を決めた前節と同様の役割を担ったが、パフォーマンスは良い状態ではなかった。デュエルで上回るなど突破口を作れなかったことは不完全燃焼と評せるだろう。
FW: ディバラ 5.5
チームが防戦一方となったことで仕事をする機会はほとんど訪れず。それでも前半唯一の決定機を作り出す起点を自ら作り出しており、交代は試合展開的に止むを得ないものだった。
FW: クリスティアーノ・ロナウド 5.0
前半はディバラと同じで出番自体が存在しないに等しい状況だった。ディバラよりも評価が低い理由は84分の決定機にシュートを枠に飛ばせなかったことだ。相手 GK の好セーブに阻まれたとでは雲泥の差がある。
【交代選手など】
MF: クルゼフスキ 6.0
46分にボヌッチとの交代で出場。疲労が抜けたのか好調な内容を継続中。クアドラードとのコンビネーションにも改善が見えており、ポジティブな要素となっている。
FW: モラタ 6.5
ディバラに代わり、46分から出場する。出場から1分足らずで勝点1を持ち帰ることになる貴重な同点ゴールを奪取。来季もチームに残す価値があることをプレーでアピールした。
MF: マッケニー 6.0
ラムジーとの交代で70分から出場。ボックス内での空中戦要員として期待はされたが、期待に応えられるチャンスは訪れなかった。
ピルロ監督 5.5
3-5-2 のミラーゲームで臨むも全く機能しておらず、ハーフタイムでのシステム変更を強いられた。中盤が最終ラインに吸収されるようでは話にならないだろう。風前の灯火となったはずだ。
マッサ主審 6.5
PK が試合を動かすことになったが、VAR を用いた判定は的確なものだった。自らの肩よりも上の位置に腕がある状態でバランスを取る選手などいないだろう。競り合いで優位に立ちたいラビオの判断ミス。審判団は試合全体を通して的確に裁いていた。