ユベントスが公式サイト上で 2020/21 シーズン前期の決算書を発表していましたので、収支状況を確認することにしましょう。
2020/21 シーズンの前期にユベントスが記録した収支は下表のとおりです。
項目 | 2020/21 (前期) |
2019/20 (前期) |
---|---|---|
チケット販売 | 5,157,879 | 36,513,383 |
テレビ・ラジオ放映権 およびメディア収益 |
145,099,671 | 118,070,784 |
スポンサー/広告収益 | 69,464,072 | 65,647,572 |
製品・ライセンス販売 | 16,703,803 | 21,450,469 |
選手登録権益 | 8,461,612 | 63,903,493 |
他の収益 | 13,358,019 | 16,696,284 |
総収益 | 258,245,056 | 322,281,987 |
用具/サプリ等購買費 | (3,529,234) | (2,750,798) |
販売用製品購買費 | (7,608,405) | (8,783,697) |
外部サービス | (28,431,799) | (40,901,840) |
選手年俸/スタッフ費用 | (183,286,754) | (173,268,506) |
他の人件費 | (12,036,570) | (10,861,222) |
選手登録権への費用 | (22,798,767) | (16,725,255) |
他の支出費用 | (5,757,202) | (7,598,023) |
総事業費用 | (263,448,730) | (260,889,340) |
選手登録権の償却/評価損 | (83,015,565) | (89,674,736) |
有形/無形資産の償却 | (9,780,846) | (8,741,908) |
引当金 | (7,072,567) | (1,080,610) |
営業利益 | (105,072,652) | (38,104,608) |
金融利益 | 2,621,971 | 2,262,909 |
金融費用 | (8,548,616) | (9,778,051) |
JV費用 | 783,839 | (386,550) |
税引き前利益(損失) | (110,215,457) | (46,006,299) |
当期税金 | (3,881,886) | (4,569,515) |
繰越税金 | 354,725 | 316,354 |
当期利益(損失) | (113,742,619) | (50,259,460) |
収益面ではコロナ禍による無観客試合が続いたことで『チケット販売』が壊滅しました。アリアンツ・スタジアムの収容可能人数が「約4万人強」の中での数値ですから、どのグラブも落ち込み幅は大きいと予想されます。
『放映権料』は4000万ユーロ弱の増加を記録していますが、これは留意すべきでしょう。なぜなら、2019/20 シーズンが「2020年8月まで開催」されていたため、その分の放映権料が計上されていると考えられるからです。
収益に関して痛かったのは『選手売却益』が「チケット販売以上に落ち込んだこと」です。コロナ禍の状況で積極補強に出ることができるクラブは例外中の例外ですし、今夏も移籍市場は冷え込んだままだと予想されます。
したがって、収益面が劇的に改善する見込みは少ないと言わざるを得ないでしょう。
事業費に目を向けますと、『外部サービス』は支出が1000万ユーロの減少を見せています。無観客では「スタジアムの警備員」や「VIPルームでの飲食費用など」の支出が不要となるため、これらが寄与したと考えられます。
ただ、最大の支出事項である『選手年俸(や人件費)』は「前年同期比で増加」をしており、この点は深刻に受け止めなければならないでしょう。『選手の年俸』や『選手獲得に要した移籍金の減価償却』は一定金額の支出が続く性質ものだからです。
そのため、今期以降の経営は「事業費の削減」に重点を置かざるを得ないと思われます。
ロナウド選手を獲得して『拡大路線』に突き進んだことへの逆風がコロナ禍でさらに強さを増してしまったことに対し、ユベントスのフロント陣がどのように対処して難局を乗り越えるのかに注目です。