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戦術分析: 可変システムでの選手配置が勝敗の分かれ目となったバルセロナ戦(2020/21 UEFA チャンピオンズリーグ第6節)

 2020/21 UEFA チャンピオンズリーグ第6節でユベントスはアウェイでバルセロナを 0-3 で下し、逆転でグループ首位通過を決めました。勝敗の分かれ目となった理由を戦術的な観点から指摘することにしましょう。

画像:用意した戦術でバルセロナを下して笑顔を見せるピルロ監督
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■ 両チームともに守備時は 4-4-2 になるミラーゲーム

 バルセロナ対ユベントス戦はどちらのチームも同じシステムを採用していました。

画像:2020/21 UEFA CL 第6節バルセロナ対ユベントス

 バルセロナは 4-2-3-1 を基準にしていますが、守備時の際はユベントスと同じ 4-4-2 になります。つまり、両チームともに「4-4-2 の守備ブロックを崩すこと」が課題だった訳です。

 ただ、試合は両チームの明暗が別れることになりました。アルトゥール選手の “恩返し” を指摘する見方もありますが、実態は「戦術的な動きによる差」と言えるでしょう。

 

■ ユベントスは 4-4-2 から 3-1-4-2 に可変してプレスを回避

 ピルロ監督がバルセロナ戦でしたことは『アッレグリ監督がアトレティコ戦で見せた可変システム』を参考にした戦術です。

画像:2020/21 UEFA CL, Bar - Juv

 バルセロナが 4-4-2 で守るため、ユベントスは3バックに可変することで最終ラインでの数的優位を確保。「アルトゥール選手がバルセロナの MF と FW ラインの間で浮いた」ことでレジスタの位置からパスが(自由に)配球されました。

 この状況はユベントスがシステムのミスマッチを意図的に生み出してからであり、アルトゥール選手の個人技ではないことに留意が必要です。

画像:2020/21 UEFA CL, Bar - Juv

 もちろん、アルトゥール選手が消される時間帯もありました。ただ、アルトゥール選手へのパスコースがなくても、両サイドのクアドラード選手とA・サンドロ選手はフリーで浮いています。

 ラムジー選手とマッケニー選手がバルセロナをアタッキングハーフを中に引き連れた上でフリーになった両翼の2選手に左右の CB からパスを付けれるのですから、ユベントスが主導権を持ち続けたのは当然の結末と言えるでしょう。

 

■ 大外のスペースを使おうとしたが、奥行きを出せなかったバルサのビルドアップ

 一方、バルセロナがビルドアップで苦労した理由は「大外のレーンを担当するサイドバックが奥行きを出せなかったから」です。例えば、デスト選手がボールを持った際はラムジー選手。

画像:2020/21 UEFA CL, Bar - Juv

 ラングレ選手がパスを展開しようとしたJ・アルバ選手にはクアドラード選手が “監視” している状況でした。

画像:2020/21 UEFA CL, Bar - Juv

 ユベントスとの違いは「ユベントスのウィングバックがバルセロナの DF と MF の間にポジショニング」していることに対し、バルセロナは「サイドバックが MF の前にポジショニング」していることです。

 『ボール』と『マークする選手』を同時に見れた方が守りやすいのは当然です。この場面では「右サイドのサイドライン際にいるトリンコン選手がピルロ監督の目前にポジショニングをしてパスを呼び込む」形であれば、バルセロナはサイドを前進できていたでしょう。

 

■ ビルドアップにメッシを使えば中央突破からシュートに持ち込むことは可能

 ただ、バルセロナが強豪である理由は相手の守備ブロックを個人で打開できるメッシ選手がいることでしょう。まず、デ・ヨング選手がドリブルでユベントスの FW 陣を突破し、下がって来たメッシ選手にボールを託します。

画像:2020/21 UEFA CL, Bar - Juv

 メッシ選手はボールをラングレ選手にボールを預け、ラングレ選手はJ・アルバ選手に展開します。

画像:2020/21 UEFA CL, Bar - Juv

 J・アルバ選手はメッシ選手にボールを戻し、メッシ選手はユベントス MF 陣の間を縫ったパスをペドリ選手に付けます。

画像:2020/21 UEFA CL, Bar - Juv

 ペドリ選手はドリブルで縦への突破を狙う動きを見せてユベントスの守備ブロックを押し下げ、前方のスペースを消された段階でピアニッチ選手にボールを戻します。

画像:2020/21 UEFA CL, Bar - Juv

 ピアニッチ選手は右サイドでフリーになっていたデスト選手に展開。ただ、利き足とは逆の左足でパスを出したことで攻撃にブレーキがかかってしまい狙いどおりの攻めはできなくってしまいます。

画像:2020/21 UEFA CL, Bar - Juv

 それでも、相手をペナルティーエリア付近にまで押し込んでしまえば持ち前の攻撃力が発揮し、この場面ではメッシ選手の強烈なミドルシュートで攻撃をやり切っています。この攻撃力は侮ってはならないと言わざるを得ないでしょう。

 

 ユベントスがバルセロナ戦で教訓とすべきなのは「自分たちが 4-4-2 で守備ブロックを形成した際に相手に 3-1-4-2 で自由なビルドアップを許すとバルセロナの二の舞になる」ということです。セリエAでは3バックを使うチームが多いため、ビルドアップを上手く阻害できるかがポイントでしょう。

 ピルロ監督が勝利によって得た教訓を使ってチームをさらに向上させることができるのかに注目です。