サッリ監督が指揮する初の公式戦となった 2019/20 セリエA第3節フィオレンティーナ戦は両チームともに決定力を欠き、0-0 の引き分けに終わりました。
先発した両チームの選手とフォーメーションは以下のとおりです。
AFC Fiorentina [3-5-2] |
Juventus [4-3-3] |
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GK | 69: ドロンゴフスキ | 1: シュチェスニー |
DF | 4: ミレンコビッチ 20: ペッツェッラ 22: カセレス |
13: ダニーロ 19: ボヌッチ 4: デ・リフト 12: アレックス・サンドロ |
MF | 21: リロラ 78: プルガル 5: バデリ 8: カストロビッリ 29: ダウベルト |
6: ケディラ 5: ピアニッチ 14: マテュイディ |
FW | 25: キエーザ 7: リベリー |
11: ドウグラス・コスタ 21: イグアイン 7: ロナウド |
フィオレンティーナのモンテッラ監督は 3-5-2 を選択。前線の2トップはキエーザ選手とリベリー選手が担当し、SB ができるミレンコビッチ選手とカセレス選手を左右の CB に起用する3バックで試合を迎えます。
対するユベントスのサッリ監督は 4-3-3 を選択。デ・シリオ選手が負傷離脱した右 SB にダニーロ選手が起用された他は前節ナポリ戦と同じ10選手が先発に名を連ねる布陣で試合に臨みます。
試合は開始4分にドリブルを仕掛けたD・コスタが右太もも裏を負傷し、ベルナルデスキとの交代を強いられる展開で幕が上がる。
最初に得点を感じさせたのはフィオレンティーナ。15分にシュチェスニーのキックが猛プレスをかけたキエーザの身体に当たるも、ボールは枠の上に飛んでしまう。19分にはキエーザの落としからリベリーが狙うが、これはセーブされてしまう。
一方のユベントスも直後に右サイドに開いたケディラが入れたクロスのクリアボールをマテュイディがミドルシュート。しかし、これは GK ドロンゴフスキの正面を突いたため、こちらもシュートブロックに遭う。
この後はフィオレンティーナがペースを握る。35分にはキエーザのロングシュートが枠を捉え、41分にはリベリーのクロスにダウベルトが飛び込むもシュチェスニーの牙城を破ることはできない。
このまま前半終了かと思われた44分にユベントスに再びアクシデントが襲う。今度はピアニッチが右太もも裏を痛め、ベンタンクールとの途中交代を余儀なくされ、ユベントスは前半で2枚の交代カードを使うことになってしまう。
後半は両チームともに守備に高い意識を持っていたため、互いに決定機を得られずに時間が経過する。すると、ユベントスは60分過ぎにダニーロが足を攣り、クアドラードとの交代で交代枠を使い切ることになる。
クアドラードは64分に相手 CK からロングカウンターで持ち上がり、ロナウドにクロスを入れるが力のないシュートはドロンゴフスキが難なくキャッチする。
対するフィオレンティーナは77分に右 CK からミレンコビッチが高い打点で合わせたが、シュチェスニーの正面を突いたシュートはキャッチされ、こちらも均衡を破ることができない。
後半アディショナルタイムにユベントスはベルナルデスキに、フィオレンティーナはボアテングにシュートチャンスがあったが、どちらもゴールを感じさせることはできず。結局、試合はこのまま 0-0 で終了。両チームともに勝点1を分け合う形となった。
試合に出場したユベントスの選手・監督などへの採点は次のとおりです。
GK: シュチェスニー 6.0
落ち着いたシュートブロックでチームのピンチを救うも、ビルドアップ時のパスコースがなくプレスには危ない場面も散見された。キエーザにパントを当てた場面の印象は悪い。
DF: ダニーロ 5.5
リベリーとダウベルトを抑えられず後手に回り続ける。60分過ぎにガス欠となり、クアドラードとの交代を強いられた。
DF: ボヌッチ 6.0
クリーンシートだったことが唯一の収穫。ミレンコビッチのシュートがシュチェスニーの正面を突いていなければ、マークを外した責任が厳しく追求されていたことだろう。
DF: デ・リフト 5.5
キエーザやリベリーに狙われたが、何とか抑え切ることに成功。15時キックオフの試合でガス欠にならずに90分を戦い抜けた点は進歩と言える。
DF: アレックス・サンドロ 6.0
攻撃ではタッチライン際で幅を取り、守備では背後のスペースへの抜け出しをケアし続けた。デュエルで相手を圧倒して欲しかったが、代表チームからの合流時期を考えると高望みだろう。
MF: ケディラ 6.5
球離れ良く周囲を活かし、機を見て右サイドの空いたスペースに侵入してクロスを供給するなどチームの攻撃を支えた。守備でも相手と渡り合っており、攻守において貢献した。
MF: ピアニッチ 5.5
カストロビッリに張り付かれ、縦に素早く展開することができず。逆に自身の両脇にあるスペースをカウンター時に使われて苦戦。最後は右太もも裏を痛めて負傷交代となり、良い場面を見せることはできなかった。
MF: マテュイディ 6.0
持っている能力は発揮することはできていた。だが、対面の相手をドリブルで突破する能力を持っているのではないため、チャンスを拡大することはできず。このまま起用を続けるのだろうか。
FW: ドウグラス・コスタ ー
相手 DF 陣を悩ませる前に右太もも裏の負傷で交代を強いられる。疲労は溜まっていなかった中での負傷は悔やまれる。
FW: イグアイン 5.0
中央に陣取るだけで何もできずに90分を終える。負傷したD・コスタに発破をかける暇があるなら、そのスペースを埋めるために走り、チームに貢献すべきだった。
FW: ロナウド 5.5
ミレンコビッチの重点マークを受けた上、中央に選手を集めて守るフィオレンティーナの前にボールを呼び込むことが限定されて脅威とはならず。シュートもドロンゴフスキに冷や汗をかかせるものではなかった。
【交代選手等】
FW: ベルナルデスキ 5.0
負傷したD・コスタとの交代で8分から急遽出場するも、試合の大部分で消えていた。WG として幅を取るなどの形で貢献はできたはずだが、そうしたプレーもなく状況判断において反省点ばかりの試合だった。
MF: ベンタンクール 6.0
44分にピアニッチとの交代で出場機会を得る。短いレンジでのパス交換の中にロングパスを織り交ぜるなど自分のスタイルを示せていた。サッリのスタイルに適応するのはこれからが本番として見る必要がある。
FW: クアドラード 6.0
足を攣ったダニーロに代わって61分から出場し、右 SB に入る。ダウベルトの攻め上がりに我慢強く対応し、自らの攻撃時にはロングカウンターなどチームに推進力を与えた。
サッリ監督 5.5
D・コスタの負傷もピアニッチの負傷もサッリ自身が蒔いた種である。戦術面では「WB のどちらが下がっても4バックを難なく構成できる」というフィオレンティーナの守備体系を最後まで崩すことができず。「中央を固めると勝点を持ち帰れる」と学習したであろう今後の対戦相手にどう対処するかが注目点だ。
イッラーティ主審 6.5
荒れ模様になる可能性のある試合だったが、上手く試合をコントロールした。VAR を発動させるようなプレーもオフサイドの判定に選手が不満を示すこともなく、素晴らしい審判団だったと言えるだろう。