「会計的に厳しい」との観測が出ているユベントスですが、親会社 EXOR が発表した2019年半期決算から「2018/19 シーズンは大幅な赤字」で終えることが現実味を帯びています。現・執行部の責任問題に発展する可能性もあると言えるでしょう。
■ 2018/19 シーズンの前期決算から厳しい状況だったユベントス
まず、ユベントスは前期決算の時点で事業収支が過去2年の水準の半分以下でした。
『前期の収支』が『後期の収支』よりも良い理由は「主要な移籍が7月と8月に行われるから」です。そのため、秋春制のシーズンに合わせて会計年度を区切っているユベントスは『7月と8月が含まれる前期』の収支が良くなるのです。
ただ、2018/19 シーズン前期は事業収支が前年度の 1/3 に当たる1700万ユーロ。当期損益は 1/5 にも満たない750万ユーロでした。したがって、かなりの確率で赤字になる状況にあったと言えるでしょう。
■ 親会社によると、ユベントスは後期に4700万ユーロの赤字を計上
ユベントスはオーナーであるアニェッリ家の資産管理会社に当たる EXOR が大株主です。その EXOR が2019年前期(1月〜6月)の半期決算書を公表したのですが、これによりますとユベントスは当期4700万ユーロの赤字です。
EXOR とユベントスが『同じ会計方式』を採用している根拠がないため、両社の決算内容には若干の誤差が発生する可能性はあります。
仮に誤差があったとしても、「通期で2000〜3000万ユーロ規模の赤字を計上していること」はおそらく避けられないでしょう。なぜなら、前期での当期損益750万ユーロでは「焼け石に水」だからです。
この状況はユベントスが 2018/19 シーズンの前期決算を公表した時点で「(事業収支で)9000万ユーロ前後の赤字を出す恐れがある」と予想できました。だから、堅実派のマロッタ前 GM との間で確執が起きたのでしょう。
ユベントスによる『2018/19 シーズンの決算書』は9月下旬に公表されるはずです。パラティーチ CFO などによる “強気の拡大路線” がどのような経営効果をもたらしているのかにも注目です。